おしゃべりバスケット)オランダのスーパーで気軽におしゃべりできる仕掛け
2024/01/23
Mand in Mand Kameraden 「手に手にカゴもつ仲間どうし」と大きく書かれた添付の写真には、インスタグラム上で、オランダ語で次のようなメッセージがついています。
「なんて素晴らしいプロモーションなんだ! 私はすぐにバスケットを手にした。正直なところ、少し興奮気味だったが、数分後、一人の男性が近づいてきた。彼の名前はマルコで、私たちはとても楽しい会話をし、特に買い物カゴは本物の発明だと思うという話をした! これからはもっと頻繁にやってみようと思うし、みんなにもやってみるよう勧めるよ。これからも頑張ってください。」アレクサンダーのメッセージ
バスケット体験は、私たちに微笑みを与えてくれる。アレクサンダーと同じように、私たちもあなたがアルバート・ハイエンでどのようにおしゃべりをしたのか知りたいのです!😄🛒
オランダのスーパーアルバート・ハイエンに導入された Het Boodschapmandje 「おしゃべりのための買い物かご」
言葉の書いてない青いカゴではなく、以下のように書かれた緑のカゴを手にした人どうしは
カゴに書かれた Ik sta open voor een leuk gesprek (I am open to a nice conversation)「わたしは楽しい会話にオープンです」の言葉通り、世間話を楽しむことができる、という仕掛けです。
なんでもない、ほとんど予算だって余分にはかからない工夫で(どうせ、スーパーの買い物かごは古くなれば順次補充していくのでしょうから)、常日頃話し相手もなくて一人ぼっちの人も、買い物にでかけたついでに、いろんな人たちと気軽にお話ができるという、素晴らしいアイデアではありませんか。
このアイデアを推進している、Oma’s Soep(おばあちゃんのスープ)という団体のインスタグラムには、短い動画とともに、次のような説明が載せられています。
https://www.instagram.com/omassoep/reel/C2NARHqti0l/
メッセージバスケット、つながりへの招待状!🌟
どのように機能するのか不思議ですか? ビデオで簡単な手順をご覧ください。すでに居心地の良い会話をして、新しい友達ができましたか? DMでお知らせください!📩✨
メッセージバスケットは以下のAH(アルバート・ハイン)スーパーのお店にあります(略)
オランダ在住のナオミさんの ブログに以下のような詳しい紹介が載っていましたので、シェアさせていただきます。
https://note.com/naom_27/n/ne05147f9e885
この方のnoteには、おしゃべりレジ の話や、 Oma's Soepの活動紹介なども載っています!
こんにちは! 先日、時々チェックしている"De Westkrant"というニュースサイトで面白い記事を発見しました。その記事のタイトルは、
"Green basket in supermarket for a chat" 日本語にすると、「おしゃべりをするための緑の買いカゴ」という見出しの記事でした。
オランダの高齢化
どの国、社会においても課題化されているのが「高齢化」です。オランダも例外ではなく、CBS(オランダ統計局)によると、1950年代には8%だった65歳以上の人口は、2011年以降高齢化の一途を辿っているそうです。2021年においては人口の約20%が65歳以上となり、2035年にはその数が24.4%まで増加。さらに2040年には25.1%を迎え、2050年24.7%とやや減少を迎えるという見通しが立っているそうです。
さらに85歳以上の高齢者の数も増えています。2021年の約39万人から、2035年にかけてその数は71 万3,000人、つまり倍以上へと膨らみ、2050年には100 万人以上に増加するという見通しです。全体的な人口比率から見ると、その数は2021 年の2.2%から2035年の3.8%と急激に増加し、2050年には2.5%まで落ち着くという予測です。
85歳以上の高齢者の中にはパートナーとの死別によってより深い孤独を感じる人も多く、公的なケア以外の部分は彼らの子どもである50代〜70代の肩に大きくのしかかるという社会問題が予測されているそうです。つまり、高齢化する社会に対してそのサポートやケアをする側の(比較的若い)人々の人手が足りなくなるということ。その減少は実に顕著で、1975年時点では、85歳以上のすべての人に対して潜在的な介護者(50~75歳)が30人いたのに対して、2021年にはそれが約14人にまで急激に減少しました。さらにここからは減少の一途を辿り、2035年には約10人、2050年には5人になると予測されているそうです。
高齢者の孤独と、近所のおばあちゃん
先日、オランダの高齢者のセックスライフについての記事を書きました。
加齢後も楽しいセックスライフを送っている人たちがいるとされるオランダですが、高齢化は深刻化の一途をたどる様子。元気でセックスが楽しめている間は良いですが、いよいよ誰かの手を借りて生活しなければいけないくなった時に、助けを求める先の人たちの人手が足りないというのは深刻です。
私たちが住んでいる下の階には一人暮らしの88歳のおばあちゃんがいます。とうの昔に離婚したという超がつくほどヘビースモカーのおばあちゃん。息子はいると言いますが、家に来ている様子は一度も見たことがありません。
週に1回〜2回ほど乗合バンの迎えが来て、楽しそうにどこかセンターへ出掛けている様子ではありますが、普段は家でテレビを1日中観ていると言っていました。
先日、そんなおばあちゃんが私たちの家のベルを鳴らして「あなたはひとりぼっち」と知らない人の声が何度も聞こえると言うので、確かめるべく家に入らせてもらいテレビとラジオを消してもらったのですが、何も聞こえませんでした。「ねぇ、聞こえるでしょう?」と言われたのですが「おばあちゃん、何も聞こえないよ」と私。「そう。私だけに聞こえるのね」と、おばあちゃんは寂しげにドアを閉めたということがありました。
オランダの高齢者の孤独救済
あまり知られていませんが、オランダでは高齢者の孤独を何とか和らげようとする取り組みがいくつかあります。もちろん、こういった取り組みが「大成功」かどうかと言われればそうではない部分もあるのかもしれませんが、取り組もうとする人たちの存在はいつも希望だなと思っています。
▶︎ 若者の住宅不足 × 高齢者施設への住み込み
Connect Generationsは、オランダの住宅不足と高齢者の孤独にwin-winな関係をもたらす団体です。オランダは何年も慢性的な住宅不足にあり、特に学生は家を出てから1人で暮らすアパートや、シェアメイトと暮らす場所をなかなか見つけられないという問題が深刻化しています。そこで、Connect Generationsはそこに高齢者との関わりをプラスして、高齢者施設の一部を学生に貸し出すことで学生にとっての部屋を、そして高齢者にとっての関わりを創出しようとしています。
具体的には、学生は一般的な家賃に比べると安い月々数百ユーロの家賃を支払い、月30時間の高齢者との接点を持つボランティア活動を約束します。地域によって若者居住者の施設は多少異なるようですが、おおよそ20平方メートルの部屋に自分専用のトイレ、バスルーム、キッチンがあり、リビングルームを他の何人かと共有するそうです。
▶︎ 高齢者だけではない、より混ざり合った社会へ
少し話はずれますが、Connect Generationsの活動は高齢者と若者の接点だけではなく、障がい者やホームレスの人たちとの接点を持つ活動にまで広がっているそうです。
これから社会に出ようとする学生たちや若者にとって、社会というものを広く捉えるConnect Generationsの経験はこれからの社会を考える時にも役立つそうです。
こんな風にして、社会が抱える問題を組み合わせて"みんなwin-win"みたいなことを考えるのが得意だと感じます。
「緑の買い物かご」の導入を提案した「おばあちゃんのスープ」という団体
さて、前置きが長くなりましたが、高齢化する社会と彼らの孤独、そしてオランダが得意な"win-win"な考え方に基づいたConnect Generationsのアイデアに続いて、2024年になってオランダ大手のスーパーで導入されたのがOma's soep、日本語にすると「おばあちゃんのスープ」という団体が考案した「緑色の買い物かご」という取り組みでした。
記事はこう続きます。
特別な緑色のバスケットがアルバート・ハイン(オランダの大手スーパー:以下AH)の 10店舗に置かれ、そのうち5店舗はオランダの西部に位置しています。 AHのカラーである"青いバスケット"ではなく、"緑のバスケット"を持った顧客は、誰かと話すチャンスを望んでいる証。これは、孤独と闘い、「買い物かご」で人同士のつながりを促進したいと考えている Oma's Soep(おばあちゃんのスープ)という団体の取り組みです。
多くの高齢者は孤独を感じており、スーパーに行くことがその日の唯一の社会とのつながりを感じるルーティーンであると考えていることがよくあります。 Oma's soep(おばあちゃんのスープ)という団体は、緑のバスケットを導入することで、顧客に他の人、特に高齢者にもっと頻繁に話しかけてもらいたいと考えています。 緑の買い物かごの中には会話を始めための方法が書かれたチラシが入っていて、電話番号を交換するためのスペースもあります。 これはアムステルダムで、1 か月間の試験期間として行われています。
西部にあるAHの5つの支部、Spaarndammerdijk, Bilderdijkstraat, Jan Evertsenstraat, Kinkerstraat and Overtoomが、現在試験的にこの取り組みを実施中です。 Oma's soep(おばあちゃんのスープ)は西部のContactwegにあり、おばあちゃんのレシピに基づいたスープなどを販売しています。 団体によると、少なくとも利益の半分は孤独と闘う人々を支援するための活動に充てているそうです。
https://www.dewestkrant.nl/groen-mandje-in-supermarkt-voor-een-praatje/