阿部悦子通信)2009年2月愛媛県議会最終日「伊方プルサーマル中止を求める請願への討論」
2009/03/24
環瀬戸内海会議のメーリングリストから転載します。
愛媛県議会でがんばっている、阿部悦子議員からのたよりです。
以下引用
みなさん
3月18日に、愛媛県議会が最終日を迎えて
以下の請願が、否決されました。私の反対討論を
送らせていただき、ともに危機感を共有していただき
たいとおもいます。
反対討論
請願第42号「多くの疑義が出ている伊方原発プルサーマル計
画を中止する事を求める請願」が、所管委員会で不採択となっ
たことについて、反対の立場から討論を行います。
<プルトニウム(MOX)燃料、武装して輸送中>
さる3月6日未明、機関銃で武装した輸送船が原発のプルサ
ーマル用に加工されたMOX燃料を積み、市民団体の抗議の中
、フランスから日本に向けて出港しました。ちなみに機関銃で
武装しなければ運べないような燃料は世界中で、MOX燃料以
外にはありません。これは燃料の中のプルトニウムが簡単に分
離でき、核兵器に利用されることを警戒してのことです。こと
ほど左様に「プルトニウム」とは恐ろしい物質です。この輸送
船は5月には日本領海に入り、やがて伊方発電所にMOX燃料
が下ろされる予定です。県民が危機感を抱いている伊方原発で
のプルサーマル計画が、いよいよ具体的な形となって動き出し
ました。
<人類が遭遇した最悪の猛毒物質>
そもそも原発ではこれまでウラン燃料を燃やしてきましたが
、プルサーマルとは、使用済み燃料から抽出したプルトニウム
をウランに混ぜ合わせてMOX燃料を作り、今までと同じ炉で
燃やすことを言います。「プルトニウム」というのは、「人類
がこれまで遭遇した最悪の猛毒物質」だと言われるもので、ウ
ランの250倍も爆発しやすいことから、核兵器の材料になっ
ています。
<北朝鮮では長崎原爆3発分>
事実北朝鮮がこのプルトニウムを原子炉から取り出したかどう
かが大問題になり、核兵器保有の可能性をめぐって、わが国も
マスコミもこれを厳しく非難してきました。しかし北朝鮮が取
り出した可能性のあるプルトニウムは、長崎原爆の3発分にす
ぎません。
<日本は5000発>
一方我が国は既に長崎型原爆5000発分に当たる45トンも
のプルトニウムを持っています。そのうえ「核武装論」を主張
する元大臣がいるような我が国が、北朝鮮を「悪の枢軸」呼ば
わりをして、核の廃棄を迫っているのは、いかにも手前勝手な
外交政策といえます。
<国策となったプルサーマル>
そこで当然、国際社会も日本のプルトニウムの大量保有につい
て疑惑をもっています。世界原子力機関IAEAは核兵器を作
らせないための査察で、これまで日本に一番力を注いできまし
た。日本は「使い道のないプルトニウムを大量に持っている」
とは言えず、プルトニウムを燃やす高速増殖炉をつくることを
表明すると同時に当面プルサーマルをやるしかないというのが
、プルサーマル導入の最大の動機なのです。しかも「核燃料サ
イクル」の中核施設、高速増殖炉は95年のもんじゅの事故で
とん挫を余儀なくされており、国も目標としてきた2010年
までの実用化を先延ばししました。そこで97年にプルサーマ
ルは喫緊の「国策」となったわけです。
<プルサーマルは日本とフランスだけ>
プルサーマルは、重大事故の危険が高まるばかりではなく、資
源の節約がわずかで、経済的にも高くつくことから、すでにア
メリカ、イタリア、オランダ、スウェーデン、ドイツなどは撤
退しており、今後続けようとしているのは、フランスと日本だ
けです。そのフランスですが、使用済みウラン燃料が50年冷
やして地下に埋められる温度に冷却できるのに対して、使用済
みMOX燃料は
500年もかかるとして、とりあえず「100年間貯蔵し、そ
の後に再処理するか、しないかの判断を下す」方針を明らかに
しています。しかし、100年間の安全な管理方法についてさ
え、いまだに見出せずに議論が続いていると聞いています。
<行くあてのない使用済みプルトニウム燃料>
一方日本では「使用済みMOX燃料の処分は2010年から検
討に入る」としているものの、その結論がいつまでに出るのか
も明らかにしていません。プルサーマル発電後の猛毒のごみの
行方が決まらないままで、今、伊方で見切り発車をしようとし
ているのです。子孫に、何万年も管理させなければならない毒
物を製造することに平気でいるような大人はどんな理屈をつけ
ても愚かであると思います。プルサーマルを伊方原発に導入す
るというのは、そういうことなのです。
<県民の命を国策と金に換えた知事と議会>
思い返しますと、2006年10月に、愛媛県議会は賛成多数
で「プルサーマル推進決議案」を可決、後日知事も同意しまし
た。これに先立つ県主催の「プルサーマル公開討論会」では、
熱心な反対意見で会場が埋められましたが、県がこれに答える
ことはなく、プルサーマルに反対する趣旨の県民からの201
件の請願も、議会はこれらをすべて否決しました。この間、知
事はプルサーマル受け入れについて「国策に従う」「四国電力
とは運命共同体」などと、県民の不安を増幅する発言を繰り返
す一方、交付金60億円と、新たな核燃料税の値上げを達成し
ました。県民の命よりも国の意向や金の獲得に奔走した知事と
県議会は、100年後の県民にどのように評価されるでしょう
か。今回の請願はそういう意味でも大変重要な請願です。
今議会でも野口、佐々木両議員よりMOX燃料の輸送等への
重大な疑義が質されましたが、理事者の答弁は県民に納得のい
くものではなかったことにかんがみても、当請願の否決は不当
なものだということを訴えて討論を終わります。
以上、転載責任者 安渓遊地でした。