#広島県_#竹原市_)#LNG基地_と_#発電所 #ハチの干潟_#保全_をめざす生物系 5_#学会_からの_要望書 _RT_@tiniasobu
2021/09/11
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English version is available in http://ankei.jp/yuji_en/?n=2529
以前に
http://ankei.jp/yuji/?n=2523
http://ankei.jp/yuji/?n=2524
でもお知らせしておりました、ハチの干潟の保全をめぐる学会の要望書が、2021年9月9日 関係者に郵送されました。
以下に関係省庁向けの要望書を添付します。pdfでは、関係省庁と事業者向けの要望書および、参考資料を添付します。jpgは、参考資料と同じものですが、スマホで見やすいようにjpgにしています。文字化けする旧漢字などは、修正してあります。pdfが正式のものです。
2021年9月9日
環境大臣 小泉進次郎 様
広島県知事 湯崎英彦 様
竹原市長 今栄敏彦 様
日本貝類学会多様性保全委員会 委員長 岩崎敬二
軟体動物多様性学会自然環境保全委員会 委員長 安渓遊地
一般社団法人日本生態学会中国四国地区会 会長 永松 大
一般社団法人日本魚類学会 会長 篠原現人
日本ベントス学会自然環境保全委員会 委員長 佐藤慎一
広島県竹原市「ハチの干潟」の生物多様性の保全に関する要望書
広島県竹原市の地先に広がる「ハチの干潟」は、海浜性生物の種の多様性が著しく高く、絶滅危惧種をはじめとする希少種も多数棲息する、極めて貴重な干潟です。環境省によって、2015年には「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(略称「重要湿地」)」に選定されており、さらに、2016年には、この干潟の周辺海域が「大崎上島北」として「生物多様性の観点から重要度の高い海域(略称「重要海域」)」にも指定されています。
本年6月、この干潟の西端に液化天然ガス(LNG)火力発電所とLNG貯蔵施設を建設する計画が公表されました。この計画がそのまま実施された場合、この干潟の自然環境と生物多様性が大きく損なわれることが予想されます。よって、世界的にも比類のないこの重要湿地を保全するために、この計画の事業者に対して、一旦事業の進行を取りやめて環境影響評価を実施し、その結果を公開して第三者の判断を仰ぎ、生物多様性への影響が予測された場合には計画を再考または中止するようご指導いただけますよう要望いたします。
「ハチの干潟」とその周辺海域には、最も絶滅のおそれが高い絶滅危惧I類として環境省レッドリスト2020または環境省海洋生物レッドリスト2017に掲載された種が少なくとも15種、次に絶滅のおそれが高い絶滅危惧II類として掲載されたものが少なくとも18種、準絶滅危惧種として掲載されたものが少なくとも37種棲息していることが、広島大学や岡山大学等の研究者によって明らかにされています(別添資料表参照)。この中には、「ハチの干潟」をタイプ産地として新種記載されたもの(セトウチドチクチユムシ)も含まれています。絶滅危惧I類の生物の中には、生きた化石と呼ばれ、この干潟が世界最北の分布地となるカブトガニとその共生種であるカブトガニウズムシ、
死殻は各地の干潟で見つかるものの生貝が棲息する場所は
もはやこの干潟を含む2~3箇所しかなく、干潟に棲息する二枚貝の中で最も絶滅が危惧されるイセシラガイとオキナノエガオなど、世界的に見ても極めて貴重な生物たちが含まれています。環境省のレッドリストには掲載されていないものの、広島県レッドデータブック2011に掲載された生物5種も棲息しています(別添資料表参照)。そのうち、スナメリの棲息場所は、「スナメリクジラ回游海面」として国指定の天然記念物となっています。
かつての瀬戸内海には、このハチの干潟に匹敵する自然度と生物多様性の極めて高い干潟が多数存在したと推察されますが、現在、そのほとんどは埋め立て、干拓、海域での人工構築物の設置や陸域の開発等によって消失するか往時の姿が失われてしまいました。ハチの干潟は、瀬?内海の沿岸生物のかつての豊穣な多様性が大変に良好な状態で残されている数少ない場所の一つであり、日本の沿岸生物の多様性保全の観点から最も重要な保全対象地域の一つと言えます。そのため、ハチの干潟とその周辺の海域は、冒頭に記したよ
うに環境省によって「重要干潟」と「重要海域」に指定されているわけです。この高い生物多様性に注目した国内外の多くの研究者がここを訪れ、研究教育活動を継続しています。
広島大学をはじめ、国立科学博物館、北海道大学、京都大学、岡山大学、高知大学、九州大学、国立米子工業高等学校、ドイツのAlfredWegenerInstituteなどの教育機関の研究教育の場となっており、この干潟の生物を扱った学術論文は近年だけでも20編以上が出版され、我が国の海洋生物学研究の大きな財産となっています。また、ハチの干潟は、地域社会の環境教育の場として、広島県や竹原市などによって頻繁に活用されてきた場所でもあります。
この干潟の西端に位置する竹原市下野町の陸地に、液化天然ガス(LNG)火力発電所を建設し、その地先の海上にLNG貯蔵基地を浮体式で設置する計画をJBGPowerGmbH社(ベルリン)と株式会社JBGエナジー社(東京)が進めていることが、本年5月、明らかとなりました。火力発電所建設予定地は約7ha、発電規模は74,000kwとされており、陸地とLNG貯蔵基地とは全長 約500mの桟橋でつなぎ、全長 250mものLNG運搬外航船が1ヶ月に1~2度寄港する予定とのことです。この計画が実施された場合、以下のような被害が発生することが予想されます。
1: 建設途中で発生する砂泥等の巻き上がりや陸地から海域への流出が、干潟を含む沿岸海域の生物の棲息場所や摂食活動に大きな影響を与える可能性がある。
2: 建設途中に、外来海洋生物の移入手段として最もリスクが高い工事用台船等によって外来生物が持ち込まれ、絶滅危惧種を含む在来生物を減少させる可能性がある。
3:「火力発電所の冷却水はクローズドシステムとする」とだけ公表されているが、永久に同一の冷却水を使用するとは考えられない。海域に廃棄された場合、腐蝕防止剤等の汚染物質が水
生生物に悪影響を与える可能性がある。
4: 500mもの桟橋とLNG貯蔵施設となる浮体物を設置した場合、沿岸流の流量や流向が変化し、わずかな変化であっても干潟の侵食や砂泥質土壌の粒度組成の変化が生じ、そこに棲息する生物たちに大きな影響を及ぼす可能性が高い。特に、カブトガニの産卵地は底質が限定されており、大きな影響を受ける可能性が極めて高い。
5: 水深7m~15mの浅海域に、喫水が5m以上と想定される浮体式のLNG貯蔵基地を設置し、喫水が15m以上と想定されるLNG運搬船が寄港するには干潟の沖数百メートルでの大規模な浚渫が不可避であり、上記と同様の沿岸流の変化が生じて干潟生態系に大きな影響を与える可能性が高い。
6: LNG運搬船によって海外から直接外来海洋生物が自然度の高い海域に持ち込まれ、在来生態系を大きく改変する可能性がある。
7: LNG運搬船による座礁等の海難事故が生じた場合、干潟生態系に甚大な被害が発生する可能性がある。
しかるに、この火力発電所建設計画(建設予定の火力発電所の出力:74,000kw)は、国の環境影響評価法と広島県の環境影響評価条例のいずれにおいても環境影響評価を行う基準(国の環境影響評価法の第2種事業では112,500kw以上、広島県条例では75,000kw以上)に該当しないため、上記のような希少な干潟の自然環境と貴重かつ豊穣な生物多様性、特に数多くの絶滅
危惧種に及ぶ影響が調査・評価されておらず、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全に関しての配慮」が全くなされておりません。この状況は、本年6月に改正された「瀬戸内海環境保全特別措置法」で干潟の保全が強調されたことに逆行するものであり、看過することはできません。
私たちは、ハチの干潟が、日本にとどまらず世界的に見ても沿岸生物の多様性保全の点で極めて重要であることを鑑み、貴職におかれましては、事業体であるJBG
Power GmbH社と株式会社JBエナジー社に対し、以下の2点をご指導いただきますよう、要望いたします。
(1)一旦事業の進行を中止して科学的に妥当な環境影響評価を実施し、その結果を公開して第
三者の判断を仰ぐこと。
(2)その環境影響評価の結果、ハチの干潟とその周辺海域に棲息する生物への影響が予測され
た場合、計画を変更してその影響を回避する方策を講じるか、回避できない場合には計画そのものを中止すること。
なお、同様の要望書は、環境大臣小泉進次郎様および広島県知事湯崎英彦様にも提出しておりますこと、申し添えます。
以上
この要望書に関する連絡先
日本貝類学会多様性保全委員会委員長 岩崎敬二(奈良大学文学部地理学科教授)
〒631-8502奈良市山陵町1500奈良大学
日本生態学会自然保護専門委員会中国・四国地区委員伊谷行(高知大学教育学部教授)
〒780-8520高知市曙町2-5-1高知大学教育学部
以上、情報共有は、
軟体動物多様性学会・自然環境保全委員長
日本生態学会・自然保護専門委員(エネルギー問題担当)
安渓遊地 です。
ハチの干潟保全事業者宛要書.pdf (361KB)
ハチの干潟資料.pdf (2,386KB)