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おいでませEUROPA)日本びいきのスペイン・ナバラの人たちとの出会い
2006/02/23
山口EU協会の「おいでませEUROPA」への投稿文です。
日本びいきのスペイン・ナバラの人たちとの出会い
安渓遊地(山口県立大学国際文化学部教授)・
安渓貴子(山口県立大学非常勤講師)
フランシコ・サビエルのご縁で、山口県との姉妹提携をしたスペイン・ナバラ州立
大学に安渓遊地は、2005年4月中旬から9月中旬まで5ヶ月間派遣されました。目的
は、学生の交換留学の準備と学術交流・文化交流です。安渓貴子は、ボランティアと
して自費で同行し、研究・交流をおこないました。州立大でのスペイン語会話とバス
ク語初歩との格闘の日々ののち、ナバラ州の各地を訪問しました。面積は山口県の1.
5倍、人口は3分の1というナバラは、「多様性の大地」を観光のキャッチフレーズ
にするだけあって、年間降水量2000ミリ以上の北部のブナの森から南端の400ミリ以
下の砂漠まで実に多彩です。しかも、北3分の1は、ヨーロッパ最古の言語といわれ
るバスク語を話す人々が多い地域です。
ナバラで印象に残った出会いから、2つをご紹介しましょう。ひとつは、グリーン・
エネルギーです。EU全体が、二酸化炭素削減のための京都議定書を忠実に履行するこ
とに非常な努力をしている中で、ナバラは13年前から風力発電に取り組み、今では20
00本の大風車をたてて、現在約70%の電力を再生可能なグリーン・エネルギーでまか
なっています。2010年には100%グリーン・エネルギーで自給というのが、ナバラの
夢です。
風力以外にたいへん驚いたのが、ワラを燃やす発電所が稼働していて、6%の電力を生み出していることでした。地下資源を使わないバイオマス発電は、山口でも里山の復活とともに注目されているところです。ナバラ州の電気は、おおむねグリーン・エネルギーと天然ガスを使う火力発電所によってまかなわれていて、大型ダムの水力発電も、石炭や重油の火力発電も、原子力発電もまったく使っていません(これについては、詳しい数値を入れてhttp://ankei.jpで紹介しています)。ナバラの環境行政は、わずか10年あまりのうちにEUの中でも模範とされる世界でもトップレベルの業績をあげたのです。
もうひとつは、庶民レベルで環境に配慮した生活様式を求めて努力する人々との出
会いでした。エネルギー自給の民宿づくりを通して、過疎地の活性化をはかる若いカッ
プルや、自然住宅づくりを通して、「地球にいいことは自分にもいい」という哲学を
生きる人々と親しく接することができたのは、大きな喜びでした。エネルギー自給民
宿については、上記のウェブページでくわしく報告しましたので、ここでは、自然住
宅づくりについて紹介しましょう。
建築士のファン・ルイスさんは、自然に配慮した建築をめざす建築家グループのリー
ダー的存在でしたが、近頃パンプローナの町中の事務所をたたみ、廃村になっていた
アルギニャリツという古い村に健康住宅を建てて住み始めました。ほとんどインドの
哲人のような風貌ですが、事実インドが大好きで毎年3ヶ月ぐらい滞在するのだそう
です。奥さんは、玄米正食を中心とした料理のプロで、二人の娘のうち上の娘は手作
りの染め織り、下の娘は現在お父さんとともに廃屋を大改装して新しい農家民宿にす
るという仕事に取り組んでいます。畑で取れたものを中心とするベジタリアンの生活
をする彼女の掌にはいっぱいマメができていました。
健康住宅は、材料に安心・安全なものを使うとともに、エネルギーを賢く使う住宅
でもあります。手作りの家は木と石と漆喰からなっています。柱や家具に木がふんだ
んに使ってあって、雰囲気は日本のわが家そっくり。入ってすぐの居間と台所と壁を
隔てた奥の仕事場との間の壁に薪の暖炉が作りつけてあり、一つの暖炉の火が3つの
部屋から見えるという面白い構造になっています。しかもこれは料理用ストーブを兼
ね、さらにそこでできる熱をお湯として壁の中を循環させるというハイテクになって
います。お湯のパイプは廃棄が難しい塩化ビニールではなく、ポリプロピレンです。
玄関の前にガラス張りのポーチを作って、冬の太陽を受け止める工夫、太陽温水器な
ど、デザインと機能がマッチした懐かしい雰囲気のある、しかも快適な家づくりがさ
れていました。
奥さんのクリスチーナさんはパンプローナに住んでいるときは自然食品店を経営し
ていたのだそうです。そのせいか、今でも醤油は1斗缶で買い求めて仲間でわけると
いいます。案内された倉庫にはゴマやごま油、葛、すり鉢、すりこぎ、醤油、味噌な
どが置いてありました。お茶は、日本製の三年番茶という徹底ぶりです。
主な収入は、健康住宅づくりセミナーで、現在改装中の家を教材に、近くの古い建
築の巡検コースもついて、昼食にはおいしい野菜料理をつけるというコースで、かな
りのお値段ですが、家を建てたい人や若い建築士の勉強の場となっているようです。
宿が完成すれば、娘たちが稼いでくれるようにもなるでしょう。夢を着実に形にし
ていく、ナバラの友人たちにまた会いに行くのが楽しみです。





