沖縄タイムス出版文化賞)受賞あいさつと会場の写真など RT@tiniasobu
2012/01/25
共同受賞した当山昌直さんが会場で読んでくださったあいさつです。
緊張してうけとる場面は、田中聡さんの撮影です。
ごあいさつ
人間の身の丈をこえた、便利さを追い求めて、自然との賢い付き合いの知恵を失
い、足もとに宝物があることを、いつしか忘れてしまった、私たちはどこかで道
を間違えたのではないでしょうか。これは今回受賞した本の冒頭に書かれた言葉
です。
足下を深く掘れば泉があるという、先人の声に励まされ、声なき生き物たちの
息づかいに耳をすませて、進めてきた取組が、社会的にも評価されたことを心か
らうれしく思います。
この本は環境史とありますが、人と自然との関係史ということでもあります。
私たちの身の回りに存在する自然は、人との関わりをぬきにして、正しく理解で
きないことが多いと考えられます。学問体系が専門化・細分化したなかで、文科
系と理科系とがお互いのノウハウを生かしながら癒合したかたちで奄美・沖縄の
環境史、いわゆる人と自然の関係についてまとめたのが、この本となっておりま
す。
私たち執筆した仲間が集まるきっかけとなったのは、総合地球環境学研究所の
湯本貴和教授率いる「日本列島における人間・自然相互関係における歴史的・文
化的検討」の奄美・沖縄班として、5年間の共同研究を行ってきたことにありま
す。奄美や沖縄ではおじいさん、おばあさんから自然の利用について聞き取りを
してきました。今は電気、車の時代ですが、当時の話を聞くと驚くようなことば
かりです。シマの中でうまく自然を利用して生きてきたのです。その成果を「理
科系のミンゾク学」という触れ込みで「聞き書き・島の生活誌シリーズ」をボー
ダーインクから7冊出してきました。そして、最終年として、聞き書きとは別に、
蓄積された資料も含め、研究の成果をまとめた今回の本を出そうということにな
ったのです。
この分野は、決して研究が進んでいる分野とはいえません。私たちの研究はま
だ始まったばかりですが、今回の受賞をバネにして、さらに発展させていきたい
と考えています。
最後になりましたが、今回の受賞にあたり、現地でお世話になった方々、また
応援して下さった方々、そしてその他、多くの関係者の方々に感謝し、挨拶とし
ます。
安渓遊地・当山昌直 ニフェーデービル
当山さんからの追伸です
ホテルでの受賞式のあと、二次会は安里のピアノバー「あけしの」でした。そこで
は竹富島の方々も一緒でした。そこで、授賞式で紹介できなかった安渓さんの下記の
メッセージを読み上げました。竹富島のみなさん
も大変よろこんでおられました。入里さんというかたも西表島の網取村の本づくりと
の関連で
なつかしがっ
て、よろしくと伝えておられました。
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20年以上もかかって成った小さな島の巨大な辞典・竹富方言辞典 と 16年も
かけて中国語原典から訳された冊封使録集成11巻と並んで、受賞できることは
たいへんな名誉だと思います。
会場で「安渓はどうしたの?」 ときいてくださった方、もうしわけございません
でした。
新聞でみた、といって、伊江島や那覇市識名からもお祝いの電話がありました。
伊波普猷とニーチェ http://ankei.jp/yuji/?n=1118
の記事でお世話になった粟国恭子さんからもお祝いのメールをいただきました。
ありがとうございます。抜粋で紹介させていただきます。
大変盛況で昨年の1、5倍ほどの皆様が会場にお祝いに駆けつけいました。
当山さんから安渓先生との共同挨拶コメントが、そして南方新社の代表者の
力強い挨拶など…新たに感慨深くこの著作の意義を受けとめました。
特別賞、児童部門のどの著作も、それぞれの歴史と息の長いお仕事の結集
した著作で…。
読んでいると大変興味深く、感動しました。特に安渓先生の思いのこもった
あとがきは、感慨深く、前日の沖縄タイムス上の紹介記事でも、先生の言葉をそのま
まを引用させていただきました。
本当に素晴らしい著作でした。おめでとうございます。
今後とも益々の研究の深まりを祈念します。
お祝いまで…