地震と原発再稼働)川内原発の審査は『耐震偽装』ともいえる大問題 #鹿児島 #川内原発 RT @tiniasobu
2014/09/30
御嶽山が噴火して多数の犠牲者が出ています。つつしんでお見舞いを申し上げます。
原稿書きに追われてなかなか更新ができませんでした。
九州のカルデラが巨大噴火した場合の火砕流は、川内原発を覆うだろうと心配され
ているなかで、再稼働の最前線を走る九州電力ですが、繊細原発の審査は、耐震偽装
とも言えると、石橋先生が指摘しておられます。
以下は、向原勝手連fbからの引用です。
【地震学者が「川内原発の審査は『耐震偽装』ともいえる大問題」と警告】(週刊朝日 10月3日号より抜粋) http://dot.asahi.com/wa/2014092600031.html ‪;#‎;鹿児島‬; ‪;#‎;川内原発‬;
九州電力の川内原発(鹿児島県)が再稼働に向けて急ピッチで動き始めた。審査書
を原子力規制委員会が正式決定し、政府は再稼働を進めるという文書を交付した。だ
が、「原発震災」を早くから警告してきた地震学者の石橋克彦・神戸大学名誉教授は、
審査書は無効だと訴える。
* * *
これまで川内原発の審査書に対する批判は、火山噴火が軽視されているとか、避難
計画が不十分であるとかが大半でした。しかし、地震に関して重大なことが見過ごさ
れています。
福島原発事故の反省に立って原子力規制行政が抜本的に改められ、国民の不安と不
信を払拭(ふっしょく)すべく新規制基準が作られたはずです。全国初となる川内原
発の審査書は、その試金石です。
ところが、新基準自体の欠陥は脇に置くとしても、新基準のもとで規制委員会がき
ちんと審査したかというと、実はそれが驚くほどいい加減なのです。
――九州電力の申請書は9月10日、規制委員会によって「新規制基準に適合する」と
認められた。12日には政府が再稼働を進めることを明記した文書を、上田隆之・資源
エネルギー庁長官が鹿児島県の伊藤祐一郎知事と同県薩摩川内市の岩切秀雄市長に手
渡した。政府のお墨付きを得たことで、九電は再稼働に向けた準備を着々と進めてい
くことになる。だが、石橋氏は月刊誌「科学」9月号に、そもそもの審査がおかしい
と批判する論文を発表した。どういうことなのか。
一言でいうならば、耐震設計の基準とする揺れ=「基準地震動」を策定する手続き
が規則で決められているのに、それを飛ばしているのです。これは基準地震動の過小
評価につながり、法令違反とさえ言えます。
原発の安全上重要な施設は、基準地震動に対して無事であることが求められていま
す。そのため、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」につ
いて、敷地に大きな影響を与えると予想される地震を複数選び、それらによる地震動
を検討することになっています。
しかし九電は、活断層による内陸地殻内地震しか検討しませんでした。プレート間
地震と海洋プレート内地震については、揺れは震度5弱に達せず、原発に大きな影響
を与えないとして無視したのです。
実は、けっしてそうは言い切れません。地震学的に、具体的な懸念があるのです。
ところが審査では、九電の言いなりにしてしまった。
プレート間地震については、社会問題にもなっているように、内閣府の中央防災会
議が駿河湾~日向灘にマグニチュード(M)9級の南海トラフ巨大地震を想定していま
す。そこでは、川内付近の予想最大震度は5弱に達しています。
しかも、これは全体の傾向をみるための目安にすぎないので、特定地点の揺れは別
途検討するように言われています。震源のモデルを安全側に想定すれば、川内では震
度6になるかもしれません。
海洋プレート内地震については、九州内陸のやや深いところで発生する「スラブ内
地震」が重要です。「スラブ」というのは、地下深部に沈み込んだ海洋プレートのこ
とです。
1909年に宮崎県西部の深さ約150キロで推定M7.6のスラブ内地震が起こり、宮崎、
鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録して各地に被害が生じました。
スラブは鹿児島県の地下にも存在しますから、もっと川内に近いところのスラブ内
大地震を想定すべきです。そうすれば川内原発は震度6程度の揺れを受ける恐れもあ
ります。
基準地震動は1万~10万年に1度くらいしか起きない地震を想定すべきものです。だ
からプレート間巨大地震とスラブ内大地震も検討する必要があるのに、九電も審査側
も、規則を無視して「手抜き」をした。
九電は、内陸地殻内地震による基準地震動については、原発から少し離れた活断層
で起こるM7.2~7.5の地震を想定して、最大加速度540ガル(加速度の単位)としまし
た。
南海トラフ巨大地震とスラブ内地震では、この値を超えるかもしれません。前者に
ついては、九電は免震重要棟のために長周期地震動をいちおう検討しましたが、内閣
府の震源モデルの一部をつまみ食いしただけの不十分なものです。
仮に最大加速度が540ガルより小さかったとしても、プレート間地震とスラブ内地
震は活断層地震とは非常に違った揺れ方をするので、基準地震動を策定して重要施設
の耐震安全性をチェックすべきです。
川内原発の基準地震動は620ガルとよく言われますが、これは直下で震源不詳のM6.
1の地震が起きた場合の想定最大加速度です。しかし、活断層がなくてもM7程度まで
の大地震は起こりうるので、これは明らかに過小評価です。
2007年新潟県中越沖地震(M6.8)では東京電力柏崎刈羽原発の1号機の岩盤で1699
ガルを記録しました。地震の想定と地震動の計算の不確かさを考えれば、最低その程
度の基準地震動にすべきです。
しかし、そういう技術的な話とは別に、規則に定められた手続きを飛ばしたのは、
「耐震偽装」ともいえる大問題でしょう。