原発電源喪失)福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故の情報公開と原因究明を求める申し入れ
2010/06/25
みなさま、サッカー観戦お疲れ様です。
圧倒的な報道合戦の陰で、妙に報道されないことにも注意を注ぎ続けていきたいと
おもっています。
2010年6月17日東京電力福島第一原発で、電源喪失・水位低下事故の話題で
す。
へたすればスリーマイルアイランドの事故のようなメルトダウンにつながりかねな
い事故だったようです。
毎日新聞福島版から引用
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20100618ddlk07040183000c.html
福島第1原発:2号機トラブル 原子炉水位が低下 11年半ぶり自動停止 /福島
運転中の福島第1原発2号機(大熊町)が17日、発電機の故障で自動停止したト
ラブルは、原発を安全に停止するために必要な外部からの代替電力の供給が行えず、
原子炉の水位が約2メートル低下する深刻な事態だった。東京電力は同日、県と原子
力安全・保安院にトラブルを報告したが、復旧のめどは立っていない。
東電によると、同日午後2時50分ごろ、タービン建屋内の主発電機を制御する「
界磁遮断機」が故障し、発電機とタービンが停止。タービンを回す蒸気の発生を止め
るため、原子炉も停止した。原子炉本体に問題はなく、放射能漏れなど外部への影響
はないという。同原発の自動停止は98年11月の3号機以来、約11年半ぶりだっ
た。
原子炉が止まった場合、外部の送電線から発電所内の電力を供給するが、切り替え
装置が機能せず、2号機全体が停電。このため、原子炉内に冷却水を給水するポンプ
が動かなくなった。十数分後に非常用のディーゼル発電機が起動し、代替ポンプで水
位を回復させた。
水位の低下は炉心の燃料棒を露出させ、原発にとって最も危険な空だき状態を引き
起こす恐れがある。原子炉は停止しても、停止直後の燃料棒には熱が残っているため、
重大な事故になる可能性がある。今回も水位の低下が止まらなければ、緊急炉心冷却
装置が作動していた。【関雄輔】
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毎日新聞 2010年6月18日 地方版
(引用終わり、原発いらない動きもきちんと報
道する毎日新聞を応援しましょう)
以下はより詳しい情報です。
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)のブログから引用
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2010/06/post-b632.html
2010/06/18【事故1】炉心溶融の可能性があった電源喪失水位低下事故事故は、発
電機の停止→原子炉緊急停止(スクラム)→外部電源への切り替えに失敗→非常用ディ
ーゼル発電機がすぐに立ち上がらず一時電源喪失→給水ポンプが停止し炉内水位が2
メートル低下→非常ディーゼル発電機がようやく立ち上がり隔離時冷却系ポンプによ
る注水により水位回復…という経過をたどったようです。
事故について、東電HPには昨日6月17日の段階で以下のプレスリリースがアッ
プされていました。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10061703-j.html
しかしここには、「この事象にあわせて当該プラントの電源が停止し、非常用ディー
ゼル発電設備が自動起動するとともに、原子炉へ給水するポンプが停止したことから、
原子炉の水位が一時的に低下しましたが、代替のポンプである原子炉隔離時冷却系を
起動して給水を行い、現在、原子炉の水位は通常の範囲内で安定しております」と書
いてあるだけで、詳しいことはわかりません。今日になって報道記事により、ようや
く深刻な状況の一端が明らかになったのです。
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9632070&newsMode=article
http://www.minyu-net.com/news/news/0618/news5.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000142-mailo-l07
原子炉は、緊急停止に成功しただけでは収まりません。核分裂は止まっても、燃料
からは崩壊熱が発生するので、冷却水で冷やし続けなければなりません。もし電源喪
失が長引き、水位がさらに低下すると、燃料棒がむき出しとなり、崩壊熱により燃料
が溶けてしまう(メルトダウン)最悪の事態となります。米国スリーマイル原発では
ここまで事態が進みました。溶けた燃料の塊が水に触れて爆発する(水蒸気爆発)が
起これば、チェルノブイリ原発事故のように大量の放射能が環境中に放出されてしま
います。今回はそのような恐ろしい可能性をもった事故でした。
それにしてもまだ疑問が多々あります。
・発電機が止まった後、外部電源への切り替えに失敗したのはなぜか?
・非常用ディーゼル発電機の起動に時間がかかったのはなぜか?
・水位が2メートル下がったというが、正確に把握できているのか?
・緊急の炉心冷却は今回で3度目だが、炉の急冷による影響はどうなっているのか?
・隣の福島第一原発3号機をはじめ同型炉にも同じ問題があるのではないか?
・東電のプレスリリースでは事故の深刻さは伝わらないのではないか?県や国には
きちんと伝わっていたのか?
福島第一原発のような沸騰水型原発では炉内の水位の把握が難しく、水位計の信頼
性については前から議論がありました。緊急炉心冷却系の作動は設計では、生涯で3
回以内だったように思います。もちろん、同型炉の3号機でのプルサーマル実施など
もってのほかです!!!
2010/06/18 福島1-2電源喪失事故
より深刻な大問題は、その後、続報がまったく出ないことです。憂慮する市民
グループによる東京電力への申し入れから引用します。
http://skazuyoshi.exblog.jp/12851413/ から
原発電源喪失の情報公開と原因究明 2010年 06月 23日
福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故の情報公開と原因究明を求める申し
入れを、県内の市民グループが6月23日東京電力に行った。以下は、申入れ書の内容。
2010年6月23日
東京電力株式会社 社長 清水 正孝 殿
福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故の情報公開と原因究明、再発防止
を求める申入れ書
6月17日午後、貴社福島第一原発2号機で電源喪失・水位低下事故が発生しました。
発端は、外部電源を取り入れる遮断機がバックアップを含め全4台が停止したこ
ととされ、これにより外部電源遮断、発電機停止、原子炉自動停止、制御室停電、電
源喪失で給水ポンプ停止、原子炉内水位約2m低下、隔離時冷却系ポンプによる注水
で水位回復、急冷したとされ、あと40センチで高圧注水系ECCSが作動する事態で、非
常用ディーゼル発電機が十数分間起動しなかったかの報道もありました。
貴社は事実経過を時系列に公表にしておらず、真相はまだ闇の中です。外部電源を
取り入れる遮断機がなぜ全4台停止したのか、独立の系統で交流電源を確保するはず
の2系統が同時に遮断ということは、一体何があったのか。原因は未だに不明で明ら
かにされていません。
原子炉緊急停止後、電源喪失が長引けば冷却水が給水されず、さらなる水位低下、
燃料棒が崩壊熱により炉心溶融=メルトダウンという事態に至る可能性があり、深刻
な事態と言わざるを得ません。
保安規定上、外部電源の喪失信号を受けた非常用ディーゼル発電機は10秒以内で自
動起動し、緊急炉心冷却装置ポンプへ電源を供給するとされ、柏崎刈羽1号機系統機
能試験データでは発電機起動7,6秒とされています。報道のような遅延があれば由々
しき事態です。
今回の電源喪失事故は、原子炉自動停止により法律に基づき10日以内に再度報告し
なければならない報告対象事故です。貴社は、遅滞なく事実と原因を明らかにすべき
であり、隠蔽的対応は許されるものではありません。福島県も事態を厳しく受け止め、
県民を不安に陥れたとして原因究明と再発防止を求めています。この際、私どもは以
下申入れ貴社の速やかな回答を求めます。
記
1、福島第一原発2号機電源喪失・水位低下事故について、事実経過を時系列に明ら
かにするなど情報を早期に公開すること。
2、事故の原因究明を図り、関係法令に照らして適切な処置を行い再発防止対策を
明らかにして、第一原発3号機などに水平展開するまで、福島第一原発2号機は再起動
しないこと。
以上
ストップ!プルトニウム・キャンペーン
脱原発ネットワーク・会津
脱原発福島ネットワーク
とめようプルサーマル!三春ネット
福島原発30キロ圏ひとの会
双葉地方原発反対同盟
圧倒的なサッカーと選挙の報道の中で、見落とされるでしょうけれど、注目し
ておかなければならない大きな問題です。
以上、
安渓遊地(あんけい・ゆうじ)でした。