政府発表の内実)発がん性リスクの詳細な検討は行えていないことを認めつつ取り急ぎ暫定基準を定めた食品安全委員会 (厚生労働省)の見解 #radioactivity #food #mhlw RT @tiniasobu
2011/04/12
厚生労働省:食品中の放射性物質に関する当面の所見 が出されています。
厚生労働省で薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会が開催され、「食品中の放射性
物質に関する当面の所見」が取りまとめられました。
http://ankei.jp/yuji/?n=1391 で紹介した「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします」という優しいデザインの安心してねパンフレットを発行した3日後に、
じつは、そのもとになる暫定基準というのがかつて経験のない事態のなかで、原子
力安全委員会が示した摂取制限をとりいそぎ踏襲したものであり、
「発がん性のリスクについての詳細な検討は行えていない等、さまざまな検討
課題が残っていること、特にウラン並びにプルトニウムなどについては、曝露状況等
も把握した上での評価、遺伝毒性発がん物質としての詳細な評価、あるいは各核種の
体内動態等に関する検討も必要である。」と正直に述べています。
政府が鋭意取り組んでいるのが、安心・安全を国民のひとりひとりが判断できるわ
かりや
すい指針ではなく、「安心感」を広めることに重点があることがよくわかる文書です。
魚の基準をとりあえず2000ベクレル/キロ にすることを示す4月8日付けの
ファイルとともに、 このページに添付もしておきますが、
以下からダウロードできます。
厚生労働省:食品中の放射性物質に関する当面の所見(2011年4月4日付け)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012bpc.../2r98520000018kgi.pdf
魚介類の放射性ヨウ素に関する当面の所見(2011年4月8日付け)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000018diu.../2r98520000018dkk.pdf
平成23年4月4日
食品中の放射性物質に関する当面の所見
薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会
平成23年3月11日、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後、周辺環境
から放射能が検出されたことを受け、厚生労働省においては、3月17日から、飲食
に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的
とする観点から、当分の間、原子力安全委員会により示された飲食物の摂取制限に関
する指標値を暫定規制値とし、これを上回る食品については、食品衛生法第6条第2
号に当たるものとして食用に供されることがないよう規制する措置を講じてきた。
3月20日、厚生労働大臣は、食品安全委員会委員長に対し「食品中の放射性物質
について指標を定めること」について意見を求めたところ、3月29日、食品安全委
員会委員長より、「放射性物質に関する緊急とりまとめ」(以下「緊急とりまとめ」
という。)が示された。
さらに、4月1日、原子力災害対策本部は、この「緊急とりまとめ」
及び原子力安全委員会の助言を踏まえ、当分の間、現行の暫定規制値を維持すること
が適当である旨の見解を示した。
かかる事態は我が国の歴史ではかつて経験がないものであり、本分科会としては、
厚生労働省が緊急に暫定規制値を定め、食品衛生法第6条第2号に基づく規制を講じ
た取組みについて妥当と考える。
また、食品安全委員会の「緊急とりまとめ」においては、暫定規制値の根拠とする
等価線量又は実効線量について、これを変更すべきとせず、また、引き続き「今後、
諮問を受けた内容範囲において食品健康影響評価を行う。」としていること、及び原
子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部見解は、放射性物質の放出が依
然として収束していないこと等にかんがみ、当分の間、現行の暫定規制値を維持する
ことが適当である旨であること、以上をかんがみれば、現状においては、この暫定規
制値を維持すべきものと考える。
なお、食品安全委員会は、今回の検討について、「緊急的なとりまとめを行ったも
のであり、今後、諮問を受けた内容範囲について継続して食品健康影響評価を行う必
要があること」、「発がん性のリスクについての詳細な検討は行えていない等、
さまざまな検討課題が残っていること、特にウラン並びにプルトニウムなどについて
は、曝露状況等も把握した上での評価、遺伝毒性発がん物質としての詳細な評価、あ
るいは各核種の体内動態等に関する検討も必要である。」などを指摘している。
従って、本分科会は、今後、引き続き食品安全委員会による食品健康影響評価がなさ
れた段階で、改めて本分科会の見解をとりまとめるものとする。
厚生労働省に対しては、放射性物質による健康影響についての国民の安全及び安心
感を高めるために、①検査・モニタリング体制の充実、②きめ細かい規制の整備、③
国民とのリスクコミュニケーションの内容及び機会の拡充、等に努めることを求める。
また、関係省庁及び自治体を含む全ての関係機関に対して、放射性物質による健康
影響についての国民の安全及び安心感を高めるために、各々の職責を果たすとともに、
相互に協力し合い、全力を尽くすことを期待する。
厚生労働省プレスリリース
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017tgn.html
以上、引用を終わります。
安渓 遊地
魚介類中の放射性ヨウ素に関する当面の所見.pdf (55KB)