映画『祝の島』を見て8)上関原子力発電所の建設に賛同される方々へ
2010/08/14
つづきです。
◎原子力発電所の建設に賛同される方々へ
どうか、もう一度考え直して下さいませんか。
上関町に原子力発電所を建設する理由を、問い直してみて下さいませんでしょうか。
上関町に足を運ばれたことはございますか。
私は、大学で環境問題を意識した講義を受けておりますが、「祝の島」という映画
を観、自然環境の美しさを知りました。まず、一つは海の恵みであります。鯛が釣れ
たり、ひじきが採れたりしますが、漁業をしながらの昔からの変わらない生活は島の
人にとって、かけがえのない暮らしだと思えるのです。私は、島から広い海を眺め、
自然の恩恵に感謝をする島の人々を思うと、原子力発電所を建設することによって明
らかに変わり果ててしまう環境の変化に、28年間今日まで海を守り続けてきた島の
人々の切なる願いが引き裂かれる思いがします。このまま、どうか海を守り続けられ
ることが島の人々の願いであると思うのです。
もし、どんなに願っても、海を守り切れずに計画のように原子力発電所が建設され
てしまえば、28年間守り続けた海を、眺める度島の人々は悲しくならないだろうか。
そう思う度、大変胸が痛むのであります。
どうか、祝島に住む人々の切なる「原子力発電所の建設反対」という意向をご理解
下さい、そのように強く思います。
◎上関の原子力発電建設を目指す全ての人々へ
私は祝島に行ったことが一度もありません。そこで暮らす人々と実際に接したこと
もありません。そんな私でさえ、祝島の対岸に原子力発電を建設するという行為がい
かに悲しいことかが分かります。
確かに、原子力発電を建設することで得られるものは数多くあると思います。この
計画の成功により、より豊かな暮らしを送れる人も多くいるでしょう。そういった面
では、計画に反対している――全体から見ればごく一部である――祝島の人々の方が、
むしろ悪いのかもしれません。
ですが、それでも私はこの計画に反対します。この問題は祝島の人々だけのものだ
と思えないからです。祝島には相当数の貴重な自然や生き物がいると聞きます。しか
もそれらは、世界レベル、地球レベルでの“貴重”です。それなのに、ごく一部の日
本人――もちろん私も含まれます――のためだけに、これらの貴重のもの達を壊して
良いものでしょうか。私はそうは思いません。
目先の利益か、これからも続く豊かな環境か。選ぶのは私たちですが、その環境で
実際に暮らしていくのは私たちではなく私たちの子供やその子供であることを、もう
一度認識して欲しいのです。
◎上関原発建設計画を進めている方々へ
こんにちは。私は先日、纐纈あや監督の「祝の島」という映画を観た山口県の大学
生です。
この映画には、島の人々の日常が淡々と描かれていました。特に原発が悪いことを
強調する場面があるわけでもなく本当に島の人々がどのように暮らしているのかが分
かる映画でした。ただ、上関原発が建設されてしまうとこの島の人々の日常がなくなっ
てしまうようです。島の外の人からすれば、不便な生活のように思えても、島の人々
は長年の暮らしが当たり前でそれこそが楽しい生活なのだと思います。それでも、原
発を作って島の人々から生活を奪ってしまうのは良くないと私は映画を観て思いまし
た。
原子力発電所は日本のどこに作ろうとしても、全員の賛成を得ることはできないと
思います。しかし反対を押し切ってでも建設しようとしているということは、どこか
に原発を作らなければならない状況だということですよね。まさか必要がないのに事
故が起きれば大変な危険があるものを作ろうとしているとは考えられません。事故が
起きて、取り返しがつかないようなことだけは避けてほしいと思います。
どうしても発電しなくてはいけない状況なら、原子力ではない別の方法を考えてみ
るのはどうですか。まったく問題のない方法を今すぐ発明しろというのは難しいこと
だとは思います。しかし、28年前に上関原発建設の計画が出されたころよりは技術
が進歩しているだろうと思います。どんどん進歩している技術があれば原発にこだわ
らなくても良いように思います。
大学生が偉そうに何を言っているんだと思われたら申し訳ありませんが、これから
次の世代を地球、日本で生きていこうという大学生だからこその意見としてみていた
だけたら幸いです。