映画『祝の島』を見て7)友人への手紙、知人へのメッセージ
2010/08/14
続きです。親しい友達への手紙、長島の自然を守る会の高島代表や担当教員にも書
いてみたものがあります。
◎友達へ
こんにちは。お久しぶりです。元気にしてる?
今日はね、環境問題っていう講義で映画を見たんよ。題名は「祝の島」って言って
「ほうりのしま」って読むんじゃ。なんかね、山口県のとある島が舞台でね、その島
の近くに原子力発電所が立つ計画があるんだって。それに反対する島の人たちを追い
ましたって感じのドキュメンタリー的な映画だった。
原子力発電所が立つとね海が汚れて魚がとれんくなるんと。発電する時に出た熱を
冷やすために海の水使うらしいんだけど、冷やした後の熱せられた水をもう一回海に
帰すんだって。その水はいろいろ消毒とかされて汚れとるうえに熱いじゃん。それで
周辺の海に暮らす生き物がおらんくなるらしい。知っとった?その祈の島の周辺って
スナメリおるんと。後うちが高校の時言ってたナメクジウオ。地学で習って教えたじゃ
ろ。ほ乳類の祖先になった生物の生き残りですごいきれいな海にしか住んでないって
言ったあの魚。あれもおるんと。すごくない?同じ瀬戸内海でそういう生物が見れる
場所があること。地学大好きっ子としては興奮モノなんよ!そういう場所がね、壊さ
れようとしとるんだっって。
後うちが一番ショックだったのがね、その計画を持ち出したのが中国電力だったこ
と。広島に本社があるじゃろ。広島に住んでてうちら何も知らんかったなって…なん
かこういう言い方したら失礼なの分かっとるけどね、広島は原爆落ちた場所じゃけい
さ、原子力とか放射能とか多分大々的にできんのよね。それで場所変えて周辺の場所
犠牲にしてってあると思うんじゃ。これはあくまでうちの考えなんじゃけどね。誰も
こんなことは言ってないけい。
うち環境問題の講義受けて、映画見て、ほんと何も知らんかったなって思った。そ
れで知らん事って幸せなんだなって思ったよ。知ってしまったら結構衝撃大きくてす
ごい自分が恥ずかしくなる。うちら幸せ者だったね。
文章おかしいかもしれんけど今日はこれで終わります。うちの話聞いてなんか感じ
てくれたらうれしいな。それじゃ、またね。
2010
.7.2
◎心にくる何かが
私は、7月2日に環境問題という授業で「祝の島」という映画を見ました。上関に
ある祝島という場所が舞台ですが、私の祖父が上関にいることや小学校の時にお世話
になった先生が祝島に転勤したこともあり、私にとってはとても身近な場所です。
「祝の島」を見た感想ですが、この映画は原発への反対運動や、祝島島民の方々の
生活を追ったドキュメントのようなものであると感じました。全てが偽りなく生で伝
わってくるので、島民の方々の原発に対する悲痛な叫びや、家族関係をも引き裂いて
しまうという現状が私にはショックで、途中で泣きそうになってしまいました。です
が、一方で原発が必要であると言っている方々もいるそうです。確かに、原発が完成
すれば暮らしはより豊かになると思います。でも、私は、長い目で見るのであれば今
の豊かさに頼るのではなく、自然を少しでも多く残すことを優先する方がいいのでは
ないかと思います。綺麗なものを汚して、後でしまったと言って磨いても、もう手遅
れになるからです。現代では風力発電のような自然を利用したすばらしい発電方法も
あります。これだけのすばらしい技術を持っていながら、自然と共生出来ないことは
とてももったいないことだと私は思います。祝島原発計画が今後どのようなことにな
るか、私も遠くから見守っていきたいと思いました。場所が違うからといって、決し
て人ごとではないと思います。
もしこの手紙を見て、少しでも興味を持ったら、祝島について調べてみてください。
きっと、心にくる何かがあると思います。
◎自分を育ててくれた町は自分たちの手で守る
謹啓 梅雨明けかと思えば、再び連日の雨。晴天を待ちわびる毎日です。皆様お変
わりなくお過ごしのことと存じます。おかげ様で私も無事に暮らしております。平素
は大変御無沙汰いたしておりまして申し訳ありません。
今回、私は山口県立大学での「環境問題」の講義で纐纈あや様が監督の映画『祝の
島』を見せていただいたのですが、大変感動する映画でした。私が最も感動したこと
は地域の人々のコミュニケーションからうまれる強い絆に感動しました。
現在、日本では地域の人々との交流が減少し、ご近所の人の顔も分からなというよ
うな地域との関係がつくられている場所も存在します。しかしながら、祝島の方々は
道で人と会えば会話を交わしたり、また、夜は皆で集まって一つのコタツの中に入っ
てテレビを見たり、寝たり、会話を交わしたりなど毎日楽しい一時を送っているとの
ことでした。映画の中でお話をされていた方が「一人で暮らしていると口を開くこと
がない。」ということおっしゃっておられましたが、実際に一人で暮らしていると会
話をする相手がおらず、一日中、口を開く必要がなく、そのまま会話をせずに一日が
終ってしまうということがあると思います。しかしながら、パーティーのように豪華
な集まりでなくとも、祝島の方々のようにご近所同士で集まり、「今日は鯛が釣れた。
」「今年は良い米ができた。」などのようなその日にあった出来事を集まって話すこ
とのできる環境というものは、ご近所同士のつながり、絆が強くなければ毎日は行わ
れないのではないかと考え、祝島の方々は周りの人々とのコミュニケーションがとれ
ており、また、コミュニケーションがとれているからこそ強い絆がうまれているのだ
と感じ、私も地域の方々と強い絆で信頼できる関係を築き上げていかなければならな
いと改めて考えさせていただきました。
また、映画の中でお話をされていた方に棚田を整備し続けている方がいらっしゃい
ましたが、ここから、祝島の方々の将来に対する気持ちを読み取ることが可能なりま
した。現代の人々は自分のことを一番に考えてしまい、今が楽しければ良いと考え、
海にゴミを捨てたり、海にゴミを置いていったりなど環境問題について深く考えてい
ない人が存在します。そのような行為をするということは大変残念なことですが、そ
のような行為を行う人が実際にはいます。しかしながら、祝島の方々は自分たちを守っ
てきてくれた海を将来の人々に伝えていくために守り続け、海の生き物など全てもの
に感謝しており、私はそのような自然に感謝する気持ちを学ばせていただいた祝島の
方々に感謝しています。私は島で育ったわけではありませんが、私が育った地域も山
もあり、海もあり自慢の地域です。このような自慢の地域を将来の人々に現在の美し
い状態のまま伝えていくためにも私一人ができることは少ないかもしれません。しか
しながら、自分の育った場所は自分たちで小さなことからでも環境を守るための活動
をしていきたいと考えることができました。そのような考えをさせていただき『祝の
島』という映画に出会えたことに私は感謝しています。この映画を通して、祝島につ
いては考えることができましたが、自分たちを育ててくれた町に恩返しをしなければ
ならないのは、自分たちであるということも改めて考えさせていただきました。
また、このようなことから、祝島の方々は本当に自分の島を愛しているのだという
ことが感じられました。私も自分の育った町が大好きです。だからこそ自分の町を守
りたいと思っていますし、どのようにしたら自分の町に恩返しをできるのかというこ
とを考え続けていました。そこで、今日、祝島の方々のお話を聞いて、改めて自分を
育ててくれた町は自分たちの手で守ることが重要なのであると感じました。
最後に、現在、祝島の付近の島には日本だけではなく、世界中で重要視されている
希少価値の高い生き物や植物が成長しているということを学んだことがあるのですが、
新たな方法により、少しでも多くの生き物を守り、自然豊かな祝島を守り続けていく
ことが山口県だけではなく、世界においてきちんと考えていかなければならない重要
な問題なのではないかと考えました。前に述べているように地域の方々は、自分たち
を育ててくれた海を自分たちが守らなければならないと述べられており、そのように
自分たちの手で自分たちの地域を守るということは大切なことであると考えます。し
かしながら、島全体の人々が協力し合い、少しずつ会話をし、祝島の方々全員がコミュ
ニケーションをとることによって今までは考えられていなかったような視点で祝島の
問題について考えることが可能になり、新たな解決策について話し合われるようにな
るのではないかと考えます。また、そのように話し合うことによって、島の全ての方々
が分かち合い、生き物、植物などが安心して、幸せに暮らすことのできる環境を整え
ることができるように祈っています。
また、私自身も地域を守り、より良い環境をつくりあげていくために、まず、自分
一人でもできること、それはゴミを拾うこと、そこから発展して人と人とが協力し合
い大きな力になることで少しでも自分の育った町、日本をより美しく、安心でき、そ
して誇れる国にしていきたいと思います。見せていただいた『祝い島』という映画を
通して自分の育った町がなつかしくなり、将来の人々のために自分たちができること
を一生懸命することが重要であると考えました。
この感動を少しでも多くの人に伝えていきたいと思い、お手紙しました。
当分は雨続きになりそうですが、気分まで滅入らぬよう祈っております。
謹言
平成二十二年七月十一日(日)
◎安渓遊地様へ
講義では先生のお姿を何度も拝見させていただいておりますが、ちゃんとご挨拶す
るのは初めてなので名乗らせて頂きます。
初めまして、山口県立大学の○○と申します。
先日は講義受講者に映画を観る貴重な機会を与えてくださって感謝しています。上
関原発を開発することによって直接被害を受ける祝島の住民にスポットを当てたドキュ
メンタリー映画という内容でしたが、ただ住民の生活をカメラに収めるというだけで
はなく、その人たちの生き方、考え方にまで踏み込んで撮影されていて観ている人も
祝島の住民になるかのような気分になりました。
また、祝島に残された非常に貴重な生態系についても具体的な映像を見ることでそ
の貴重さ尊さを理解することが出来ました。
私が最も印象に残っていたことは、原発開発によって島の住民たちが賛成派と反対
派に分かれたことにより、それまで住民みんなが仲の良かった祝島の人間関係が破壊
されてしまっていたことです。開発によって環境のみならず人間関係をも破壊すると
いう現状を知り、少なからず怒りがこみ上げました。
私はまた島の人たちが元のように仲良く暮らしていけることを望みます。
◎「長島の自然を守る会」高島美登里 様
拝啓 梅雨明けの待たれる今日この頃、高島様はいかがおすごしでしょうか。
さて、六月十八日の上関原発に関する講義、誠に興味深く、たくさんのことを学ば
せていただきました。ありがとうございました。
つい最近、私は「祝の島」という映画を見ました。上関原発により自然や島が壊さ
れてしまうのではないかという人々を描いたものでした。私は、今通っている山口県
立大学に入学するまで、この問題のことを全く知りませんでした。しかし、この映画
をいて、上関町には、とても素晴らしい自然や文化を持った島々がたくさんあるとい
うことが分かりました。そして、島内でも、反対派と賛成派に分かれ、兄弟、友人、
親戚など、意見の対立でバラバラになってしまっている状態の人もいるということも
初めて知りました。1つの問題が、これだけ島全体を動かし引き裂くというものにな
るとは、想像もしていませんでした。
もし、地元でもこのような状況になったら自分はどうするのだろうと考えるように
もなりました。この問題は、もはや長島、祝島やその周辺の島の人たちだけの問題で
はなく、山口県全市民の問題になってきていると思います。より早い問題解決には、
たくさんの人々の理解が必要だと思います。そのためにも、もっと私も長島、祝島そ
して上関原発について学んでいきたいと考えています。他人事ではなく身近な場所で
起きていることとして、たくさん知らなくてはならないこともあるとおもいます。高
島様の講義はその第一歩となりました。
また、高島様の、講義やブログを拝見し、たくさんの情報を探し、色々なことを知
りたいと思います。
ますますのご活躍を期待しております。
敬具
2010年7月13日