八重山)教科書問題「透明性保ち疑念を残すな」琉球新報社説 #yaeyama #kyokasho #ryukyushimpo RT @tiniasobu
2011/08/16
2011年8月16日『琉球新報』の社説です。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-180564-storytopic-11.html
から引用。
八重山教科書問題 透明性保ち疑念を残すな 2011年8月16日
石垣、竹富、与那国の3市町で2012年度から使われる教科書採択問題が混迷を
深め、全県的な関心事となっている。
地域の将来を担う児童・生徒が手にする教科書を選ぶ過程は、民主的かつ透明性の
高い手続きと地域社会の理解が欠かせない。
しかし、責任者の一存と言わざるを得ない対応が混乱と反発を広げており、地域の
理解とは懸け離れている。
関係機関は、禍根と疑念を残さない決着に最大限努めてほしい。
問題の発端は、教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)
が、「改革」と称して教科書の採択手法を相次いで大幅に変えたことにある。
玉津会長は、(1)現場教員が担う教科書調査員による順位付け廃止(2)協議会
委員から教師を外し、教育委員らを追加(3)採択時の無記名投票の導入―を柱に、
採択の流れを一変させた。協議会委員の差し替えも事後承認の形だった。
教科書は地域性を考慮し、できるだけ小規模での採択が望ましいとされ、県内は教
育事務所ごとに6地区が主体性を発揮して選んでいる。八重山以外の5地区は、順位
付けが教育現場の声を反映する担保となり、十分に機能してきた。
全面的に近い制度変更が一気に進められる手法には危うさを禁じ得ない。県教育委
員会が委員選任の指導・要望に乗り出すなど、異例ずくめの事態を招いている。
玉津氏は「開かれた協議会で質の高い論議をするため」と説明するが、これまでの
手続きの何がどう問題だったのかが見えない。具体的な「改革」の根拠を地域住民に
詳しく説明すべきではないか。
加えて玉津氏は採択協議の非公開と委員名の非公表を崩さない。説明責任への疑念
が膨らみ、「開かれた協議会」との矛盾も際立つ。
見逃せないのは、「新しい歴史教科書をつくる会」「教科書改善の会」などがつく
る中学歴史や公民の教科書を推す団体が目指す採択手法とほぼ一致している点だ。
両会が推す教科書は、「愛国心」を強調し、沖縄戦の「強制集団死」(集団自決)
への日本軍の関与に触れない記述を貫き、他の5社と一線を画す。こうした特定の教
科書の採択を初めから意図した「改革」なのか。
石垣市、竹富、与那国の歴代教育長らが混乱に深い憂慮を表明している。教科書選
定の在り方は公明正大の一語に尽きる。