映画)消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり』の上映スケジュール(4月から6月)]
2007/06/01
米軍再編・岩国の選択~シリーズ第二章 のお知らせが西山監督からとどきました。
以下引用です。
映画『消えた鎮守の森~見えてきた沖合移設のからくり』
製作上映ニュース
上映日程/2007年4月~6月
◎次の質疑応答は(西山監督が)4月26・27日岩国市民会館で初公開する直前
に毎日
新聞岩国支局の大山典男記者の質問に答えた「映画の主旨内容」です。
Q 今回の映画全体の構想は、いつごろから練り、実際に撮影に入ったのは、いつ
ごろから?
◎前回の記録映画「米軍再編・岩国の選択」から続編の記録はずっと考えていまし
た。映画の場合、マスコミの
ように媒体をもっていないので上映活動をしなければ人に伝えていくことが出来ませ
ん。撮影(取材)、編集、作
品化、試写・上映活動という時間がかかります。全国各地で上映をしながら絶えず国
の動きと岩国市民の次の
動きを見ていました。その時期が市庁舎建設の補助金カット、愛宕山開発地域の米軍
住宅転用問題でした。
2月5日の牛野谷地区12自治会連合協議会が三者に要請活動をするという予定を
聞き、岩国の新たな動き
が始まるのでこの日から、と決めました。(上映報告の資料は添付資料を参考にして
ください)
Q 今後、映画全体を完成させるに当たって、どのような問題(例えば、庁舎建設
問題、民間空港再開問題な
ど)を取材される予定でしょうか?
◎前作で「岩国の選択」と題したようにこの問題に関しては最後まで見届ける(記
録する)予定です。岩国には
米軍基地があり、工業地帯があり、都市開発があり、錦川沿いの豊かな自然があり、
周辺地域の過疎・少子
高齢化問題と、この日本が抱える克服しなければならない全ての課題が山積していま
す。岩国では日本の縮図
が展開しているという視点をもってアプローチするつもりです。時々周辺部にも出か
けています。その中心に米軍
再編という岩国市民にとっての試練があるのは言うまでもありません。
Q 試写会で上映される「消えた鎮守の森」について、製作の狙い、意図、あるい
は鑑賞される方にどんなことを
考えてほしいか。
◎2月5日の岩国市・山口県・防衛施設局三者に対する12自治会長さんたちの要
請行動からすでに1ヶ月半
が過ぎてしまいました。丁寧に対応した井原市長に比べ、県・施設局の対応はあまり
に住民を軽視しています。
60歳を超えた自治会長たちだから適当に対応しろ、という態度が見え見えなのです。
これは国と山口県、岩国
市という政治レベルと同じなのです。こうして岩国市民もあしらわれているのだとい
う記録は、できるだけ早く見せら
れる状態にして市民に公開したいという思いがありました。新聞は活字だし、テレビ
はローカル枠で一過性の映像
ですから、住民の思いや気持ちをきちんと伝えるには限界があります。岩国の住民の
間でも現地から遠く離れると
温度差があります。この温度差を映画が埋められれば記録が生きると思っています。
まずは映画を通して当事者
の声に耳を傾けてほしい、現場の状況を見てほしいということに尽きます。税金を払っ
ている以上、誰もが当事者
なのですから。
◎山口県全域・岩国全域草の根ネットワークによる巡回上映を開始します!
巡回上映スケジュール
2007年6月10日(日)通津公民館(岩国)14時上映
6月10日(日)平田供用会館(岩国)19時上映
★6月15日(金)下関市菊川町/菊川総合福祉会館19時上映
6月16日(土)岩国供用会館(岩国)14時上映
6月16日(土)錦町ふるさとセンター(岩国)19時上映
6月17日(日)由宇文化会館ホール(岩国)13時30分上映
6月17日(日)牛野谷供用会館(岩国)19時上映
★6月18日(月)山口市吉敷/喫茶ういるびー2Fギャラリー19時上映
★6月19日(火)宇部カトリック教会19時上映
★6月20日(水)周南市須々万/教念寺19時30分上映
★6月21日(木)萩市上映(予定)
6月30日(土)愛宕供用会館(岩国)19時上映
主催/山口県巡回草の根上映ネットワーク
協力/岩国市牛野谷地区自治会連合協議会/岩国市各地域の皆さん
お問合せ/080-5255-7406(西山)090-8609-9724(石田)
◎この山口県上映キャラバンは参加者のカンパで運営されます。
◎へこたれるな、岩国くん!撮影続行中!
住民投票から一年、
新市庁舎建設への補助金カット、愛宕山ニュータウン開発造成地の米軍住宅転用問
題
など、岩国市に次々と押し寄せる無理難題の数々。
「悲願の基地沖合移設」「そのための愛宕山開発」だった、筈だ。
神社を移し、鎮守の森を削ってまでして協力した地域開発だった、筈である。
それなのに、なぜ米軍住宅建設という計画が出てくるのか、その理由がわからない。
なりふり構わず強引に進められる米軍再編。
美しい国づくりを唱える安倍首相のルーツ山口県、その足元の自治体・岩国市で今
何
が起きているか。
国・県による理不尽なイジメに岩国市民はどう立ち向かおうとしているか。
へこたれるな!岩国クン!山口県にも、全国にもたくさんの支持者がいる。
全国民必見のドキュメンタリー映画完成!
上映協力者募集!山口県各地で上映を開催してください!!
◎4月26日、27日岩国市民会館で初上映!
映画に登場する地元自治会で配布された上映の案内チラシには次のようなキャッチ
コピー
が踊っていた。「待望の岩国試写会決定」「牛野谷を舞台の映画完成!」「これを見
ずに愛宕山
問題は語れない!」。そして何百年もそびえた「天空の杜」「愛宕山神社」、私たち
が消し去っ
てよかったのだろうか?・・・と。
2月5日、牛野谷地区自治会連合協議会(12自治会)の9人の会長さんたちが岩
国市長、
山口県知事、防衛大臣に対して「愛宕山開発造成地の米軍住宅転用に反対する」要
請行動を行
った。同行取材した西山カントクはとにかく出来るだけ早くこの日の出来事を岩国市
民に知ら
せたいと思っていた。その思いがこの上映会でようやく実現した。
26日夜、市民会館小ホールは立見が出るほど盛況だった。井原市長も一観客とし
て参加、
映画に登場する自治会長さんたちもこういう経験は初めてのせいか少し緊張気味だっ
たが、上
映後の参加者から寄せられる共感、激励の言葉に随分元気づけられたようだ。行政権
力に対す
る自分たちの言い分(怒り)がスクリーンに映し出され、それが参加者にどう伝わっ
たか、そ
れが一番心配だったのだ。記録することの意味、上映会を経験することの意味、それ
を映画に
登場してくれた人々と一緒に共有することが出来たらどんなに嬉しいことか。6月か
ら岩国全
域、山口県全域の草の根巡回上映に挑戦しよう。巡回上映が岩国市民、山口県民の財
産になる
ことを信じて。
◎4月21日「ふくおか自由がっこう」と共催で福岡初試写会。30人が参加!
◎4月29日神奈川県横須賀市で非核市民運動・ヨコスカの定例デモの後、初
めての試写会!35人が参加。
◎5月6日東京世田谷下北沢で東京初上映会!40人が参加。
◎5月13日大分県湯布院NPO法人「風の原っぱ」で大分初試写会!
◎5月18日山口市阿知須で草の根有志による試写会
◎製作者からの呼びかけ!
国会で憲法改定に向けた「国民投票法」が強行採決された同じ日、「米軍再編推進
特
別措置法」も強行採決で可決された。
岩国住民投票から一年、この国の政治と民意は得体の知れない方向にますます近づい
て行くような雰囲気の今日この頃です。
普通であれば気恥ずかしくて言えないような台詞「美しい国」を臆面もなく唱え、
一
方で従軍慰安婦、集団自決など侵略戦争の片隅で弱い立場にあった人々の、人間とし
ての尊厳を歴史教科書から抹消していくことを積極的に支持する政治家がこの国の政
府を構成する時代にどうしてなってしまったのか。
岩国住民投票条例には有効投票率50%(12条)という投票率規定があったが「
国
民投票法」にはそれがない。もし投票率46%でも過半数の23%(全体の23%で
もある)がとれれば憲法が変えられてしまうのである。国民投票法に最低投票率を設
けるとボイコット運動が起こるからと言うが、岩国の場合井原勝介市長は正々堂々と
民意を問い、市民はそれに答えた。それに対して政府のやり方はあまりに姑息だ。米
軍再編に協力する自治体には交付金を出すが、反対する自治体には出さないというあ
からさまなイジメを堂々とやる。イジメは学校だけに起きているのではない。この「
美
しい国」の道徳や倫理を説く政治家たちが「米軍再編推進特別措置法」なるイジメ政
策を立法化し実行しているのだから、子どもが真似をしない筈がない。だからイジメ
の連鎖は止まらない。イジメによる子どもの自殺が止まらない。そしてとうとう現職
大臣が自殺するという事件が起きた。汚職の連鎖に絡む元官僚も自殺してしまった。
この国の政治家たちは競争社会を煽り、最低生活保障の予算を削りながら自己責任、
自己責任と口をそろえて言う。だが自殺という惨めな責任の取り方がどうしてできる
のか。責任ある大人の自殺者が後を絶たないのだ。子どもたちに“命の大切さ”を問
う教育改革など言う資格もない。国民に対して平気でウソをつく。平気で公約を破る。
社会道徳も倫理もあったものではない。これが“美しい国づくり”を唱える日本政府
の足元にある実態だ。みっともない、と言うしかない。
住民投票から一年、岩国は国から市庁舎建設の補助金をカットされ、山口県からは
ニュータウン開発地域の米軍住宅建設案が出されるなどムリ難題の数々に晒されてい
る。これは政府による自治体イジメであると同時にその地域に暮らす住民への人権侵
害でもある。まあ、それでも岩国クンはへこたれてはいない。岩国住民投票は決して
過去の出来事ではない。ましてや岩国だけが抱えた個別の問題でもない。いつでも誰
もが当事者になりうる社会的な課題なのである。
西山正啓(ドキュメンタリー映画作家)
◎映画「消えた鎮守の森」解説
2月8日横須賀市議会が「原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案」を31対
10で否決した。その原子力空母艦載機59機の受入れ是非について住民投票を実施し
たのが山口県岩国市。戦後60年国の政策を従順に受入れ米軍基地と共存してきた筈
の人々が住民投票で“もうこれ以上の基地強化はイヤだ!”と堰を切ったように意志
表示したのです。それから一年、住民投票時に全国から殺到したマスコミの喧騒がウ
ソのような静けさの岩国で今何が起きているのか。
◎基地騒音から逃れ、広葉樹と竹林に覆われたなだらかな愛宕山丘陵に“終のマイ
ホ
ーム”を求めた人々がいる。なだらかな丘陵の頂きには由緒ある愛宕神社が祀られ鎮
守の森が里山に暮らす人々の心を癒していた。毎年春になると桜の満開の下で繰り広
げられる奉納子ども相撲大会の歓声が里山に響き渡っていた。その鎮守の森が開発に
よって削られることになった。
「悲願の沖合移設、そのための愛宕山開発」
この10年間、岩国市民はこう思いつづけてきた。米海兵隊航空基地滑走路を沖合
に出すことで戦闘機騒音は軽減され、沖合移設工事によって街の経済は潤う。その埋
立て土砂を取るために愛宕山を削るのは仕方がない、と。完成の暁には“東京の田園
調布”を凌ぐニュータウンが出来るのだから、とも。
元々「愛宕山地域開発」は米海兵隊岩国基地滑走路を沖合に移設する拡張工事の埋
立て用土砂を確保するために始めた公共事業だ。山口県と岩国市の負担割合が2対1、
総事業費は851億円。その内のおよそ400億円は埋め立て用土砂を国(旧防衛施
設庁)に売って賄い、残りの451億円は土砂採取跡地に山口県住宅供給公社が新住
宅市街地開発法によって「夢のようなニュータウン」を造成し、その販売代金で収支
を合わせるというものだった。
沖合埋立て用の土砂搬出事業は2007年3月に完了した。ところが基地拡張の目
的を達成した途端、山口県は岩国市に対し開発事業の中止、共同事業の解消、区分所
有することで事業の単独清算を迫っている。赤字は山口県と岩国市が2対1の割合で
損失補償する。負担額は県が167億円、岩国市が84億円とされている。県の狙い
は赤字を解消するため跡地を国に売るというもの。一方国(防衛省)は土地を取得し
た後、有力な選択肢の中に米軍住宅建設があると、はっきり宣言している。これは明
らかに米軍再編以前に仕組まれていたシナリオだ。そう疑われても仕方がない。
住民投票から一年、沖合移設のからくりがはっきりと見えてきた。
そして今、岩国市は国・県によるあの手この手の策略とイジメにあっている。一つ
は
現在建設中の新市庁舎への補助金カット。国は米軍再編推進特措法をつくってまで非
協力の自治体、特に岩国市と沖縄名護市には交付金を支給しないのだという。これは
言うことを聞かない自治体はこうなるのだというあからさまな見せしめである。
もう一つは1月30日に突然発表された愛宕山開発地域を米軍住宅に転用するとい
うものだ。もしあなたの家のすぐ目の前にフェンスが張られ、“治外法権”同然の米
軍
住宅が建てられたら、と想像してほしい。周辺住民、土地を提供した人たちが怒るの
は当たり前だ。
◎庭先に造成地のフェンスが広がる家の主婦が「あ・た・ご・や・ま」パズルを解
く
ため積極的に自治会活動をはじめた。彼女は騒音軽減のためなら愛宕山開発も仕方が
ない、と造成工事に同意した一人だ。しかし工事が始まるとダイナマイトの振動で育
児に悩まされ、砂ぼこりで洗濯物も外に干せないなど生活環境の激変で愛宕山開発に
疑問を抱くようになった。そしてその疑問符は次第に沖合移設と米軍再編のからくり
へと向かうようになった。
「戦闘機騒音の軽減」「悲願の滑走路沖合い移設」「土砂埋め立て」「愛宕山ニュー
タ
ウン造成」「売れない宅地」「住民負債」「国が買い取り」「米軍に提供」「米軍住
宅建設」。
彼女は家族を守るために始めた活動なのだと言う。それが自治会活動、住民投票へ
と
つながっていった。
◎住民投票を経験したからこそ気づいたことがある。見えてきたことがある。
この国の政府は約束を平気で破る。非協力の自治体をあからさまにイジメる。
住民説明会で自治会役員の主婦は問う。本来は学級担任の山口センセイが止めなけ
ればいけないのに、どうしてニチベイ教頭と一緒になって岩国くんをイジメるの?
普段はおだやかな自治会長さんが申入れの席で言う。この国の首相は美しい国づく
りというけど、有刺鉄線が張られ、米軍住宅が建てられた地域を美しいと思いますか?
国の言うことを信じて素直に従ってきた岩国の人たちが本気で怒っている。
住民投票後の岩国の住民感情はこの国の民主主義のあり方を試す強烈なリトマス試験
紙だ。それをいちばん良く知っているのは「消えた鎮守の森」なのかも知れない。
へこたれるな岩国くん!
西山正啓・感謝!
◎問合せ092-942-7406 E-mail n-aitaro@nifty.com (@を半角に
して)