原子力のお勉強)原発の温排水による二酸化炭素の放出
2010/01/21
お勉強中の安渓遊地です。
よくわかる原子力 というサイト http://www.nuketext.org/globalwarming.html では、
原発からの温排水の総量が、日本のすべての川から海に流れ込む水を2度高めたほど
のものであること、
原発が増えるのと二酸化炭素の排出が増えるのがパラレルに起こっていて、原発は、
夜間電力などの「無駄遣い」奨励になっていることなどが、図入りでわかりやすく書
かれいます。
暖められた海から二酸化炭素が発生することについては、
久保田誠さんという方のホームページ
http://www.actio.gr.jp/2008/09/29101109.html
から、抜粋して引用させていただきます。
太字のところについて、もう少し詳しい試算がされるともっと説得力があるのではな
いか、と思うのですが、どなたかそういう研究をご存じでしたらおしえてください。
高稼働率が前提の試算が行われていることを批判したあと、次のような指摘がなされ
ています。
原発の温排水は大量のCO2を海洋から放出させる
IPCCの試算では、現在大気中に含まれるCO2が約7900億トンなのに対し、
海洋中に吸収・蓄えられているCO2は約380000億トンと、桁が2つも違う。
(図2参照ー「Global Carbon Project」和文パンフより)
海洋は人類が毎年放出するCO2の30%相当を吸収すると考えられており、これは植
物・土壌の3倍以上に相当。しかし海水中に蓄えられているCO2は、水温が上昇す
る分だけ大気に放出される。よく冷えたビールや炭酸飲料はそれほど炭酸ガスを発泡
しないが、ちょっと暖まると吹きこぼれやすくなるのと同じだ。
それゆえ人為的に海水温を上昇させれば、CO2排出と同じ意味を持つ。温度や濃
度にもよるが、海水温が1℃上昇すると蓄えられていたCO2の2%程が放出されて
しまう。つまり海洋を温めることは、熱帯林などの森林植物を伐採するのと同じく温
暖化防止に逆行する。
日本沿岸の海水中CO2濃度に関しては、伊勢湾の南方あたり、東経137度線太
平洋での気象庁による観測で、平均して340ppm前後。他の地域の濃度も同じくら
いとみれば、原発の「海温め効果」=年間2万1600億トンの海水が1℃上昇する
ことにより、実に年間で1470万トンのCO2を排出していることになる。(注2)
(注2)2万1600億t(1℃上昇する海水)×340ppm(平均CO2濃度)
×2%(1℃上昇で放出される割合)≒1470万t
この量は、05年の日本のCO2排出量総計12億9200万トンの1・15%に相当。
もちろん大気と海洋との間では常にCO2が循環しているし、温排水の温度も原発の
排水口近くでは高く一様ではない。各原発サイト沿岸の海水のCO2濃度にもばらつ
きがあるだろう。正確を期すならば、温排水による海水の気化や海洋中の微生物に与
える影響なども勘案しなければならないが、いずれにしろ「マイナス6%」の削減が
目標とされている中でとても無視できない量であることは間違いない。
しかし現在の京都議定書の枠組みでは、温排水によるCO2の排出量は計算対象に
なっていない。議定書は化石燃料を主としたエネルギー消費自体を抑えることに主眼
を置いているからだろう。
ところが日本政府はそれをいいことにして、「エネルギー消費を抑えなくても原発
によってCO2は削減できる」と主張している。こうした手前勝手な主張を批判する
ためにも、図1で示されている原発の排出量「22g・CO2/キロワット時」には、
温排水がもたらすCO2排出量「49g・CO2/キロワット時」を加算しなければな
らない。原発と同様、海水を冷却に使う火力発電の場合も加算しなければならないが、
太陽光や風力発電には加算する必要はない。そうすれば、再生可能エネルギーの優位
性はさらに明白となるだろう。
日本政府は真剣に温暖化対策・CO2削減を問題にするならば、原発の「海温め効
果」による影響をきちんと研究・評価すべきだ。そうすれば、原発が太陽光や風力な
どの再生可能エネルギーよりも「優等生」だなどとは、とても恥ずかしくて言えない
はずだ。