映画『祝の島』を見て6)中国電力の皆さまへ
2010/08/14
ここまで読んで下さったみなさま、特に中国電力で私のブログとtwitter (tiniaso
bu)の情報収集がお仕事の一部になっているYさま、お待たせいたしました。「祝の
島」という映画をみた若者から、電力会社のみなさまへの手紙が一通ありますので、
本人の了解のもと掲載させていただきます。メールなどでのお返事をいただければ、
このブログでご紹介をいたします。
◎中国電力の皆さまへ
いつも安定した電気の供給をありがとうございます。私は先日「祝の島」という映
画を観させていただきました。この映画は、上関町の祝島に住む人たちのごく当たり
前の暮らしと、上関原発問題に立ち向かうドキュメンタリーです。この映画を見て私
が考えたことについて、皆さまに少しでもご理解いただければ幸いです。
この映画を観て一番に感じたことは、「自然とともに生きるとは何か」ということ
です。
祝島の人々は私たちの暮らしよりもはるかに近い距離で自然とともに生活していま
した。海と山と会話しながら、見えない大地の大きな力(恵み)を感じ取りながら生
きていました。恵みに感謝し、来年も再来年も同じように変わらない自然を守り続け
ることが祝島の人たちの願いであり、使命でもあります。先祖から受け継いだ島を、
ただ純粋に、ここにいる子や孫に残したいだけなのです。その気持ちはお金解決でき
る問題ではないのです。
原子力発電について私はまだまだ勉強不足ですので、正確なことは言えないのです
が、石油という有限の資源の枯渇問題や、二酸化炭素排出問題を視野に入れれば、原
子力発電のメリットには大きな魅力があると思います。しかし、安全性の面からいう
と決して「絶対に安全」とは言えないのではないでしょうか。
まず、建設過程において今ある自然を壊さなければなりません。そこに生息する生
き物(絶滅危惧種など)は原発によって存在しなくなります。そして建設後、運営し
ていく過程において周りの海、山にも被害をもたらします。生物に被害を与えること
は、その生物によって生存している人間にも被害をもたらすということです。そして、
地震の多い日本の国土において、もし原発が地震によって壊れ放射能によって被爆し
たら。その地の生物も人間も暮らせなくなってしまうという可能性があると考えます。
過去に、静岡や新潟の原発では、地震による倒壊の危険性が問題になっていました。
中国電力の方は祝島の方にきちんと「原発の安全性と危険性」を説明されましたか。
説明なしに押しかけ沖にブイを打つ行為によって、島の人は傷つき、一層信頼を失く
してしまっています。
自然が祝島の人の命であるということを、第一に理解してほしいと思います。電気
という今や暮らしに欠かせないものを、安定して供給したいという中国電力の方々の
意図も私たちは理解しなければなりません。しかし、島の暮らしを壊してまで得た電
力は本当に喜ばれるでしょうか。28年前から続くこの問題は、途中で自然エネルギー
や代替エネルギーによる切り替えで解決しようという考えは浮かばなかったのでしょ
うか。28年もの月日があればお互いがより良いと思う電力を得る方法を話し合う時
間に費やせなかったのでしょうか。
この問題は、今や祝島だけの問題ではありません。これからの私たちの生活におい
て、地球の未来において考えなければならない問題です。エネルギー、食糧、資源…
これは人間だけが独占して良いものでは決してないと思います。「自然とともに生き
る」とは、そこに棲む生物が変わらず存在し、人間はその中に少しだけお邪魔させて
いただくような感覚だと思います。所構わず土足で足を踏み込んではいけないのでは
ないかと考えています。
祝島に建設するエネルギー供給の選択肢は、原発しかないのでしょうか。これから
の暮らしの考え方、エネルギーの考え方についてお互いが考えを深めていけば、本来
自然とともに生きてきた日本という島国がより良い国になると思います。
祝島の人はかつての日本人の心が残っている素晴らしい場所です。自然を守り、受
け継ぐことがどれだけ大切か、私たちが今真剣に考えなければならないことを、実際
に実践している島の暮らしをどうか壊さないでください。争わずに解決できる方法を
考えていただけたら、もっと早くこの問題は解決できると信じています。
とりとめもない文章で申し訳ありません。少しでも自分のこととして考えていただ
けたら幸せです。私もこの映画を通して自分の事として受け止め、考えなければなら
ないと痛感いたしました。