新しい本)『南島の地名を歩く』南島地名研究センター編
2023/11/22
電柱通りにある沖縄の出版社 ボーダーインク の新しい本
新装版 安渓遊地も書かせていただいています。スマホ時代でも携帯が苦にならない、必携本ですよー。
https://borderink.com/?pid=177865935
『南島の地名を歩く』南島地名研究センター編
ボーダー新書22
ISBN 978-4-89982-454-1
1,540円(内税)
南島(奄美、沖縄、大東、宮古、八重山)の地名は面白い
語源や成り立ちから見えてくる、地名に込められた歴史と文化
身近な地名が面白い!
難読地名「仲村渠(なかんだかり)」の語源は?
なぜ西のつく地名が多いのか?
基地で消えた地名
川でないのに川がつく地名の謎
*本書は『地名を歩く 増補改訂』(ボーダインク、2006)をもとにした新書版である。新書判では図表や写真は割愛し、論考78編中10編を割愛し、1編を新たに追加した。配列にも多少変更を加え、新たに見出しを加えたものもある。
〈執筆者一覧〉 50音順
新垣 源勇
安渓 遊地
石垣 繁
糸洌 長章
上原 冨二男
奥田良 寛春
我那覇 念
金城 善
久高 将清
久手堅 憲夫
崎山 直
島袋 伸三
知名 定順
津波 高志
堂前 亮平
渡久地 健
渡久山 章
名嘉 順一
仲宗根 將二
仲田 邦彦
仲原 弘哲
仲松 源光
仲松 弥秀
中村 誠司
牧野 哲郎
町田 宗博
松村 順一
宮内 久光
宮城 幸吉
■ 目次
Ⅰ 南島の地名を考える
1 沖縄の地名の特徴
2 全国的視野からみた琉球弧の地名
3 北方を「上」と見る思想
4 村(ムラ)と村(ソン)
5 東江は日があがるところ
6 なぜ西の付く地名が多いのか
7 沖縄の山は「〜岳」
8 数多くある沖縄のグスク
9 山原の地名バーリ、バール
10 東恩納説にみる二村落の連称
11 古代の沖縄の集落「マキヨ」
12 宮古・八重山の集落「ハカ」
13 地形図にみる集落名の変遷
14 島の方言としての地名を守る
15 下地島の地形・地名・人
Ⅱ 島の名称
16 文献にみる「沖縄」と「琉球」【沖縄と琉球】
17 サンゴの美しい島【うるま島】
18 サンゴ礁段丘の島【ききや(喜界島)】
19 各地にある「鳥島」【鳥島】
20 葉壁山と呼ばれた島々【伊平屋島、伊是名島】
21 ベイジル・ホールの地図にも掲載 【伊江島】
22 海中道路の走る島【平安座島】
23 イザイホーの島【久高島】
24 中国人のつけた名前「馬歯山」【慶良間諸島】
25 ボロジノ島として知られた島【大東諸島】
26 ミャーク・麻姑山・太平山【宮古】
Ⅲ 集落の地名
27 全国にも多い「なご」地名【名護】
28 地名が巻き起こす珍事【恩納の伊武部】
29 「チンヤンバル(金武山原)」【金武】
30 二つあった具志川村【具志川】
31 米軍基地のため戦後独立【嘉手納】
32 基地の街の象徴【コザ】
33 かつては越来の中心地【嘉間良】
34 各地にあった中城地名【中城】
35 第一尚氏出生の地【佐敷(サシチ)】
36 「村渠」は村別れの意味【仲村渠】
37 白銀堂が発祥の地【糸満】
38 沖縄戦終焉の地【摩文仁】
39 北のあたりとグスクのあたり【西辺と城辺】
Ⅳ 地形・水に由来する地名
40 波之上宮はハナグスク【「鼻」は岬角名】
41 蛇の意からきた岬名【平安名崎(ピョウナ・ザキ)】
42 宜野座村のシンボル【ガラマン岳】
43 八重山の峠【越地】
44 語源は小坂かくびれか【クビリ】
45 難読地名「大工廻」【「サク」地名】
46 八重山で谷や割れ目の意味【バリのつく地名】
47 名称は似るも地形は別もの【トー原とドー原】
48 『古事記」にも出てくる地名【ヒラ・坂】
49 小盆地の谷地地名【幸地・垣】
50 ハンタから生まれた地名【坂田】
51 川でない川【井泉由来地名】
52 地下水が湧き出る泉【八重山の「ナー」】
53 樋が掛けられている井泉【ヒージャー】
Ⅴ 海岸・海地名
54 海浜地名「ユナ」【与那覇・与那原】
55 砂地の地名・兼久【カニク】
56 奄美の「カニク」地名のルーツ【金久】
57 流されて溜まった土砂【イーフ】
58 石になった浜【板干瀬】
59 海の出入り口の澪・津口【ヌー】
60 港の昔の名前【津・津口】
61 船のとまるところ【港・湊・泊】
62 オモロに歌われ琉歌にない言葉【イノー】
63 瀬戸地名が由来【「シル」地名】
64 幻の大陸へのロマン【八重干瀬】
65 海底の地形的高まり【スニ】
Ⅵ 歴史・民俗を伝える地名
66 琉球弧のみに残存する地名【オボツ山】
67 神の足がかりの地【キョウ】
68 各地の海岸・海に立つ【立神・トンバラ】
69 「寺」でない「テラ」
70 王府時代の主要道路【宿道】
71 競馬だけでないイベントスペース【馬場(ウマーウイ)】
72 道路が交差するところ【ツンマーセ】
73 切り通しの生活道路【ワイトゥイ】
74 門は門にあらず【ジョウ】
75 分村・移住の歴史を物語る【宮古島の「添」地名】
76 全国70%余の米軍専用施設【米軍基地】
77 基地で消えた地名
78 市町村合併にみる地名
79 戦後の埋立地、新たな地名「〜崎」
新書版あとがき
執筆者一覧
■新書版あとがき
本書の初版は、『琉球新報』に1990年の1年間、南島地名研究センターの会員が中心となって、毎日曜日に連載された「地名を歩く」を基に、補筆・追加を行い、翌年の10月にボーダインクから発行されたものである。
その初版の連載が始まる前の1986年には、角川書店から『角川日本地名大辞典 47沖縄県』が刊行され、また初版刊行後の2002年には平凡社から『日本歴史地名大系第48巻 沖縄県の地名』が刊行され、沖縄県民をはじめ、多くの方々に琉球・沖縄の地名を考えることが身近なものとなった。
当センターの会員は、これらの大型の地名辞典とは趣を異にし、独自の目線で奄美から先島までの琉球弧の地名を明らかにしてきた。
初版の完売により、新たに増補改訂版が2006年10月に発行された。これもすでに完売とのことである。地名を研究する者にとって、多くの方々がこれらの「地名を歩く」を手に、地名を歩いていることを想うとたいへんうれしくなる。
今回は、新書版として提供するため、紙面が限られていることから、これまでの図表を割愛するなど内容を再編するとともに、前回の増補改訂版で指摘のあった「埋立地の地名」を加えた。
増補改訂版の発行から17年が経過し、執筆者の多くが鬼籍に入られている。本書を読んでいると、その諸先輩方の地名に対する思いが強く感じられ、願いが叶うのであれば、もう1度お目にかかって、さらなるその思いをご教示いただきたいものである。
南島地名研究センターが1982年に発会してから、40年余が経過した。近年は新型コロナウイルスの蔓延により、研究会はおろか巡検も開催することができない日々が続いた。そのコロナもやっと落ち着きが見え、人々に日常が戻りつつある。
本書を手に、新たな「地名を歩く」をはじめなければならない思いでいっぱいである。
結びに、初版・増補改訂版に続き、装いも新たに新書版として、よみがえる『地名を歩く』は、ボーダーインクの池宮紀子社長の並々ならぬ思いの結実である。また、会員の渡久地健氏には、増補改訂版を新書版にするにあたって、編集の労をとっていただいた。記して感謝申し上げる次第である。
南島地名研究センター代表 金城 善
■著者プロフィール
南島地名研究センター(なんとうちめいけんきゅうセンター)
1982年、地名は祖先の残した大切な文化遺産である、との認識のもと研究者や地名を愛する人々らによって仲松弥秀を初代代表として設立。機関誌『南島の地名』は第6集(2005、ボーダーインク)、会報「珊瑚の島だより」は62号を数える。1991年『地名を歩く』、2006年『地名を歩く 増補改訂』を発刊(ともに絶版)。1993年、日本地名研究所より活動奨励賞を受賞。南島(琉球弧)の地名をテーマに、研究発表会(大会)、例会、巡検などの活動を行っている。
〒903-0129
沖縄県西原町字千原1番地
琉球大学文学部地理学教室内
■2023年10月31日発行
以上、ご紹介は、生物文化多様性研究所・安渓遊地でした。