8/28 )泉田裕彦新潟県知事・「原子力発電所の安全対策における懸念について」記者会見の内容の文字おこし Rt @tiniasobu
2013/11/05
岩下容子さんの労作です。許可を得てfacebook のノートからコピペします。
8/28 泉田裕彦新潟県知事・記者会見(日本記者クラブ) 文字起こし 前篇
2013年9月4日 8:22
泉田裕彦・新潟県知事が、「原子力発電所の安全対策における懸念について」と題し
て話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)
川村:皆さん、お待たせいたしました。それでは、これから新潟県泉田県知事の記者
会見と言いますか、まず、泉田知事にですね スライドを使って頂いて、ここにあり
ますように「原子力発電所の安全対策における問題」ということをですね、まっ、最
新の県知事のいわば方針と言いますか、理念を含めてお話しして頂いて、その後、会
場の皆さんからの質疑応答と参りたいと思います。私は、当クラブ企画委員のテレビ
朝日の川村と申します。今日の進行を司りますので宜しくお願い致します。では、先
ずあの30分程度泉田知事の方からお話をして頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。
泉田:皆さん、こんばんは。本日は、このような機会を、プレゼンテーションをさせ
て頂く機会を与えて頂きまして、誠にありがとうございます。原子力発電所の安全対
策、懸念事項がありますので、今日はこれを先ず最初にですね、お話しをさせて頂き
たいと思います。
その前に私あの、2007年にですね、中越沖地震にあいました。この時の状況とですね、
今回の違いということも含めて、ご説明をさせて頂きたいと思います。2007年の時は
ですね、何が問題だったのかという事を抽出した上で対策を取ると。えーけっこう国
もそれから、東京電力も協力的にやってくれたという感覚があるのですが。福島事故
の後の問題点、そして対策というのは、ほとんど協力して貰えないというか、無視さ
れているというので、2007年と今回、えらい違いというものを実感を致しております。
先ず、スライド1枚めくって下さい。2007年の時ですね、ちょうどあの煙がですね、
これ3号機のタービン建屋からだったんですけど、出ているという状況の中で、東京
電力のサイトと新潟県庁、ホットラインがあるにも拘らず、連絡取ることができませ
んでした。その理由はなんなのかと言うとですね、実はホットラインのある部屋がで
すね、地震で歪んでドアが開かないと。ホットラインの部屋にたどり着けないという
理由で、東電の原発と新潟県庁は連絡取れませんでした。しょうがないので、東電の
本社に連絡をして、そこで繋いで貰って、原発と連絡を取ったという経験をしました。
従ってですね、この2007年の経験を踏まえて、ぜひ、このホットラインくらい、ちゃ
んと繋がるような体制作ってくれという事をお願いをした訳です。その結果出来たの
が、この免震重要棟という事になります。地震があっても揺れを吸収して、そしてこ
こで連絡取れるような機能を作ってもらったと。むろん、これはですね、規制に基づ
いていません。中越沖地震の経験を踏まえて、こういう施設がいるよねと、いう事で
作って貰った訳です。えー、で、その新潟で作ったという後にですね、ふっと考える
と、えー東電の原発は新潟だけじゃなくて、福島にもありますよねと。新潟だけあっ
て福島にないのは変ですよねと。という事で、えー福島の原発に、この免震重要棟が
出来たのが、この事故の半年前です。従ってですね、あの2007年の時、私も結構言わ
れました。泉田さん、もういいじゃないかと。あの東電も色々言っているんだからと。
そうは言ったって連絡つかなかったんだから、ちゃんとやらなきゃダメでしょって言っ
て頑張って作って貰ったという事がなければ、福島には免震重要棟がなかったはずな
んです。この福島に免震重要棟がなければですね、今、東京で人が本当に住めたんで
しょうか、ここで記者会見で来たんでしょうかという事すら疑問を覚える。即ち、事
故の経験というのは、やっぱり反省の上に立って対策を取るべきだという事を強く実
感をしています。
(スライド)もう1枚めくって下さい。えー、それからですね、あの今回の福島の事
故でですね、消防車を使った注水、即ち、冷却というのが行われました。これ、中越
沖地震の時はどうだったのかという事なんですけども。ちょっと写真見て頂きたいの
ですけれども。9頁かな、9頁のスライド。こういう形でですね、2007年の中越沖地震
の事故がありました。これ、あの実は、アップの映像も世界に配信されたのですが。
それ、どういう写真かって言うと、消防に使うための水のパイプがですね、破断をし
まして水が出なくなっちゃうんです、ちょろちょろちょろっと。で、東電の消防隊、
消防車持っていませんので、これ以上近くにいてもしょうがないって事で、皆さん退
避しました。結果として、世界に流れた映像というのは、原子力発電所が火を噴いて
いるのに、周りに誰も人がいないという、映像が世界に配信されたんです。その後の
風評被害が大変でした。コバルト60がちょっとしか出た、今に比べると、ほとんど自
然界で検知出来るぎりぎりのレベルで、別の人工生成物だから分かる、っていうくら
いしか出ていないんですが。それでもですね、風評被害で、海水浴に来る人は激減し、
中越地震の時と違ってですね、観光の戻りがものすごく遅いという影響を受けました。
だから、これは何とかしてくれと。えー、訓練充分するっていうのも勿論なんだけれ
ども、消防車いるでしょという事をお願いしたら作ってくれたのが、消防隊で。あの
時もですね、ちゃんと要求しなかったら、福島のサイトの中には消防車なかったはず
なんです。もし、免震重要棟もなくて消防車がなかったら、ほんとに終息作業出来た
んでしょうかと言う経験をしました。やはり、あの事故の経験というのは真摯に反省
して、対策をとるべきだというのを2007年の時に感じています。
もう1枚お願いします。今度は対応3の3頁。これもですねえ、中越沖地震を踏まえて、
規制に基づいた訳じゃないんですけれども。不等沈下が起きたんですよね。で、火事
になりました。火事になったというところ、こんど、ちょっとまた画を見てほしいん
ですが、7頁。これ、一番激しい所を撮った写真じゃありません。柏崎・刈羽の構内、
ほとんど全域にわたってこんな感じです。手摺は落ちるは、歩道は無くなるは、と言
う形で、柏崎・刈羽の原子力発電所の構内、大よそ、こんな感じになっていました。
で、1枚めくって下さい。不等沈下って、こういう事なんですけど。これ、分かりま
すかねえ。沈下って書いてある線の上に、白いコンクリートと土に汚れたコンクリー
トの境目があると思います。元々の地盤というのは、あの境目まであった訳なんです。
それが地震で沈下をしてですねえ。一番下がったところで、1.5m.低下をするという
事になりました。結果として何が起きたかっていうと、今度はスライドの11頁ご覧下
さい。これ、変圧器を繋いでいるパイプなんですけれども。このパイプが外れて、油
が漏れて、電線がショートしたところから火がついて火事になったという事です。再
稼働をその後することになるんですけども、再稼働をする時に東電から説明があった
のは、これ、建物と一体化しますからと。今度は配管が外れるという事は起きません
という説明で了解をしたという経緯があります。そこでですね、この2007年というの
は、まさに火事が起きたことに対して、どう対処するか、それに対して対策をどうす
るかをやった上で、次のステップということをやった、という事であります。
次に頁がですね、4頁、見て頂きたいと思います。2007年と今回、違うのは、先ず組
織が、原子力安全保安院から原子力規制委員会に変わったと言う所に違いがあります。
で、原子力規制委員会のですね、これまでの対応を見てみますと、どうなってるかっ
て言うとですね、原発の性能基準については、我々が審査をしますと。しかし、それ
だけが任務という形でやっているんではないかという感じがしてなりません。実は、
これ委員の選任の時から何度も言ったんですけれども、全然声が届かなかったんです
が。これいざ、事故が起きた時には、原子力規制委員会が責任をもって、政治介入を
許さずに終息にあたるという事もですね、任務の中に入っている訳であります。然し
ながら、それ、性能だけでは決まらない訳です。法令どうするんだ、組織はどうなる
んだ、誰が判断するんでしょうか。と言うような事、ソフト面も含めてですね、対応
しないと原子力安全の確保なんて出来ないはずなんです。で、赤線引いておきました
けども、これ、原子力規制委員会設置法です。所掌事務の中で、原子力利用における
安全の確保に関すること。これがですね、原子力規制委員会の任務です。所掌事務で
す。で、2項を見て頂くと分かるんですが、原子力利用の安全確保に関する事項につ
いて勧告し、とあります。設備の性能の安全だけ確保すればいいのでなくて、原子力
規制委員会はですね、原子力利用の安全を確保するための機能を与えられているんで
す。従って、政府の中に必要な対策をとるように勧告する機能を持たないといけない。
これを使う気が全くない。自ら、所掌事務を狭めて責任逃れをしているようにしか見
えない。自分のやった所は、これだけですからと、ここだけ見ただけですよと言う形
で終わってるという印象を持ってます。
で、次の頁ご覧下さい。実は、規準を作る前から、2007年の経験、それから東日本大
震災の影響を受けた原発事故の検証作業も県の技術委員会でお願いしている所もあっ
て、分かった所については対応してほしいというお願いを行いました。しかし、原子
力規制委員会から、どんな回答があったかと言う事の一例なんですけども、全部やる
と大変なんで、代表的な所行きたいと思います。上から2番目。字が小さいんでご説
明したいと思います。お手元にあったらご覧頂きたいのですが、炉規法に定める規準
だけじゃあなくて、オフサイトの防災対策どうするのか。で、事故対応にあたる時、
民間と民間の契約で労働法制の基準を超えた放射能を浴びる所に行ってくださいと言
う契約は公序良俗に反するので出来ないはずなんですよね。じゃあ、いざ事故が起き
た時に爺の決死隊で行くぞってその場限りの対応をするのでなくて、いざ、終息活動
にあたる時、民民で対応できないような時、どうするんですかと。この法制度準備し
てほしい。原子力に関わる法制度全体を見直して事故対応をやらないと、また、泥縄
になりますよ、対策講じて下さいとお願いしたをところ、原子力規制委員会からの答
えは、新規制基準に関係ない、という答えになっているという事であります。
次、上から5番目なんですけれども、これ、ベントとか海水注入、これ重大判断です
よね。5000億する機械を潰しましょうという判断を、えー、運転員だったら誰でも知っ
ているんですけど、冷却材を喪失すると最短2時間でメルトダウンするってことにな
る訳です。数時間で判断しなければいけないという時に、誰が判断するんですか。実
は、武藤、当時副社長・現職本部長なんですが、退任する時に私の所にご挨拶に来ら
れました。あの3月11日は、勝俣会長は中国でした。それから清水社長は奈良にいま
した。現場で指揮できるのは、武藤副社長という事になるんですけれど、海水注入す
ると、やっぱり廃炉だよねと言う話がある訳で、海水注入の決断は武藤さんが出来た
かどうか聞いてみました。これ、カメラの前で聞いているので各社調べて頂くと記録
が残っていると思うのですけれども、あの、副社長の一存では判断できませんと言う
答えでした。そりゃそうですよね、5000億パーにする時に会長・社長の意思決定なし
でできるのか、という事になると、やっぱり出来ないという事だと思います。でも、
それじゃあ、困るんですよ。2時間でメルトダウンしちゃうんです。あの福島事故の
本質は何かと言うと、原子力安全は、「止める・冷やす・閉じ込める」なんです。「
止める・冷やす・閉じ込める」で安全が確保できて、「止める」のは成功した、えー
と、スクラム成功と。ところが、「冷やす」ことに失敗すると自動的に「閉じ込め」
に失敗して、放射能を大量にまき散らしてしまいますねって言うのが、これ、福島の
教訓なわけです。だから、いかに早く冷却するかという事が重要なんですが、そこが
本当に出来るんでしょうか。誰が決断するんでしょうか。サラリーマンが、これ、ま
あ、原発所長ですよね。5000億、廃炉の決断できるのでしょうか。じゃあ、原子力規
制委員長がやるんでしょうか、総理がやるんでしょうか。言う点ついて、手順が何も
決まっていないので決めてほしいと言う話をしましたら、ここに書いてあるように、
規制基準に関係ないという答えが戻ってくるというような状況でして。およそ、あの
原子力規制委員会が事故を終息・防ぐつもりがあるのか、そして、住民を被爆から守
る気があるのかと言う事になると、所掌外、所掌外という話になって、まともにやっ
て貰えていないと言うのが現状なわけです。特にあの3月の田中委員長の記者会見、
これ、原発立地の自治体と言うのは、これ、原災法に基づく住民避難に責任を持つ行
政機関なわけです。ここからの質問に対して答えていないんじゃあないんですかと言
う記者の質問に対して、田中委員長の答えは、知事からの質問が出たからと言って、
いちいち答える義務はないという風に言われているということですんで、日本の規制
機関って本当に大丈夫なんだろうかという事が極めて疑問と言う状況だと思っていま
す。
で、次のスライドお願いします。福島の原発事故後の懸念、これ、あのフィルター・
ベントをどうするんだ、という話がある訳なんですが、先ほど、2007年の時にご説明
した通り、建屋と一体化していないとパイプが外れるかもしれない、配管が外れるか
もしれないという懸念があるんで一体化してほしいという話をお願いしています。そ
れに対して、これ、12頁かな、ちょっとスライド見せて下さい。どうも規制委員会の
方が早く、どんどん出来る工事はやっちゃって下さいと言う話をしたらしくって、東
電は、それに従って地元自治体と協議なしに先に作っちゃったんですけど、フィルター
・ベントの本体。話してるんですよ。この間の説明と違いますよねと、あの一体化し
てほしいとお願いをしているんですが一切対応して貰えないという事です。岩盤に打
ち込んでいるからと言う話があるんですが、同じ岩盤にあれば大丈夫かと言うと、皆
さん、東日本大震災の時の、西新宿、新宿の高層ビル街見てイメージ思い出して頂く
と分かるんですが、建物には固有周波数と言うのがありますんで、離しておけば別々
の揺れになる訳ですよ、当然のことながら。一体化した方が安全に決まっている訳で、
これでも大丈夫とかって言うんですけど、余裕を持たせてるから。そうじゃなくて、
より安全にして下さいという事についてはやらない、という状況になってるわけであ
ります。外れてしまえば、どうなるかと言うと、放射能が直接出てくると、いう事に
なる訳であります。
それからですね、次にスライド、飛ばして貰ってですね、懸念2、13頁、スライドお
願いします。フィルター・ベントというのは、希ガスは濾過しません。必ず出てしま
うという事になる訳です。そうするとですね、これは、避難計画と連動させないと住
民、被曝しちゃうリスクがあるという事だと思っています。現実にですね、馬場町長
なんか、よく言われるんですが、浪江町の比較的線量の低い所から、わざわざ、町民
を高い所に避難させてしまったと。福島市に向かって北西に向かって延びる道路の中
で車で被曝された方なんか、けっこうおられる状況になってる訳です。だから、フィ
ルター・ベントにどれだけの性能を持たせるのかという事は、避難計画、物理的に可
能なものと整合して性能を決めなければいけない訳で、一律に原子力規制委員会が判
断できるはずがないと。それも、3機しかない所と7機ある所では、また意味が違って
くる訳ですので、ここの所をどう考えているのですかと言う所についても甚だ心もと
ないという状況です。ちなみにですね、甲状腺がん、どういう風になってるのかと言
う事なんですが、我々も県の専門家に聞いています。当初は、ちなみに数字で申し上
げると、皆さん、ご存知だと思いますが、新潟県内では、事故発生後から今日まで、
甲状腺がん確認された人は1人です。一方、福島では18人コンファームで確認されて、
更に疑い事例が20数名いると。で、まだ全部終わっている訳ではないという状況になっ
ています。あの、これ、チェルノブイリの事故の時も同じようなことが言われて、一
生懸命検査してるんで、いっぱい見つかっただけですよ、と言う話だったんですが、
あと数年するとどうなるかって、はっきり分かります。生れていなかった子ども達、
今の2歳以下の子ども達の発症率とそれ以上の(年齢の)発症率に差があるってこと
ですよね。ソ連の場合は、事故以降に生れた子ども達の発症率と、それ以前の発症率
に差があったんで、これは間違いなく原発事故の影響だってことで確認をされたと。
ウクライナ政府は、もっと色んな病気があるという事を言っているんですが、IAEAは
認めていないという状況で、ウクライナ政府の見解とIAEAの見解が今、ずれていると。
唯一、これ言い逃れができなかったという事だと思うんですけども、甲状腺がんにつ
いては、原発事故の影響というのをを認めたという事です。だから、あと数年してで
すね、マクロで違いがあるかどうか見ないといけないという事だと思うのです。ちな
みに、新潟県がヒヤリングしている専門家は、こういうことを言われています。原発
事故直後は、これが、原発事故の影響によるものかどうかって言うのは、よく分から
ないという見解だったんですけれども、今聞くと、原発事故の影響は、否定できない
という言い方になっています。あと数年経つと、これがどうなるかってのが、いよい
よ確定するという事ではないかなあと言う風に思っています。ちなみに、新潟県、防
災訓練をやってみました。PAZ(半径5㎞以内)ですね、即ち、即時避難地域というの
で、約2万人の人が住んでおられます。400人参加で避難訓練をやったら、大渋滞がお
きて、インターチェンジまで辿り着かないというような状況になってますんで、これ、
本当にどういう対応をするのかってことを考えないと、単に基準合致、ハイOKという
事にはならないという事だと思っています。住民被曝を避けるために、どうしたらい
いのかという事。言葉の語感と違うのですけれども、簡易核シェルターみたいなもの
を小学校区単位に設置するってことも必要なのかもしれない。核シェルターというと
凄いイメージあるのですが、例えば新潟県庁の防災センターは、万が一の時には、目
減りして濾しとるフィルターを付ける、というような形、これ、1500万くらいで措置
できるんですけれども、そういう形の防護措置を講ずる事も考えないといけないじゃ
ないか。何で原子力発電所の性能だけで議論できるのかってこと、全く理解できない。
そういう事だと思っています。
次に、次のスライド、懸念3、ご覧いただきたいと思います。これ、よく誤解される
んですが、安全基準と言う風に言われる政治家の方がいますが。規制委員会は、決し
て安全基準と言いません。規制基準と言う言い方をしています。なぜならば、これま
で原発は事故が起きません、安全ですよ、と言うから安全基準と言う言い方だったん
ですが、今度は、一定の確率で事故が起きる、と言う前提です。それを規制する基準
と言う意味で、規制基準と言う言い方をしています。しかし、これ、一定の確率で事
故が起きるという前提なのですが、じゃあ、過酷事故が起きた場合に、どうやって事
故を終息させるんですか。被害を抑えるんですか。これ、IAEAの深層防護の第5ラン
クが極めて、不備であるという状況になっています。国際基準に達してないという事
だと思っています。この事故を終息させる体制を如何に構築するか、と言う所は、さっ
き見て頂いたように規制基準と関係ないという言い方をされてますんで、極めて、住
民にとっては理不尽な状況で物事が進んでいるという認識をしています。で、福島事
故の本質ってなんなのかと、これ、スタートからして、説明の仕方が、少し違うんじゃ
ないかと思っています。大勢の人は、これは「津波事故」だと思わされている、もし
くは「電源喪失事故」だと思わされている。そんなことありませんから。本質は「冷
却材喪失事故」なんです。冷やす事が出来なくなったから、メルトダウンしたってこ
とで、「津波」は、きっかけです。「電源喪失」もきっかけです。もっと言うとです
ねえ、3月11日の3時35分か37分です。津波が来て、SBO(原子力施設における全電源
喪失状態)が起きた時に、やることは決まっている訳です。もう、冷却しかない訳で
す。これは、冬の暗くなった夕方をイメージしてほしいんですが。自宅でやかんをガ
スで沸かしていました。そしたら強風が吹いてきて、隣の家の木が倒れて、電線が切
れて、真っ暗になりました。そういう事態になった時に、何します、最初に。電線直
しに行きますか、そんなことない訳ですよ。やかんの火を止めるってのを先にやるん
です。これは、ジェネスの教育訓練用ビデオを見るまでもなく、冷却に失敗すれば、
2時間でメルトダウンと言うのは、プロ誰でも知っている訳です。これ、忙しくて混
乱したみたいないい方してますけど、優先順位ちゅうのはある訳ですよ。先ず最初に
やることは、冷却なんです。これ、ベントをするまでもなく、圧が低ければ、低圧で
挿入できる訳ですよね。もしくは、積極的に確認しなければいけないですよ。ICが動
いていたかどうか。なぜ、24時間で1号機が爆発したのかって言う事は、冷却に失敗
したからであって、電源確保の問題でも津波の問題でもないって事です。福島事故の
本質は、「冷却失敗による、メルトダウンが、いかに被害を大きくさせたのか」とい
うことです。で、この辺を詰めると、どういう答えが返ってくるかと言うと、いや訓
練が足りませんでした。ちょっと待て、一番やらないといけない運転員が、冷却のこ
とを視野に入れませんでしたっていう、会社が、本当に原発を運転出来るのでしょう
かと言う疑問に突き当たる。仮にそうだったとすると、どういう対策とったんですか、
って言う説明が今全くない状態になっています。で、4号機、これ、停止してました。
定期検査中で。ところがですね、4号機はメルトダウンの危険があった訳です。たま
たま水素爆発したんで、屋根が無くなって、上からキリンで水入れられましたけど、
あれ、水素爆発しなかったら、使用済み燃料プールでメルトダウンしていた可能性が
ある。入れなかったんですってもう、作業員、線量が高くって。線量が高くってホー
スで水入れられない所を、また同じ状況になったら、どうするんですか。労働安全衛
生法上、民民で契約で行って下さいという訳に行かないでしょ。突然として、爺の決
死隊で行くぞって、また言うんでしょうかねえ。それとも、そういう専門の部隊作る
のか作らないのか。こういう話は一切しない。こういう形で終息作業が、本当に出来
るんでしょうか、という事です。それから、もう1つ、指摘をさせて頂きたいのです
が、放射能を最大に振りまいた原発は2号機です。なぜ2号機から大量の放射能が飛散
したのか。爆発していないのに。これは格納容器が破損したからです。じゃあ、なん
で格納容器が破損したのでしょうか。ベントが出来ないからです。じゃあ、なぜベン
トが出来なかったのでしょうか。これ、技術的要素とそれから社会的要素、2つある
のですけれども。社会的要素の方を先に言うとですねえ、1号機、これ、3月12日の未
明、1時の官房長官会見まで、政府はベントを禁止していました、東電に対して。な
ぜかって言うと住民避難が確認出来ないからです。だから史上初めて故意に放射性物
質放出するにあたって、住民避難を確認できない中でベントするんだ、今これで、公
表しましたから、さあ、これからやって下さい、いう事になったんですけど。そこか
ら先は3時になって、出来た出来ないって言う話になって来るんですけが。少なくて
も5時の段階。3月11日の夕方5時の段階で既に線量が上がっていて、第1回目の東電
の進展予測がなされています。1時間後にメルトダウンが始まると。3月11日の6時過
ぎには、もう危なかったにも関わらず、そこでベントさせなければ、冷却できなくな
る訳ですよ。これ、どうするんですかという事ですよね。更に東電に問いたいのは、
3月11日の時点でもうメルトダウンの予想していた訳です。更に3月12日の未明の段階
で、燃料棒の中のペレットの中にしかない物質を建屋の外で検知してるんです。だか
ら保安院の中村幸一郎審議官は、メルトダウンしてると見ていいという発言を記者会
見でしている訳です。2か月嘘つきました。メルトダウンしてるのを知っているのに。
誰が指示したんですかと、指揮命令系統の確認、そして、それに対してどう対策をと
るんですかっていう話やってない訳ですよ。これ、あの汚染水問題も全く一緒でして、
汚染水の気配は5月ぐらいから分かっていた。少なくても参議院選挙の前にはですね、
社長まで上がって確認をとれてる訳です。汚染水が海に漏れてますよと。でも、発表
を遅らせました。なんで、そういう行動をとるんですか、嘘つくんですか、その原因
はなんなんですか、誰が責任者なんですかという事を全く問題の解消に向けて原因も
追究しなければ、対策も講じていないという状況になっている訳です。もう、ほんと
にあの東電と言うのは2007年の時は、それでも一生懸命やってくれたんです。今回は、
嘘つくんです。ホントのことを言わない。それからですね、社会的責任は果たさない。
口ではやるって言いながら、これ被災者に対する支援もそうです。佐藤知事から1回
言われたんですけど、東電やんないんだろうって言って、言われたんですが。カメラ
の前ではですね、我々の責任で被災者の救済やります、って言う風に一所懸命言うん
ですが。いざ個別の話になると、のらりくらり逃げてですねやらないと。新潟にもま
だ多くの、5000人弱の人がですね、避難して来られています。この人たちは生活再建
の目途建てられません。なぜかって言うと公共保障と違ってですね、元々持っていた
田んぼ、山、それから船。壊れたら使えなくなったら賠償して、もう1回生活再建で
きるようにすると言うのが公共保障の考え方ですけど。東電の賠償はですね、いかに
こう、支出を減らすか、目減りをさせて、今減ってるんだから、あなたの価値、これ
だけね、って言って、2足3文のお金渡されて、終わり。だから生活再建できない。結
局ですね、誰も責任取らない訳です。国も東電も責任をとらない。で、事故が起きる
と誰に皺が寄るかって言うと、そこに住んでいて生活をしていた人に全部皺が寄って
ですね、あとは時間と共に、あの、風化を待つって言うような事になっているんじゃ
ないかと。これで、ほんとにですね、安心して、立地地域の人が取り組める、安全対
策に取り組めるんでしょうか。その現実見せつけられてるという日々が今繋がってい
る、続いているという事です。それ以外にも、もう時間が尽きるんで、止めますが、
使用済み核燃料どうするのと言う話、これも皆さん懸念をしています。六ヶ所村で今
引き取っているのは、これ、廃棄物として引き取っている訳じゃなくて、プルサーマ
ルがあるんで、あくまで資源としてお預かりしているという位置づけですから、この
辺決めないと、使用済み、高レベルの放射性廃棄物戻って来ちゃいますよ、どうしま
すかという事もある訳ですし。ヨウ素剤、これもひどい話で、自治体によっては配布
したんですが。国から回収指示出てましたよね。なんでなんですか、どうも聞いてみ
ると、副作用に対する責任をとる主体が決まってない、という事なんで、何万人も服
用して副反応が出た時に、責任取りたくないんで回収したっていう所が背景にあった
んではないかと。この辺もぜひ、報道機関で当時の経緯調べて頂きたいと思っている
んですけれども。そういう責任回避のためにですね、先ほどお話しした、甲状腺がん
の子ども達がいっぱい出ているんだとすると、大変罪深いという事になるんではない
かという問題意識もあります。
それから、16頁。懸念6なんですけども、二重体系です。あの新潟まで避難されて来
た方って言うのは、5~6回、ひどい人は7回と、避難場所変えてます。なぜそうなる
のかっていうと、自然災害で避難指示、避難勧告出す人は市町村長です、原則。一方、
原子力災害で避難指示出す人は総理です。だから、地震と津波で、あっち行って下さ
い、こっち行って下さいって、言っていった後に、2キロ避難して下さい、5キロ避難
して下さい、20キロ避難して下さいって言われるから、あっち行って、こっち行って、
新潟まで来た時には、もう4回~5回目の避難です、ってことになっちゃう。これ、やっ
ぱり統合的な対応しないと、合理的な避難って難しいと思うんです。私も山古志村の
全村避難経験しましたが、広域自治体が、避難をお願いする時ってのは、どうするかっ
て言うと、受け入れ先、市町村決めるだけじゃありません。ここの高校に行きましょ
うと、受け入れ先の場所まで決めて、それで全村避難をお願いするという事をやりま
したけども。今回政府は30キロの外に出て下さい、20キロの外に出て下さい、それだ
け。更に、あの桜井市長、南相馬の。言われるのは、連絡すらないと。かかっている
んですよ20キロ範囲内に。FAX1本、来なかった。これ、なぜかって言うと、事務局が
原子力安全保安院だからです。これ、経産省の一組織でしたので、私も通産省にいま
したんで、分かりますけど。通産省の職員って言うのは、企業行政ばかりやるんです
よ、若い頃から。だから、住民と向き合ったこともなければ、自治体と話しする機会
もない。中小企業庁すら、自治体スルーするって言うような感じになってますんで。
どうしても、連絡先に20キロ、どんな自治体があって、誰に連絡するのかすらできな
かった。だから、災害対策っていうのは、法制度1本化して一律にやるべきだという
事を言っているんですが。これもやらないという事になってます。
最後に、17,18頁。あの字が細かいんで、1つだけ言います。4つ目のポツくらいです
ね。先ほど申し上げた通り、これ、メルトダウン起きてるってのは、東電は、もう事
故のもう極めて早い初期段階から知っていた訳ですが、これを5月の下旬まで言いま
せんでした。こういう嘘をつくわけなんですよね。汚染水問題もそうですし。それか
ら、社長の頭の中って言うのは、今、9割が資金調達と賠償の話で一杯と。こんな企
業が、本当に原子力発電所の安全運転出来るんでしょうかと言う懸念を持ってます。
最近感じるのは、こういう状況よりも、1度破たん処理をした上で、体制立て直した
方がいいんじゃないかということも、選択肢の1つになるんではないかという事を、
今、思い始めています。あの廣瀬社長の語録、これも象徴的だと思うんですが、3月1
1日の経験を、汚染水の情報発表が遅れたことを追及された時に言った発言なんです
けれども。汚染水の公表の遅れは、3月11日の教訓を学べませんでしたと。今頃になっ
て言っている訳です。3.11の教訓を今もって学べない会社っていうのが、ほんとに原
子力発電所のオペレーションできるのか、という懸念を持たざるを得ない、というの
が、今の正直なところです。
以上、ちょっと飛ばしましたけれども、安全対策についての懸念。どうも、ご清聴あ
りがとうございました。(0;35:38)
8/28 泉田裕彦新潟県知事・記者会見(日本記者クラブ) 文字起こし 後編
2013年9月4日 8:25
川村:どうも、ありがとうございました。2007年の中越沖地震の教訓として、福島に
免震重要棟ができ、あるいは消防の施設もできた。にも関わらず、福島原発の終息は、
まだ見えて来ていない、という事が、東京電力の体質、或いは、今後東電を破たん処
理するという中で、国が全面的に出て来てもいいのではないかと言う所まで示唆して
頂いた知事の会見だったと思いますけれども。これから、質問、質疑に入りたいと思
いますけれども、先ず、最初に私の方から。東電との現段階での折衝が、いったいど
うなっているのか、って言う所が、1度知事と廣瀬社長との面談が、テレビでもきち
んと、かなり細かく報道されたわけですけれども。その後、原発の立地自治体の柏崎・
刈羽の人達と東電、そして県と言う中で、少しずつ温度差が出てきているんではない
かと言う風にも言われていますけど。今、世界のトップニュースになっている「汚染
水がこれだけ漏れている」という中で、東京電力の場合は、経営の危機という事を前
面に打ち出してるようにも感じられますけど。国民の危機と言う立場から考えて、泉
田知事は今後、東電とどういう風に向き合っていこうとしているかを最初に、お伺い
したいと思いますが。
泉田:先ずですね。安全を確保するってことは、実は、東京電力にとってもプラスの
はずなんですよね。その場限りの対応をすることによって、コストを更に増大させて
いるんじゃないかと言う気がしてなりません。例えば、汚染水問題に関して言うと、
今始めて出た問題じゃない訳ですよね。当時の馬淵補佐官も言われてますし、菅元総
理も言われてますが、汚染水問題は、もう最初から念頭にあって、これ、対応しよう
よと言う話をしたところ、1000億は経営負担なんで、といううちにウヤムヤになって
今日に至ってる。あの時、最初に投入していれば、これだけ日本の信用を傷つける事
になったんでしょうかと。それから、これだけ余分なコストがかかるようなことになっ
たんでしょうかと。という事を考えると、早く対応していれば、早く終息に向かって
1歩進む事が出来るのに、それを避けることによって、自分の首を絞めているんじゃ
ないんでしょうかと言う気がしてなりません。信用を落としている原因と言うのもそ
ういう事で、早く過去の負の遺産清算するって気持ちになれないのかなあと思うので
すが。メルトダウン、嘘をつきました。こういう理由で、この人が指示出したんで、
メルトダウン2か月嘘ついちゃったんです。だから、今度はこういう風に直しますよ
ということを、どうして世の中に向かって言わないのだろうかと。これはですね、日
本の信用、それから住民の安全、という観点も含めてやっぱり妥協すべきではないの
だろうと思っています。2007年の時も実は、私、相当言われました。泉田さん、もう
相当やっているんだからいいんじゃないの、これくらいにしとけばと。流れに身を任
せて長いものにまかれた方がいいんじゃないかみたいな事をアドバイスする人もいま
した。でも、今思うと断固として、ホットラインが繋がらなかったことに対しては対
応してほしいと。やって貰ってよかったと。あれ、もし新潟で作っていなかったら、
福島も作っていない訳ですから、東京を失ってた可能性がある。やっぱり、原因、問
題点がわかっているのに、口を噤む、保身としては泉田自身は楽かもしれません。か
もしれませんけど、これはやっぱり後世、歴史に対する不誠実、背任じゃあないかな
あと思っていますんで、問題点として気が付いた事は、しっかり発信していくという
形で向き合っていきたいなと思っています。
会場から
個人会員・土方:具体的な質問は、後で出ると思いますので。福島東電事故に対する
国の認識、ですよね。総理大臣の認識なのかもしれない。終息したって、あれ。最悪
の、野田さんの言った。今、総理が我々は言ってませんと総理が言ってる訳です。で、
その人の認識ってものを、どういう風に考えていらっしゃいますか。あまりに無責任
じゃないですか。何にも我々は終息してませんよ。だから何するって言ってないんで
すよね。そこのアレがないから、国が金を出せばいい、小手先のことを。ほんとに国
の方針が総理にあるのか、内閣にあるのか、難しいことかもしれませんけども。そこ
の所の認識を知事は、どういう風にお考えですか。
泉田:実は、原発の立地自治体で話し合いをした時の質問と、ほぼ一緒だなあと。皆
さんの感想と。というのはですね、今、司令塔がないんです、国に。どこが責任をもっ
て、この原発問題に向き合うのかと、安全性確保するのかという事についての司令塔
がない状況です。例を上げるとですね、文部科学省関係しますよね。それから、防災っ
て言う意味では内閣府が関係します。原子力規制委員会設置の環境省が関係します。
勿論、経済産業省が関係します。ということで、一杯関係すればするほど、セクショ
ナリズムに走って、全体を責任もってやる司令塔は、どこなのかと言うことが、曖昧
になっている。今、原発立地協の間でやろうとしている最大のことは、窓口を作らせ
ると、政府に。これをやろうとしてる。そうじゃなければ、さっき見て頂いた通り、
うちの所管ではありません、みたいな話になるんです。
個人会員・土方:総理大臣は、何をすればいいのですか。
泉田:で、ここの所は、制度上は、原子力規制委員会だと思っています。条文見て貰っ
た通り、原子力の安全利用・安全確保に関することを所掌事務に持ち、勧告権を持っ
ているんだから、ここがやらないといけない。ただ、ここが、どういう経緯で人選を
して貰って、任命される時に、時の政府とどういう約束があったか、よく分かりませ
んが、如何に責任を小さくするか、と言うような形で動いているとしか見えない。で、
普通、選挙で選ばれた政治家であれば、相当世論を気にして、責任を。じゃあ、もっ
とやらないといけないという気持ちになるんですけども、身分保障があるんですよね、
5年間の。だから、これ、選挙の洗礼もない中で、かつ政治的責任も負わない体制で、
実は、権限持っちゃってる、という中で、政治責任を持つ主体が明らかでない、と言
う問題なんで、誰がリーダーシップをとるべきなのかと。言われる通り、総理という
ことかもしれません。ただ、この制度作ったのは、時の菅さんが、過剰に政治介入し
たせいじゃないか、ということで、政治から遮断するために作った制度と言う側面も
あって、少し、宙ぶらりんになっているのかなあという事ですんで、もう1回仕切り
直して、政府全体で責任を決めるという事は、私必要なんじゃないかなあと思ってい
ます。
朝日OB・志村:確か、柏崎・刈羽の原発の中に、地震以降、2007以降、動いていない
原発がたくさんあると思うんですね。なぜ動いてないのか、東京電力が明らかにして
いないので我々もわからないんですが。にも関わらず、また動かすというのは、地震
でもって相当ダメージ受けてる原発がある訳ですよね。そこで、東京電力の言ってい
ることは、非常に矛盾していると思うのですが。その辺は知事、どういう風に把握さ
れているんですか。
泉田:3機動かしていません。理由は、安全協定に基づいて、運転停止要請かけてい
るからです。これ、2つハードルがあって、消防法に基づく使用禁止命令が、柏崎市
消防から出ています。それと、新潟県・柏崎市・刈羽村の3つから、了解しないもの
については、運転をしないで下さいね、という安全協定上の制限をかけてるというこ
となんです。実は、1号機ずつ審査をしてチェックしてました。全部動く前に、また
東日本大震災が来たんで、消防法上の制約と安全規定上の制限で動いていないという
事です。
朝日・藤崎:先ほどの特派員協会でのご発言の真意について確認をさせて頂きたい点
があるのですけれども。先ほど、「国が前面に出る方向性が、汚染水で打ち出されて
いるけれども、これによる影響は」という質問に対して、知事の方が「汚染水に政府
が関わって、結果が出れば、政府と東電に対する信頼は上がると思う」と仰って。「
住民に対する苦しみが下がるのかってことも重要だと思う」と仰ってたと思うんです
が、この汚染水対策と今回の柏崎(・刈羽再稼働)のご判断への影響、東電と政府に
対する信頼感に影響するものなのか、先ず1点、その点について伺わせて頂きたい。
泉田:今、東京電力の状況はどうかというと、嘘をつかない、約束を守る、社会的責
任を果たす。この3つが出来ていないという状況です。その例の1つとして、汚染水
対応と言うのもあるという事だと思っています。この会社は本当に原発を運転する資
格のある会社なのか、という判断の一要素に当然なり得るという事だと思っています。
安全を蔑ろにして経営を優先する。先ほど説明したように、フィルターベント外れた
ら、生の放射能出ちゃうじゃない、だから、より安全にしてよ、って言ってもやって
くれない訳ですよ。安全に運転します、でも頭の中の9割は、借金と賠償ですって言
われたら、安心できないでしょ。だから、やっぱり、そこは、東京電力の信頼性って
意味での、判断の1つの大きな要素になってくるという事だと思います。
朝日・藤崎:もう1点、伺います。その時に、廣瀬さんと会われる予定があるかどう
か、という同じ質問に対して。知事の方が、技術的な所でのどの項目のついて最後、
最終決断するのか整理がつけば、もうお会いしますと言うようなお話だったと思うの
ですが。その目途というか、いつ頃最終決断か。
泉田:それは、東京電力に聞いてほしいですよね。さっきから言ってるようにやり取
りして、議題を決めてですよ、最後トップ同士で、という事であれば話は進むのでしょ
うけど。技術論を、私と廣瀬さんとでやってもしょうがないですよね。という事で、
地元部局同志でやってる訳で。ちゃんとかみ合う形で議論して貰えれば、早くまとま
るのではないでしょうか。
新潟日報・丸井:先ほど、破たん処理をした方がよい、と仰っていましたけど、東京
電力が。
泉田:いいえ、そんなこと、言ってません。
新潟日報・丸井:いいと思っていると、仰って。
泉田:言ってません。
新潟日報・丸井:さっき、おっしゃってませんでしたかね。
泉田:言ってません。
川村:破たん処理も、選択肢に入れたらと。
泉田:なり得るかもしれないと考え始めている、と言いました。
新潟日報・丸井:破たん処理も1つの選択肢になり得ると考え始めている、と言うこ
となんですけど、破たん処理をするとその方が良いと考える理由を教えて頂きたいの
ですが。
泉田:だから、今の経営陣の頭の中の9割が、借金と賠償っていう事で、安全運転考
えるの大変でしょ。最後事故が起きた場合に、どうするかって言うと、経営トップの
判断になるのか、大臣なのか、規制委員長なのか、まだ判然としませんが、やはり、
安全運転どうするかって事を考えられる会社でなければ、安心難しいのではないです
かと。じゃあ、その体制作るために、どうしたらいいかと。その選択肢の1つとして、
破たん処理も選択肢の中に入ってき得るんじゃないでしょうか、と考え始めてます、
と言う意味です。
新潟日報・丸井:破たん処理して、主に経営陣が入れ替わる、刷新することが大事だ
と考える。
泉田:だから、メカニズムですよね。破たん処理した後に、会社1つで行くのか、分
離するのか。発送電分離って話も出てますよね。賠償会社と分けない理由、まあ、色々
言ってるみたいですけれども。これ、同じ会社でそのまま行くのか、少し部門ごとに
分けていくのか。これ、前国会で、法案流れちゃったんで、まあ、政治のイニシアチ
ブも必要と思うのですけれども。少なくとも安全を考える会社に生まれ変わるための
手法の1つとして選択肢に上がり得るんじゃないかという事を申し上げています。
川村:では、もう1つ。私の方から。先ほど、原子力規制委員長の、田中委員長との、
今後の対応について、お話を一緒に2人でするように考えておられるのかどうか。そ
の辺はいかがでしょうか。
泉田:田中委員長が会ってくれない訳ですよ。なんで会ってくれないのかと言うと、
実は質問を出していまして、今回の規制基準と言うのは、福島の検証と総括をしてい
ないんです。だから、2号機がなんで格納容器破壊に至ったのかっていうのも説明で
きないでしょう。それから、1号機もなぜ24時間で爆発しないといけなかったのかっ
て事も説明できない。で、事故率もメルトダウンが1万年に1回。それから大量放射能
放出が10万年に1回とか言って計算しているらしいですけども。そもそも、検証しな
いで、なんでそんなものが計算できるのですかと。一番聞きたいのはですね、住民の
命を守るという運用をする気があるかというとこを聞きたいんです。先ほど見て頂い
た通り、原子力規制委員会は、勧告権を持つ原子力利用の安全確保を任務としてる訳
です。なのに、なぜ、これは、基準対象外という形で取り合わないのかと。その辺の
基本的な考え方をお聞きをしたいと言って、質問投げてます。答えられないから、会っ
てくれないのじゃないかと疑い持たざるを得ない。記者さんたちは、私と違って会え
ますんで、田中委員長に。ぜひ聞いてみて頂きたいですよ。なぜ、住民の安全を確保
するって形で、原子力規制委員会前に出ようとしないのか。とにかく、私は会って、
その基本的な考え方、運営の方針ぜひ、お聞きをしたいという風に思っています。
河北新報・若林:今のに関連しまして。今日ですね、福島県の佐藤雄平知事と田中委
員長、会談した訳ですけれども。それで、今日、どこかでお答えになられているかと
思いますが、泉田知事の面会には応じず、今日、福島の知事とは会ったという事に対
する、受け止めをお聞かせ頂きたい。
泉田:実は、茨城県の橋本知事にも会っているんですよね。福島県でいうと、副知事
にも、もう会っているんです。従ってですね、会わない理由って、いったいなんだろ
うなあと考えると、今ほど申し上げた通り、質問投げてますから、答えられないんで
会わないのかなあ、と言う風に感想持たざるを得ない。というのが、今のところ現状
ですよね。
質問者不明:国会事故調の、もうなくなっちゃったんですが、委員がもう一度検証し
たいと言う話があるんですよね。きっと、取り合わないんで終わっちゃうと思うんで
すが。何かサポートするアレはありませんか。知事の立場として。ほんとに、検証す
るなら、やはり国会事故調、一応、超党派でやれるのは、そこしかないじゃないです
か。というようなことはありませんか。
泉田:実は、新潟県にも、技術委員会って言うのがありまして、ここで検証をお願い
をしています。ここから先は、多分世論の力が大きくなるかどうか、って事なんでしょ
うけど。疑問点と言うのは出て来てる訳です。例えば、規制委員会にぶつけているの
は、泉田新潟県知事と言う名前では出してはいますが、私が全部考えた訳ではなくて、
県の技術委員会の先生方が、これとこれとこれ、変だよね、って言う所をまとめて、
私の名前で出してるだけという事なものですから、それ、ちゃんとやろうよと、せめ
て、日本は文明国として自分が起こした事故については、こういう原因で事故が起き
たけど、こういう対策をとったんで同じ過ちは繰り返しませんと説明できるくらい、
やりましょうよ、という事になればですね、技術委員会から要請をかけて、出席せざ
るを得なくなるという事ではないかと思っています。で、新潟県だけでやってるのは
まずい、と言う風に規制委員会が考えてくれれば、本来規制委員会がやればいいので
すよね、総括、検証に続きと。そして、これ次の世代に渡せるかどうか分からないん
ですけれど、世界で450基を超える原発が動いている訳ですから、同じようなことに
ならないように、教訓として世界に還元するって事、私、必要だと思います。やるべ
きだと思っています。ちなみに、1万年に1回のメルトダウンと計算すると、100基原
発があれば、百年に1回事故が起きるという事なんですよ。でも、400基以上あるでしょ
。25年に1回起きるという事になるんですよね。それって、冷静に考えると、スリー
マイルがあって、チェルノブイリがあって、福島があって。なんか、ちょうどいい間
隔で起きているよね、って言うくらい、起きてる訳です。その度に、この地球環境を
汚してきてる訳ですよ。60年代の核実験をやって、放射能をまき散らし。やっぱり、
まずいよねという事になって。で、また今度はチェルノブイリで放射能まき散らし。
チェルノブイリで放射能まき散らした後は、これは、世界が変わったと思っています。
皆さん、ご存じの通り、ヨーロッパの戦略核削減交渉が起きたのは、ゴルバチョフ当
時書記長が、チェルノブイリ原発事故終息に物凄く多額のお金がかかる、こんなもの
で、核戦争をやったら、人類全体が破産してしまうくらいの感覚に囚われて、だから、
核兵器を削減するという事をやらなくてはいかん。チェルノブイリの教訓が、欧州戦
略核兵器削減交渉に結び付いた。という事になってる訳ですから、やっぱり、もう1
回事故が起きたら、どれだけのダメージを地球環境と人類に与えるのかと考えれば、
この福島の事故で放射能まき散らして、世界にご迷惑をかけた日本は、少なくとも教
訓を残す。と言う事をやるべきである、これは、ぜひ世論として、盛り上がってほし
いなと期待をしています。
質問者不明:メルトスルーになるから、汚染水あんなにジャブジャブ出ている訳で。
メルトダウンって言葉で抑えてることもおかしいんじゃないですかね。
泉田:まあ、そういう可能性もありますね、はい。
福井新・北島:立地自治体を抱えるマス・メディアとして、知事の切実と言うかリア
リティのあるお言葉、色々お聞きしました。非常にそこについて、共感するんですけ
れど。福井県も、国に対してまた規制委員会に対して、色々クレームをつけるように
して、要請なり、苦言を呈するなり、提言をしてるんですが、それできちっと答えて
こない。つまり、どこに、誰が責任をもって、何をやるのか、そういった方法論が、
しっかり出て来ていない訳ですね。そういう中で、3.11の事故の終息が出来ていない。
そして色んな問題がまた、噴出している。そこの、これからの安全対策のストーリー
がまだできていない中で、福井県なら福井県、または、新潟県なら新潟県が、1つ1つ
の原発についてリアリティをもって色んなことをやっておられる。そういったことは、
いわゆる推進とか反対を超えて、一番必要な立地自治体の役割である、という風に考
えます。そういった中で、今はっきり自治体の問いに対して答えられない、規制委、
または国がある限りは、または、電力会社が頼りない限りは、再稼働、全体の話でア
レですけども、再稼働は、すべき状況にないという風に、お考えになるのかどうか。
もう1点。今、マスメディアが、今日本記者クラブ、個人の会員もたくさんおられま
すが、どう見ても、2項対立に陥ってる、特に大手紙、または、ブロック紙があるよ
うに見受けられます。その間にあって、地方紙は意外とリアリティをもって取り組ん
でいる。そこには、2項対立は全くない、賛成でも推進でも反対でもないような状況
の中で、現実に向き合ってる訳です。これに対して、知事の目線から見た場合に、日
本のマス・メディアをどのように、とらえておられるか、これを率直な考えをお聞き
したいと思います。
泉田:先ず1つ目の質問ですけれども、今、やらないといけないのは、例に出すのが、
最先端の技術を用いて、複雑な組織の中で、多くの人数が関わる現代の技術って何っ
て言うと、原発もそうなんですが、同時に宇宙開発もありますよね。宇宙開発を進め
るときに、どう進めていったのかと。アメリカのスぺス・シャトル計画が一番分かり
易いと思うんですが、大きな事故がありました。チャレンジャーの爆発事故、コロン
ビアの空中分解事故。この時は、原因を明らかにして対策をとって、そして、社会と
してコンセンサスを作って前に進むという事をやった訳ですよね。チャレンジャー号
で言えば、気温が氷点下になったにも拘らず、警告が出ていたにも拘らず、Oリング
に問題を抱えながら飛ばしちゃったと。結果として、ガスが漏れて、そこに引火して、
メインタンク爆発させた。だから、気温が上がってからやりましょうね、とか、組織
でも伝達がうまくいくように、NASAの長官も変えた上で、組織を変えてですね、で、
社会の合意で我々は前に進む、と大統領が宣言して、行った訳です。ちゃんと原因と
対策と社会コンセンサス。これ、きれいに踏んで次行った訳ですよ。じゃあ。コロン
ビアの場合、どうだったのかと言うとですね、これも同じでして、断熱材が剥げ落ち
て、羽に当たって穴が開きましたと。あんな軽いもので壊れるのかと皆言ってたのを、
彼らは実証実験までやってる訳です。700キロで羽に当たったと言うので、実際に700
キロで真空に近い所で、断熱材、発泡スチロールみたいのぶっつけたら、実際50セン
チぐらいの穴が開いた。ここから、イオン化した空気が入って、熱で壊れて分解しま
したと。ということを国民に見せた訳です。だから同じことが起きないように、カメ
ラでチェックをし、更に、耐熱タイルが剥げたところがないかというのは宇宙ステー
ションで、裏側までチェックしてですね、同じ事故は起こさないようにすると、対策
をとった訳です。それでも前に進みますか、というコンセンサスを作った上で了解し
て、次のステップ行った訳です。ただ、リスクを避けるために、スペース・シャトル
計画は、これくらいで打ち止めという事にしたんだという事だと思います。日本は、
敗戦の時もそうでしたけど、1億総懺悔。誰が責任をとって、何が悪かったかを決め
ずに、みんな悪かったですね、と言って進もうとする。だから同じことを起こす訳で
すよね。それじゃあ、やっぱり駄目な訳で、2号機はなんで格納容器壊しちゃったん
ですか。1号機はなんで24時間で爆発しちゃったんですか。3号機はですね、なんで、
この線量が高い中で、ちょっとSR弁の問題があるんですけど、SR弁つまり原子炉の減
圧に失敗したんでしょうか。という事を、分かるようにした上で、だから、それに対
して、こう対策をとりました。皆さん、どうしますかって問いかけがあって、始めて
次にどうするか決められるんじゃあないんでしょうか。そういう意味で、検証と総括、
社会的コンセンサスどう作るかと言う中で議論すべき問題と言う風に思っています。
で、マスメディアの問題について、ここでしゃべっていいのか、若干あるんですが。
私、実は、地震の直後から、CNN,BBCは見てました。皆さん方もお感じになってると
思いますけど、すごく落差あった訳ですよね。でも、もう、ここまで来て2年経った
んですから、もう1回ね、1億総懺悔みたいな事じゃなくて、何が問題だったのか、東
電はなぜ、2か月もメルトダウン、メルトスルーね、隠し続けたんだと、という事を
明らかにして、それに対して、こういう対策をとりましたということも、調査報道も
していってもいいんじゃないですかね。とにかく、今ですね、私感じるのは、一番ま
あ大変なのは、普通の政策だと、論点を上げるとその論点についてどうか、という政
策議論になるんですけれども。なぜかこの原発だけは、泉田知事が怒ったとか、そう
いう話ばっかりで。じゃあ、何に対して心配してるんですか、という事が伝わらない、
いう状況になっていると言うんで、不思議だなあという感覚を持ちながら見ています。
経済ジャーナリスト・安倍(文言不明):僕は経済部でずっと取材しましてね。僕は、
柏崎原発をこのまま稼働しないとは日本経済において、もったいないと思うんです。
福島は確かに問題、動かせませんけど、柏崎は僕自身は、早くやって電力代も安くし
たいですね。産業用の電力だって安くなるべきだと思うんですよ。で、質問です。知
事の在任中は、絶対、柏崎・刈羽は動かさないという事でいいのですか、それは。そ
れを答えて下さい。
泉田:はい。今ほどご説明をした通りなんですけれども。やはり、これだけの大きな
事故を経験をし、柏崎・刈羽の今のオペレーターは東京電力、事故当事者という事に
なっています。1億総懺悔、みんな悪かったよね、ということで、果たして、世界に
対して、教訓が発信できるのかどうかという事を考えると、やはり、これは、福島の
原発事故の検証とそして、総括をした上で対策を講じ、そして、どうするかっていう
議論をする、っていう順番。これが必要だと考えています。今ほど申し上げた通りで
す。
川村:今日、泉田知事が、当記者クラブに記帳された言葉は、「感謝」という言葉。
この言葉の書かれた意味を泉田知事に最後にお伺いして、次の会見にまた、来ていた
だきたいと思います。
泉田:ほんとに大勢の皆さんのおかげをもちまして、私も今の仕事をさせて頂いてい
ます。一般人でいる時と、知事でいる時と接する情報、少し違う所があるのかもしれ
ません。でもですね、仕事をさせて頂いている以上、自分のミッションという事はで
すね、しっかり達成をしていきたいという風に思っています。そして、今のような仕
事をさせて頂いている皆様方、すべての人に感謝の気持ちを持って仕事をしたいと思
いますし、それから、今日、本当にこの遅い時間なんですが、大勢の人にお集まりを
頂けました。私の話を聞いて頂いたということにもですね、深い感謝の念を表明をし
たいという気持ちでですね、これ、「感謝」と書かせて頂きました。私、よく言われ
るのはですね、泉田さんのいう事は、2年経つと分かると。言われることよくあるん
ですけども。自分の保身とそれから良心に反すること、どうするのかと。これ比べた
時にですね、やっぱり、保身を優先するっていうのは止めようよなあって事を誓って、
知事選に立候補した事を思い出しています。その時支えてくれた、ほんと大勢の人の
顔も浮かぶのですが、本人にとっては、まあデメリットかもしれませんけど、その感
謝の気持ちを忘れずに、自分の任務、これはですね、しっかりとやって行きたいなと
言うつもりで、書かせて頂きました。以上です。ありがとうございました。