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会報)第23号「WTO農業交渉特集」(2006年4月)

2006/07/27(木)



やまぐち環保研会報 23号(2006年4月)

 WTO農業交渉特集

 基調講演 「WTOと私たちの暮らし」


 農は食を生み食は命を支える
 農は自然の恵みでなり立つ
 食料は工業製品と同じではない

 世界一五〇カ国の国・地域が加入しているWTO・世界貿易機関で農業分野の貿易ルールを決める交渉が大詰めを迎えようとしています。より一層の貿易自由化に向けて二〇〇一年十一月のドーバー閣僚会議から始まったこの交渉もこの四月末までに細目決定、年内に取り決めたいと検討が精力的にすすめられています。

 WTOの席で日本代表は貿易自由化促進側に立ちながらコメなどの除外規定を設けるとしていますがどこまで本気か気がかりな状況です

 去る四月十一日広島市中区の広島県民文化センターで「食と農の未来を考える広島県民シンポジウム」が開かれ参加してきました。食の問題は命の問題です。会場は予約制で四〇〇名が参加しました。

 貿易自由化の名のもとに食料が工業製品と同じルールで扱われようとしています。シンポジウムでは「安心、安全な農産物を食べるための国際貿易ルール作りや地産地消や食育を進めて、食料の自給率向上を図ることこそ大切である」と強調されました。「食べものは国産がよい」の国民の声を今大きくしなければならないときです。

 みんなで取り組もう「安全・安心な日本農業」を。「日本政府はアメリカの関税引き下げ要求に断固反対し、農業の持つ多面的機能を維持し、各国の農業が共存できるルール作り確立を目指して交渉を進める」よう環保研会員全員が農林水産大臣宛「はがき」や「メール」を出しましよう。
 (宛先 〒100ー8950東京都千代田区ケ関一の二の一 農林水産省気付 農林水産大臣)

 パネルディスカッション

 「食と農の未来を考える」
 現在石川県立生物資源環境学部教授辻井 博氏が基調講演。氏はWTOは世界一五〇カ国・地域が加盟、貿易の自由化で世界の「福祉の向上」を目指すとしている。日本はその恩恵を受けて世界中の「もの」が簡単に手に入り恩恵を受けている。しかし、世界の実態は市場原理に偏った弱肉強食、豊かな国はますます豊かに、逆に途上国は貧しくなってきている。今のやり方には多くの問題がある。

 �ー�由化によって農産物の輸入が拡大し、日本を含む食料輸入国の自給率が急落、食料の安全保障が出来なくなる。

 �△修譴呂修旅颪凌�文化や地域の崩壊につながる。

 �G清箸凌蠡爐杷清箸砲茲訛震姪�機能の低下。

 �ね⊇亶颪隆超�破壊(エビ養殖でマングローブ林の破壊、熱帯雨林の破壊、地下水の枯渇など)

 �ゾ�数の食料輸出国による食料の独占

 ��食の安全性の低下・・安全基準の引き下げ

 ��輸出国主導の食料価格の相場作り など

 このまま進むと世界中で八億人が飢餓に陥る。

 交渉は今年末の最終合意にむけ、四月末を山場に迎える。日本の農業を維持するためにも市場原理に偏った枠組みやルールは変えるべきだ。基調講演に続いて三名のパネリストによるパネルディスカッションが行われました。パネリストには辻井博氏のほかに医学博士・福山平成大学教授・NPO法人日本食育協会理事の鈴木雅子氏、農林水産省中国四国農政局次長齋藤京子氏、JA広島中央会専務理事黒木義昭氏、コーディネーター中国新聞社編集局長兼重収氏。

 以下各氏の発言内容の一部を「中国新聞」四月一五日付けの記事から抜粋させていただきました。

 鈴木雅子氏
 私が教えた大学生四三人中「煮しめ」を知っていたのは一人もいなかった。これではゴボウや里芋の消費は伸びない。
 輸入農産物は移動距離が長い分、ビタミンなどの栄養素は減少、収穫後の農薬散布(ポストハーベスト)による残留農薬問題もある。心と体の健康を守るためには「食事をとる」という基本を伝えなくては、食料の自給率は向上しない。

 斉藤京子氏
 国は昨年、食の安全、安心を確保し、農業の担い手対策を講じる「食料・農業・農村基本法」に基づく基本計画を閣議決定した。農村地域を国民の財産として支え、二〇一五年の自給率を四五%にあげる目標を掲げている。
 農水省や生産者、食品業界、消費者団体などで作る食料自給率向上協議会も昨年発足し、官民が手を携えて食生活の見直しや農地の有効利用などを進めていくことにしている。
 黒木義昭氏
 食料生産には大量の水が必要で、たとえば米一トンを作るには二五〇〇トン、牛肉一トンは水七〇〇〇トンを要する。日本は農産物を輸入している。食の安心、安全を依存するだけではなく他国の水資源を搾取していることにもなる。国連も「五〇年後は七〇億人が水不足に陥る」「水によって紛争が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
 もっと食料の生産過程に関心を持ってほしい。

 辻井 博氏
 背景には農業規模の違いがある。生産性で見ると、農家単位で小規模の農地を耕すアジアの農業と大規模農業のアメリカとでは勝負にならない。先進国の多くは食料の自給率をあげているが日本だけが下がっている。
 一九九九年制定の食料・農業・農村基本法は米国に迎合して関税を下げておいて、対抗策として大規模営農を支援するという根本的な問題がある。その点を反省し、計画を練り直すべきだ。

 編集後記
 日本の農業と深く関わりのあるWTO農業交渉詳しくはインターネットでご覧下さい(梅津)。


環保研会報23号.pdf (843KB)



山口環境保全型農業推進研究会