西山正啓作品)岩国米軍再編を問う『貧者の一灯』全国上映スケジュールのお知らせ(7月・8月)
2008/07/11
西山正啓監督から、7月以降の上映会のおしらせが届きましたので掲載します。
以下引用です。
「米軍再編・岩国の選択」「消えた鎮守の森」につづくシリーズ第三弾!
ドキュメンタリー・1時間50分・西山正啓 製作・監督作品
『消えた鎮守の森』・『貧者の一灯』
製作上映ニュース
子や孫たちに語りつぐ闘い!
今回の作品は「消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり」の山口県内、岩国巡回上映をやりながら、春から晩秋にかけて記録した岩国市三地域に生きる人々の<米軍再編>に対するエピソードで構成したオムニバス作品です。
●第一話「愛宕山の桜~消えた鎮守の森を追いかけて」は前作「消えた鎮守の森」で紹介できなかった愛宕神社春の例大祭で行われた子ども相撲大会の賑わいから、11月に行われた<愛宕山地域開発中止について>の山口県副知事による説明会までを記録しています。初めて岩国市を訪れた山口県副知事に対し自治会長、地権者が<米軍住宅建設計画>の真意を問い、怒りを露わにする。
●第二話「爆音とハスの花」では自治会として初めて市庁舎募金に60万円を寄付した尾津仙鳥館自治会の人々の思いを、基地騒音の下で行われるレンコン堀作業、秋の敬老祝賀会などを交えながら構成しています。
真夏の早朝から行われる蓮根(れんこん)の収穫作業は重労働です。米軍基地滑走路に隣接するハス畑。美しく咲いたハスの花。その頭上を離発着するジェット戦闘機の爆音が轟く。大粒の汗をかきながら蓮根を掘る野原最(まさる)さんに60万円もの多額なお金を寄付した自治会の真意について聞いてみた。この大地は国のものでもないし、誰のものでもない。岩国に住む我々のものだ。国は艦載機を受け入れないから補助金を出さない、という。市庁舎を建てる金は沖縄から空中給油機を受け入れることで決まっていたこと。その約束を破るような国なんて信用できない。それだったら我々が金を出し合って市庁舎をつくろう、と。
敬老祝賀会の朝、地区集会所からご馳走づくりをする女性たちの賑やかな声が聞こえてくる。海岸沿いの神社を掃き清め、お供えをし、お参りするお年寄りたち。祝賀会場では手づくりのご馳走がいっぱいに並べられている。井原市長がお年寄りたちを労い、お祝いの言葉を述べる。この日はご馳走もお酒も皆の心も、何もかもが美味だ。ここには人々の生きた絆がある。
●第三話「米軍基地より遠く離れて」は庁舎募金の会・風の代表で岩国市農業委員の一人として活動されている岡田久男さん(本郷在住)の平和に対する思いを自身の戦争体験、農作業、稲刈りなどを織り交ぜて構成しています。2006年の市町村合併以後、岩国市も中山間地の農業後継者不足、過疎・高齢化、あるいは<限界集落>化してゆく村落の問題が新たな関心事になってきました。そんな故郷の現状を憂い、悩みながら、だからこそ地域社会を不安にさせている「米軍再編」という国策を他人事でなく自分の問題、地域社会の課題として考え行動する人々の姿を映画の中に刻印したいと思った。(2007年12月26日岩国市民会館で初公開した日に・西山正啓)
7月13日(日)東京/井原勝介さんと共に考える”市民主義”
◎13:30~14:40 映画「貧者の一灯」(短縮版)上映
◎15:00~16:30 井原勝介前市長トーク
会場/渋谷区立恵比寿区民会館(JR山手線・東京メトロ日比谷線 恵比寿駅 徒歩5分)
入場料:一般1200円 (賛同人1000円)
主催/岩国と共に蓮の会0422-32-3081(山田)03-5313-1525(石田)
8月8~10日鹿児島県連続企画「米軍再編と地方自治を語る」
各会場/映画「貧者の一灯」短縮版上映&井原前市長トーク
●8月8日(金)18時~20時
会場:サンエール鹿児島(鹿児島市生涯学習プラザ099-813-0851)
主催:連合鹿児島「平和の集い」
●8月9日(土)午前10時~12時
会場:鹿屋市肝属教育会館(0994-43-2212)
主催:井原勝介前市長と語るつどい実行委員会
鹿児島に米軍はいらない県民の会/鹿屋に米軍はいらない大隅住民の会
事務局/大隅ブロック平和運動センター0994-42-5145
E-mail:thwnt990@yahoo.co.jp
●8月10日(日)午前10時~12時30分
会場:加治木町「加音ホール」
主催:姶良伊佐ブロック平和運動センター・姶良地区憲法を守る会
連絡先/姶良伊佐ブロック平和運動センター(続 博治)
〒899-5215鹿児島県姶良郡加治木町本町403-2F
TEL:0995-63-1700 FAX:0995-63-1701
8月24日(日)名古屋「貧者の一灯」完全版上映会
●伏見ライフプラザ12階第一研修室/午前・午後2回上映
●問合せ052-808-3241(西英子)
全国上映の動向
7月13日(日)東京「貧者の一灯」短縮版上映&井原前市長トーク
7月13日(日)山口県小郡ヒュッテ桂谷「貧者の一灯」短縮版上映
8月 1日(金)山口県宇部市サビエル高校「貧者の一灯」完全版上映
8月 8日(金)鹿児島市 午後6時 短縮版上映&井原前市長トーク
8月 9日(土)鹿児島県鹿屋市 午前10時 短縮版上映&井原前市長トーク
8月10日(日)鹿児島県加治木町 午前10時 短縮版上映&井原前市長トーク
8月24日(日)名古屋市「貧者の一灯」完全版上映
9月21日(日)山口県光市「貧者の一灯」完全版上映
●現在計画中のところ
山口県内、北海道、沖縄
●上映会についてのお問合せは下記まで。
西山正啓(ドキュメンタリー映画作家)
連絡先/092-942-7406(ファックス兼) 080-5255-7406(携帯)
E-mail;n-aitaro@nifty.com
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国策の横暴~岩国報道とマスコミ
2007年2月8日神奈川県横須賀市議会が「原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案」を31対10で否決した。その横須賀を母港とする原子力空母の艦載機部隊(所属は厚木基地)59機を受入れるかどうかについて06年3月に住民投票を実施したのが山口県岩国市。戦後60年、国の政策を従順に受入れ米軍基地と共存してきた筈の人々が
”もうこれ以上、基地の拡大強化はイヤだ!”と、堰を切ったように住民投票で明確な意志表示(投票率58%、全投票者の87%が受入れ反対)をしたのである。
それから2年、横須賀市では再び「原子力空母母港化の是非を問う住民投票条例」の直接請求運動が始まり、岩国では2月10日に出直し市長選挙が行われ受入れ容認派の候補が当選したことで事態は一変した。新市長は就任してから僅か15日で受入れを容認、それを受けて防衛省も3月12日には<約束済みだった>にもかかわらず一方的にカットし、兵糧攻め状態にしていた新市庁舎建設補助金35億円と米軍再編交付金の支給決定を市長に伝えた。
私は住民投票からこの2年間、「米軍再編・岩国の選択」という定点観測で岩国を映画で記録しつづけてきた。地域住民の意思を一切無視して推し進められる在日米軍再編。言うことを聞かなければ平気で公約(岩国新市庁舎建設補助金)を破り、法律(米軍再編推進特別措置法)を作ってまでしてあからさまにイジメる。封建時代と何ら変わらない、この国の横暴なやり方をマスコミはちゃんと伝えているか。
06年3月に行われた岩国住民投票には東京、大阪からテレビ、新聞、月刊誌、週刊誌などマスコミ取材陣が大挙して岩国入りした。しかし投票後は汐が引くように彼らの関心も遠のいていった。マスコミ各社の岩国支局記者は毎日のように取材を重ね記事を書いているが、その扱いが地域版限定だから岩国でまかり通る”国策の横暴”が全国に伝わらない。これはローカル枠でしか放送されないテレビでも同じことだ。NHK山口が意欲的に45分番組を制作してもローカル枠だから県外には流れない。岩国は山口と広島の県境にあるので、新聞紙面の扱いによってはすぐ隣の広島にも伝わらない。逆も然り。沖縄辺野古、神奈川県座間、厚木、横須賀の動向も岩国の人たちにはほとんど知らされない。在日米軍再編にかかわる全国各地の重要な動きがマスコミを通して当該地域の人々に伝えられないのである。横須賀の原子力空母配備に関る住民投票条例の直接請求運動が首都圏で関心が低いのもマスコミによって報道されないからではないか。原子力空母の母港化は過密な東京湾の入口に不安定な原子力発電所が建設されることと同じである。もし東京湾に原子力発電所が建設されると知ったら首都圏住民はどう反応するだろうか。都心から直線距離にして僅か40キロの場所で<安心・安全>にかかわる重大な事柄が進行しているのだ。マスコミの報道すべき優先順位はどこにあるのだろうか。
昨年8月、井原勝介岩国市長(当時)が東京三鷹駅前と銀座数寄屋橋で、国による理不尽な新庁舎建設補助金カットの不当性を訴える街頭募金活動を行った。地方の首長が政府の足元に”上京”して直訴するなんて事は、これはもう”事件”である。しかしマスコミの反応は鈍かった。翌日、写真入の記事を見てさらに驚いた。扱いが「東京武蔵野版」だったからだ。
私は映画「米軍再編・岩国の選択」シリーズ一作目のチラシに「国策の横暴・引き裂かれる民意/主権者はだれ・主権在民はどこへ」と書いた。岩国問題は国策(米軍再編)に対峙する地方自治という憲法の根幹に関る重要課題と考えたからからである。
二作目「消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり」(95分)では07年の年明けに突如発表された米軍住宅建設計画に反発する愛宕山開発地域周辺自治会の声を丹念に記録した。最新作「貧者の一灯~子や孫たちに語りつぐ闘い」(110分)は国策の横暴によって引き裂かれてゆく民意の中で、少子高齢化、過疎、後継者不足という日本の地方が抱えたもう一つの厳しい現実を描いた。平和な岩国を願い、地域にへばりついて米をつくり、美しい蓮根(ハス)の花を育て、「ここはアメリカの土地でも、国の土地でもない。ここで暮らす我々の土地である」と語る人々の不屈の心。その魂の在処を記録した。4月、井原後援会が草の根ネットワーク岩国に衣替えした。井原勝介前市長も自身の経験を伝える市民政治塾を立ち上げた。民主主義と地方自治を確かなものにするため、次の挑戦が始まった。
西山正啓(にしやままさひろ)
ドキュメンタリー映画作家/福岡教育大学「共生社会論」講師/山口県立大学現代GP「地域共生演習」講師。
代表作「ゆんたんざ沖縄」「しがらきから吹いてくる風」「水からの速達」「大量廃棄社会に未来はあるか」「梅香里メヒャンニ」「ベトナムに生まれて~枯葉剤を浴びた村から」「朋の時間~母たちの季節」「ぬちどぅ魂の声」「米軍再編・岩国の選択」シリーズ3部作。現在「映画上映&井原勝介トーク」を全国で展開中。
上映についての問合せは092-942-7406(ファックス兼)
Eメール:n-aitaro@nifty.com
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全国的に注目された市長選挙から、いま岩国市で何が起きているのか。
井原勝介前岩国市長トーク&映画上映
米軍再編と地方自治を語る!全国展開中。
住民投票を経験したからこそ気づいたことがある。この国の政治は平気で約束を破る。
非協力の自治体に対して法律をつくってまでしてあからさまにイジメる。米軍再編に揺れる
岩国市長と市民の<人間の尊厳>をかけた不屈の闘い。その魂の記録を映画とトークで!
映画「米軍再編・岩国の選択」シリーズ三部作/西山正啓 製作・監督作品
●第一作「米軍再編・岩国の選択~2006住民投票の記録」 (98分)
●第二作「消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり」 (95分)
●第三作「貧者の一灯~子や孫たちに語りつぐ闘い」 (110分)(短縮版65分)
上映の問合せ/092-942-7406(西山)0422-32-3081(岩国と共に蓮の会・山田)
Eメール
国策の横暴、引き裂かれる民意、主権者はだれ、主権在民はどこへ
国策の横暴~岩国報道とマスコミ
2007年2月8日神奈川県横須賀市議会が「原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案」を31対10で否決した。その横須賀を母港とする原子力空母の艦載機部隊(所属は厚木基地)59機を受入れるかどうかについて06年3月に住民投票を実施したのが山口県岩国市。戦後60年、国の政策を従順に受入れ米軍基地と共存してきた筈の人々が
”もうこれ以上、基地の拡大強化はイヤだ!”と、堰を切ったように住民投票で明確な意志表示(投票率58%、全投票者の87%が受入れ反対)をしたのである。
それから2年、横須賀市では再び「原子力空母母港化の是非を問う住民投票条例」の直接請求運動が始まり、岩国では2月10日に出直し市長選挙が行われ、受入れ容認派候補が当選したことで事態は一変した。新市長は就任してから僅か15日で受入れを容認、それを受けて防衛省も3月12日には<約束済みだった>にもかかわらず一方的にカットし、兵糧攻め状態にしていた新市庁舎建設補助金35億円と米軍再編交付金の支給決定を市長に伝えた。
私は住民投票からこの2年間、「米軍再編・岩国の選択」という定点観測で岩国を映画で記録しつづけてきた。地域住民の意思を一切無視して推し進められる在日米軍再編。言うことを聞かなければ平気で公約(岩国新市庁舎建設補助金)を破り、法律(米軍再編推進特別措置法)を作ってまでしてあからさまにイジメる。封建時代と何ら変わらない、この国の横暴なやり方をマスコミはちゃんと伝えているか。
06年3月に行われた岩国住民投票には東京、大阪からテレビ、新聞、月刊誌、週刊誌などマスコミ取材陣が大挙して岩国入りした。しかし投票後は汐が引くように彼らの関心も遠のいていった。マスコミ各社の岩国支局記者は毎日のように取材を重ね記事を書いているが、その扱いが地域版限定だから岩国でまかり通る”国策の横暴”が全国に伝わらない。これはローカル枠でしか放送されないテレビでも同じことだ。意欲的に45分番組を制作してもローカル枠だから県外には流れない。岩国は山口と広島の県境にあるので、紙面の扱いによってはすぐ隣の広島にも伝わらない。逆も然り。沖縄辺野古、神奈川県座間、厚木、横須賀の動向も岩国の人たちにはほとんど知らされない。在日米軍再編にかかわる全国各地の重要な動きがマスコミを通して当該地域の人々に伝えられないのである。横須賀の原子力空母配備に関る住民投票条例の直接請求運動が首都圏で関心が低いのもマスコミによって報道されないからではないか。原子力空母の母港化は過密な東京湾の入口に不安定な原子力発電所が建設されることと同じである。もし東京湾に原子力発電所が建設されると知ったら首都圏住民はどう反応するだろうか。都心から直線距離にして僅か40キロの場所で<安心・安全>にかかわる重大な事柄が進行しているのだ。マスコミの報道すべき優先順位はどこにあるのか。
昨年8月、井原勝介岩国市長(当時)が東京三鷹駅前と銀座数寄屋橋で、国による理不尽な新庁舎建設補助金カットの不当性を訴える街頭募金活動を行った。地方の首長が政府の足元に”上京”して直訴するなんて事は、これはもう”事件”である。しかしマスコミの反応は鈍かった。翌日、写真入の記事を見てさらに驚いた。扱いが「東京武蔵野版」だったからだ。
私は映画「米軍再編・岩国の選択」シリーズ一作目のチラシに「国策の横暴・引き裂かれる民意/主権者はだれ・主権在民はどこへ」と書いた。岩国問題は国策(米軍再編)に対峙する地方自治という憲法の根幹に関る重要課題と考えたからからである。
二作目「消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり」(95分)では07年の年明けに突如発表された米軍住宅建設計画に反発する愛宕山開発地域周辺自治会の声を丹念に記録した。最新作「貧者の一灯~子や孫たちに語りつぐ闘い」(110分)は国策の横暴によって引き裂かれてゆく民意の中で、少子高齢化、過疎、後継者不足という日本の地方が抱えたもう一つの厳しい現実を描いた。平和な岩国を願い、地域にへばりついて米をつくり、美しい蓮根(ハス)の花を育て、「ここはアメリカの土地でも、国の土地でもない。ここで暮らす我々の土地である」と語る人々の不屈の心。その魂の在処を記録した。4月、井原後援会が草の根ネットワーク岩国に衣替えした。井原勝介前市長も自身の経験を伝える市民政治塾を立ち上げた。民主主義と地方自治を確かなものにするため、次の挑戦が始まった。
西山正啓(にしやままさひろ)ドキュメンタリー映画作家/福岡教育大学「共生社会論」講師。
代表作「ゆんたんざ沖縄」「しがらきから吹いてくる風」「水からの速達」「梅香里メヒャンニ」「朋の時間~母たちの季節」「ぬちどぅ魂の声」「米軍再編・岩国の選択」シリーズ3部作。