いのちの授業)QOLを味わう大学院の授業は「夢の森」で花いちもんめ
2010/06/16
6/16改訂 受講生の感想をつけくわえました。
山口県立大学の大学院には二つの研究科(健康福祉と国際文化)があります。
共通に必修で学ぶ科目が一つだけあって、「生命と生活の質特論」略してQOLと呼
んでいます。地域公開授業です。
ことし、ひさしぶりにその世話人になって、
むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをゆかいに
ゆかいなことをまじめに
という、このほど急逝された井上ひさしさんの言葉を思いながら授業を設計しなおし
ました。
http://kyoumu.ypu.jp/o.php?code=G000100
この中では未定になっているワークショップの部分を
看護学部のある新キャンパスの奥の「夢の森」に出向いて、安渓貴子の指導で行いま
した。
森に入るときは、屋久島式に森にむかって「ごめんなさい ごめんなさい」とご挨拶
をしてから入ります。
そのあと、めいめい好きな木を見つけて木と語る練習をします。
15分ほどめいめい自由に森の中で瞑想したら、オカリナの音で広場に戻ってきます。
それからがクライマックスで、はないちもんめ をして遊びます。
留学生も覚えてだんだん熱がはいってきて、いつのまにかみんな子どもの笑顔になっ
ています。
30分も遊んだところで、終わりとなって、春の雪で折れた木をめいめい持てる大き
さのものを選んで森の入り口まで運び出します。
森にお礼を言って、
教室にもどったら、人間だけが偉いのではない、すべての生き物は兄弟姉妹なのだと
いう、屋久島で聞いた生命観のことを伝えます。
最後に、笠木透さんの歌「ぼく」を歌って、2時間の授業を終えました。
「ぼく」、は載っていませんが、彼の曲が聴けるサイトです。
http://www.fuchu.or.jp/~okiomoya/uta/kasagitooru.htm
以下、よせられた受講生の感想の一部です。留学生も社会人も楽しんでくれたよう
でした。
今回、山の中でのフィールドワークを通して、自然の息吹を感じられた気がします。
山は普段身の回りに存在しながらも、入ることは滅多にありません。もちろん日々の
忙しさのせいもありますが、時間に余裕があるときでも自然を顧みるようなことは少
なくなっています。でも今日みんなで山の中に入り、木を抱きしめ、整えた広場で「
はないちもんめ」をやっていると、本当に木々がざわざわと笑っているような感覚に
陥りました。童心に帰り、山を降りるときにはとても清々しい気持ちになっていたの
が不思議です。やはり私たちは自然の中で生まれ、自然に生かされているのですね。
それにしても「はないちもんめ」は楽しかったです。これだけの広い年齢層で行わ
れる「はないちもんめ」なんて、想像したこともありません。(もちろん、している
ときはみんな子どもに戻っていたので、精神年齢は同じだったと思いますが)とても
貴重な体験をしました。また機会があればしてみたいです。
今日 安渓先生の授業で山に出かけて、本当に気持ちがいいです。花一匁のゲーム
も面白かったです。森の中の自分の「木」と対話して、すごく落ち着きます。穴場を
見つけました。普段疲れましたら、行きたいです。自然がもっと好きになりました。
また、教室ですごくいい話を聞かせていただきました。私たちはほかの命にいただ
いて、自分の命を維持することを改めて感じ、人間として生まれて、本当に贅沢なこ
とだなあと思います。これから、毎日感謝の気持ちで生きて行きたいです。またほか
の命に対して、友好的に扱いたいです。
森の空気を吸い、木の声をくという素敵な時間が持てて良かったです。メイン(注、
合衆国メイン州)の森でnative Americanの人と体操(?)をしたり草花を愛でたり
したことを思い出しました。ニューイングランド地方の人は今でも屋敷に続く林の木
を間引きながら薪ストーブを使っていますし、林に小さい子連れで楽しめるトレッキ
ングコースがたくさんあります。いつの日か新キャンバスがここに移転し誰でも気軽
に森の空気が吸える広場が誕生すれば地域の人々にもきっと喜ばれることでしょう。
学業の合間に散策できて、小さな草花を愛でることができれば、どんなに素敵なこと
でしょう。「森に断って入る」というのは宮沢賢治の世界にもあります。同じ世界が
屋久島にもあるのですね。屋久島を訪れたことがあります。ツアーでなく妹と二人の
気ままな旅でしたが、朽ちたように見える切り株から芽が出ているのはとても感動的
でした。
公立大学法人 山口県立大学
現代GP承継・地域共生授業担当
教授 安渓遊地(あんけい・ゆうじ)