上関)「公有水面埋立免許願書」の問題点
2010/12/18
2010.12.11づけで
「公有水面埋立免許願書」の問題点 という文書が届きました。
上関原発計画の根っこを見る会の著作です。
下線などの強調は、添付のpdfをご覧ください。
以下引用です。
中国電力は埋め立てることが当然であるかのように振る舞っています。
手続きを踏んで来たと言います。
しかし、手続きに使った、中電提出の書類に偽装があるなら、手続きのやり直しが必
要になるのではないでしょうか。埋め立てるための手続きは、「公有水面埋立免許願
書」を県に提出することでした。この書類には、次に示すような重要な不備がありま
す。免許を出した県のチェックが正常に機能していれば、不備を許したまま、免許が
与えられることは無かったでしょう。山口県に原発が立地すると言う重大な事態に直
面し、稀有な自然とこれからの国民の暮らしを守ると言う意識を持って行うべき県の
チェック機能が期待できないのであれば、私たちで、偽装とも言える不備を指摘する
必要があると思います。
1. 「公有水面埋立免許願書」に述べる「計画地選定の理由」は、理由として成り
立っているでしょうか。
計画地の選定理由が間違っている場合、ここを選定すべきではなかったことになりま
す。
理由として挙げる調査は二つ
*「原子力発電所立地に関する事前調査報告書」 1985年(上関町に報告)
原発建物が建つ敷地での地質調査はおざなりで、地質情報が希薄です。
埋め立てて敷地にする湾での調査は全くありません。
*「立地環境調査」(1994~1996年調査)
ボーリング位置についての報告は県に提出しています。田ノ浦湾内でのボーリン
グ調査も行っています。しかし、結果はどこにも報告していません。
「この『立地環境調査』の調査結果は『詳細調査』に反映させるもので、報告義務
は無い。」と中電は言っています。
・・・・・では、「詳細調査」に反映されているでしょうか。・・・・・・・・・
「詳細調査」で実施したボーリングの地質内容の報告は、115本の内、ごく一部に
留
まり、1号炉炉心の中心部の5本と取水パイプ関連の3本のみです。
これでは、「立地環境調査」で行ったボーリングの地質情報は「反映」されておらず、
肝心の田ノ浦湾の地質情報については、今でも全く知らされていません。「詳細調査」
は「設置許可申請書」に含まれ、これが国に提出されています。審査に当たっている
専
門委員からも、この地質情報の不足については、現在、指摘されていません。
(県は埋立免許を中電に与える時、この「計画地選定の理由」を納得することができ
たのでしょうか。)
「選ばれるのが当然と分かる地質情報」を示さないまま、計画地として選ぶことは許
されず、したがってこのまま埋め立てることは許されないと考えます。
2.中電の「埋立」で失われる、磯・砂浜の調査は「完了」していません。
未調査の生物は: 動・植物プランクトン、魚卵、稚仔(稚魚の前、孵化したばかり)
[ これらの生物を調査しなければならないと主張できる根拠 は次の通りです]
*知事の指摘: 1999年 知事が通産大臣に提出した意見書
「磯・砂浜での情報が希薄なことから、場所を追加して・・」と
知事は
指摘し、海藻,底生生物などの調査は「場所を追加して」行っています。
しかし、この4種の生物に限り、指摘に従っていません。
*立地に際して調査すべき項目として挙げられている。
「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」の中で、「原子力発
電所の
『立地』に伴い必要となる調査項目」として、これらの生物が、挙げられています。
そこには、海藻や底生生物なども列挙されており、それらは、中電は追加調査をし
ています。同じように取り扱うべき生物の中で、なぜ、この4種を省いたのでしょ
うか。
*温排水の影響調査として ㈶;海洋生物環境研究所が、経済産業省原子
力安全・保安
院の委託を受けて行った「取水生物影響調査」で取り上げている生物は、この4種の
みです。冷却水取り込みで大きな影響を受ける生物であるためだと分かります。
冷却水取り込みの影響を受けるはずの生物の調査を省いた中電の意図は何だったの
かと疑問が残ります。
*「沿岸性魚類の初期生活史の解明」(北里大学水産学部水産生物科学科・井田
齊,朝
日田卓)により、魚類の初期生活が砂浜海岸、岩礁域で支えられていることが報告さ
れています。研究者の朝日田氏は、「これらは今は常識なのです。」と言っています。
(中電は、この4種の生き物の調査を磯・砂浜でしなくていい理由を、『追加調査を
指示した県がこれでいいと言っているのだから、これでいい。』と言います。)
これら4種の生き物について、未調査のままで、埋め立てることは許されないと考え
ます。
これら海生生物の基盤を支える生物が、埋立の影響をどのように受けるかについて、
知ることができない「環境影響評価書」などあり得ないのではないでしょうか。
[埋め立てる前に検討しなければならないこと]
3.取水設備の「設計変更」を提出すべきではないでしょうか
「設置許可申請書」に対する審査の専門委員から、取水設備についての指摘事項があ
ります。
『取水口の背後の山は地すべり地形』『取水の機能が損なわれないように』と。
保安院からの提案『取水口を沖合に出させます。』
取水口を沖に出すということは、埋立を沖に出すということでもあります。
中電は: 保安院から指摘があれば、『変更図面を提出することになる。』
と電話で回答してきました。
ならば、設計変更をしないままで、埋立はできないのではないでしょうか。
地すべり地形であることには変更がないのですから。
4.田ノ浦現地の地下水が、埋め立てることにより受ける影響について
「現地は表層の堆積物が多く、地下水が溜まりやすい状況にある。」と専門家の指摘
が
あります。
*ボーリング129番は、『ボーリングに使用された水の92%が「ボーリング孔に
浸
透」する。』状態であることが、中電の提出書類に報告されています。
*研究者も田ノ浦湾への湧水について報告し、場所により「豪雨」のような量が出て
い
ると言っています。
この地下水が、埋め立てることによりどのような土木工学的な影響を受けるかにつ
い
て、中電は「検討していない」と、申し入れの場で回答しました。「湧水量」につい
ても検討していない様子でした。
川が無い長島・田ノ浦で、埋立によって地下水の振る舞い方にどのような土木工学
的な変化が起こるのか、危険な状態が起こることは無いのか、などこの計画地独特の
特徴である「地下水」について検討すること無く埋め立てることは許されないと考え
ます。