留学生はいま)スペイン留学1か月目「私たちが日本代表なんだ」
2014/11/04
前のページに登場した ちづさんとともに、同じナバラ州立大学で勉強中のゼミ生
あやさん のレポートです。
写真は、サンフェルミンチキートというお祭りでみた合唱団と、露店で見た古本屋
さん、マドリッドでみた緑色の音楽隊と、サンミゲル市場の様子です。
どれも見慣れないものばかりでおもしろいものばかりでした。
こちらにきて、毎日があっという間に過ぎていきます。そして、ナバラ在住の日本
人、県立大学へ留学していた方、学校の先生、友達、たくさんの人に助けられながら
1か月が過ぎました。ある人に、こちらでは良く喋る人のことを“ひじから喋る”と
例えることがあると教えてもらいました。それなら、今の私からすればスペイン人は
みんなひじから喋っています。毎日精一杯の私ですが、最近ようやくこちらでの生活
に慣れてきました。少し離れたところに買い物に行くときはバスを使い、休みの日に
は友達とカフェにいったりバルに行ったりしています。感じた事はたくさんあります
が、そのなかでも印象強く残っているいくつかを書きだそうと思います。
生活スタイルや身の回りの環境は今までと全く違います。そこで初めに思ったこと
は、こちらにはバルやカフェはたくさんありますが、コンビニや自動販売機というも
のがありません。24時間営業しているお店も、今私が知っているのは1軒の薬局だ
けです。日本で生活してきた私は、そのことを不便と感じました。しかし、24時間
営業や何でもそろうコンビニがないからこそ、バルやカフェが人々の集まる場所とな
り、お喋りし、情報交換の場になっているのではないかと感じました。ここからは推
測ですが、バルやカフェに行くと、顔見知りや同じ町の人がそこにいる。その人たち
とお喋りする時間があるからこそ、街のコミュニティができているのではないかな、
と思いました。携帯やコンビニといった、便利なものがありすぎると、人との繋がり
は薄れていくのかなと感じました。
こちらにいると、スペインはいいなぁ、日本ももっとこうだったらいいのに、と、
思うことがあります。一度、バスにおばあちゃんたちが乗ってきたときに、「日本も
もっと老人が元気だったら明るくなるのに」、みんなの洋服を見て「日本人ももっと
カラフルな服を着たらいいのに、それだけで雰囲気が楽しくなる」と思いました。し
かし、日本にも元気でパワフルな老人はたくさんいます。朝から公園で運動している
おじいちゃん、おばあちゃん、派手さも色使いも負けていないおばちゃん。ひとの親
切さも負けていません。これは最近気づいたのですが、私は、こちらにいると日本を
悲観的に見ていることが多いようです。しかし考えてみると日本もいいことだらけで
す。これからは悲観的に見るのではなく、こちらに住んでいるからこそ見つけられる
日本の良いところ、悪いところ両方に気付けたら良いな、と思います。
そして、私の印象に残っていることは、ヨーロッパから見たアジア人の見方です。
道でであったおじさんには、「日本も中国も同じだよ!私たちにはわからない!」と
いわれ、たしかにな、と思ったのですが、こちらで美容院に行った際に、日本人だと
いうことをあてられ、「どうして中国人でなく、日本人と分かったの?」と聞くと、
「全然違うよ!昨日も私はアジア人を見たけど、あれは絶対日本人だったよ。」と言
いわれ、みんな同じというおじさんと、全然違う、という美容院のお姉さんの意見の
違いを面白く思いました。
また、これは留学生全員が思うことだと思いますが、私がスペインにいる間、私の
ことを知るスペイン人は、私がしたこと、言ったことが「日本のしたこと、日本が思っ
ていること」となります。私が変なことをすれば「日本人はおかしな人だ」、私が意
見を言えなかったら「日本人はなにも考えていない」となります。私は今、スペイン、
ナバラ州の日本代表のひとりです。私のルームメイトの一人に、エクアドル人の女性
がいます。そのひとは、「エクアドル人は危ない人が多い」とスペイン人に言われ、
悲しんでいました。私の家の近くには、エクアドルやペルーと言った南米の人が多く
住んでいます。この家に住むときに、私も「南米の人が多いから気を付けてね。」と
言われました。ルームメイトは、「たしかに危険な人もいる、けどお金をエクアドル
に住む家族に送るために働いているひとや、勉強のためにこちらに来ている人もいる。
エクアドル人みんなが危ないわけじゃない、ということを分かってほしい。」と言っ
ていました。ここで私は、ここに住む人たちにとっては私たちが日本代表なんだとい
うことを再認識しました。
先日、10月3、4、5日と、ちづさんと一緒にマドリッドへ旅行に行ってきまし
た。
周りは観光客ばかり、道にはたくさんのパフォーマーがいてパンプローナとはまた違っ
た雰囲気で面白かったです。パンプローナに住んで1か月、生活に慣れてきたと思っ
ていましたが、旅行が終わって、帰る場所がスペイン、というのが、すごく変な?お
もしろい?気持ちになりました。
生活に慣れることで精一杯だった留学生活1か月目、2か月目からは、もっと周り
に目を配り、より高くアンテナを張り、いろんなことをキャッチできるように毎日を
過ごそうと思います。