3/19 ) 沖縄大学で「奄美沖縄の環境史――理科系のミンゾク学入門」というセミナーをやります @tiniasobu #okinawa #amami #environment
2011/03/02
地球研・列島プロジェクトの奄美沖縄班としての5年分の研究発表です。
地元の新聞の「論壇」に宣伝用の記事を書いておくりました。
ちらしは添付のpdfをご覧ください。
理科系のミンゾク学への招待
理科系のミンゾク学入門――不思議なタイトルの集まりがこの3月19日(土)の午
後1時半から沖縄大学3号館101教室で開催される。民俗学にしろ民族学(文化人類学)
にしろ、純然たる文科系の学問のはず。「理科系の」というのはどういうことだろう
か。
種明かしをすれば、京都にある総合地球環境学研究所(地球研)の列島プロジェク
トとの共催なのだ。地球研は、文化と自然の両方をバランスよくにらんで、地球環境
問題という難問にチャレンジする、文部科学省がつくった研究所だ。
沖縄と奄美の島々は、日本列島の中でももっとも生物の多様性が高く、シマごとに
方言が違うほど文化の多様性も高い。その両方の多様性が開発と生活の変化の中で急
速に失われようとしている。いまこそ記録が急がれる。
ところが、昔の暮らしや環境についての聞き取りは案外難しい。動物や植物の方言
を言われても、実物が想像できなければお手上げだ。そこで理科系の研究者の出番と
なり、理科系のミンゾク学が成り立つことになる。
例えばダンチクというススキと竹の合いの子のような植物がある。沖縄島ではデー
クとかダークという所が多い。大工廻と書いてダクジャクと読む地名もこの植物と関
係があるらしい。私は植物学者の妻とともにダンチクを追って与那国から屋久島まで
歩いているが、与那国で暴風を止め、宮古で津波を防ぎ、山原で屋取集落の場所を示
すなど、その霊的な力の強さには驚くばかりである。同じように研究仲間の当山昌直
さん(沖縄県文化振興会史料編集室室長)は、アーマン(オカヤドカリ類)をめぐる
民俗を追求して、アマミキヨ以前のアーマン神信仰を掘り起こしている。
2006年から5年かけた研究のまとめとして、列島プロが発刊するのが『奄美沖縄環
境史資料集成』(南方新社)で、800頁を越える大冊。戦争中に米軍が艦載機から撮っ
た非常に鮮明な1400枚もの写真がDVDの形で添付される。
大きな本は苦手という向きには、『野山がコンビニ』『ソテツは恩人』などの肩の
こらない、聞き書き・島の生活誌シリーズをボーダーインクから刊行中である。薄く
て読みやすいが、読後に心にしみる言葉が多い。沖大の会場では一挙7冊を披露する。
沖縄大学の第475回土曜講座と共催させていただく「琉球弧の環境史――理科系のミ
ンゾク学入門」はどなたでも参加できて、考古・民俗・空中写真など目からのうろこ
の発表が予定されている。先着150名様に新刊の聞き書きブックレット1冊をプレゼン
ト。問合せは同大地域研究所 電話098-832-5599まで。
地球研列島プロジェクト奄美沖縄班世話人 安渓遊地