低線量ヒバク)福島の原発事故でチョウに異常 琉球大チームがヤマトシジミで調査
2012/08/11
原発事故がどのような影響を生物に与えるかというのは、人間の場合は、「移住で
失業してお金がない」などの放射性物質による内部外部のヒバク以外の要素を無視で
きないために、なかなか難しいテーマです。疫学という方法も、事故後、特定の病気
の患者が増えてやがて減り、その変化が統計で検証できる場合にのみ有効となります。
でも、それでは全部の患者が発生してからしか検証できない。
その点、野生生物は、「気のせい」だったり、「放射能の影響はニコニコ笑ってい
る人には来ません、くよくよしている人には来ます」と言いくるめられたりする余地
がありません。
チェルノブイリのツバメについては、メラー先生の研究があります。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042603
このたび、チョウの研究が行われて、それが国際誌に報告されています。
http://www.47news.jp/47topics/e/233375.php
から引用です。
東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で、チョウの一種「ヤマトシジ
ミ」に遺伝的な異常が出たとする調査結果を琉球大の大瀧丈二准教授(分子生理学)
らの研究チームがまとめ、10日までに英科学誌電子版に発表した。
ヤマトシジミは人が生活する場所に多く生息する。チームは昨年5月と9月、福島
県内のほか茨城、東京など計10カ所で採集した。
5月に集めた成虫144匹から生まれた卵をふ化させて育て、孫の世代まで調べた
ところ、いわき市や広野町など福島県内のチョウは、子の世代で死ぬ確率がほかの地
域に比べ高かった。線量が高い地域ほどオスの羽のサイズが小さくなっていた。子の
世代では全体の約2割で羽の配色パターンや斑点の数などに異常があり、親の世代よ
りも1・5倍高い発生頻度だった。
9月に採集した成虫約240匹では、子の世代の約5割で異常が見つかった。
事故による放射性物質の影響がほとんどないとみられる沖縄のヤマトシジミに低線
量の被ばくをさせた実験では、同様の異常が出た。
大瀧さんは「昆虫は低線量の放射線に強いと言われていたが、ヤマトシジミは弱い
ことが分かった。事故が周辺の自然に影響を与えているのは間違いない」と話してい
る。
(共同通信)
原文は以下で公開されていて読めます。結構長い報告で、外部被曝、内部被曝につ
いてもふれています。サンプル数はおおくないけれど、統計的な有意性ももちろんちゃ
んとしているようです。
http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html