原発いらない福島の女たち)環境省にあてた声明文の全文
2014/07/13
2014年7月3日づけ、「原発いらない福島の女たち」から環境省に宛てた、声明文、全
文をシェアします。
「私たち、「原発いらない福島の女たち」は、本日、除染やモニタリングなどの放
射性物質対策や、震災瓦礫、除染土の処理、原発事故に伴い必要となった健康管理な
ど、極めて重要な役割を担っている環境省に対し、以下の4点を要請しました。
1. 除染に偏らない被曝低減措置を早急に策定・実施すること。
1. 原発事故子ども被災者支援法の理念に則り、環境省の被災地/者支援政策、放
射性物質対策を抜本的に見直すこと。
1. 今後の政策立案には被災者の声を反映させること。
1. 石原伸晃環境大臣は辞任すること。
これは直接には、去る6月15 日に福島市で開かれた「除染に関する有識者との意見交
換会」および翌16日の石原環境大臣「最後は金目」発言に対する抗議として行いまし
た。
意見交換会においては、当初傍聴なしの非公開とされていたこと、有識者・司会者に
原子力推進機関とのかかわりのある人が複数含まれるなど人選に偏りが大きかったこ
と、またその出自を分かりにくくするなどの細かな作為、住民参加の不在、実際の外
部被曝量の一部のみを測定する個人線量計による測定の重視による実質的な除染目標
緩和など、極めて透明性・公正性に欠ける行為があり、私たちはこれに強く抗議いた
します。
また、このような姿勢は、環境省に留まらず、復興庁、経産省、文科省他各種国の行
政機関にはびこっているといえます。
その共通の前提は、
・この程度の被ばくなら問題はない
・原発事故に起因する健康問題は発生していない
・住み続けることが、住民にとっても国の経済にとっても望ましい
ということであり、その基本姿勢に沿った政策を導き出すために、以下のようなこ
とが行われてきました。
・重要な各種調査のサボタージュ
・各人の体調不良による自覚症状などの存在の否定
・初期被曝、内部被曝の過小評価と無視
・チェルノブイリ事故後の健康影響についての現地医師などからのシビアな報告を無
視
・その他:異論や反論が市民から出されないための様々に不公正なプロセス
・経済・利権を優先させた政策による放射性物質の拡散(広域がれき処理、放射性
ゴミ焼却施設の建設など、求められる核災害の被害最小化のための放射性物質拡散防
止とは全く逆の方向性をもつ政策が推し進められています。)
このような【国の不誠実が、人々を無用な被ばくに晒し、被害拡大の防止という任務
を果たさず、逆に拡大させてしまっている】と私たちは考えます。
福島県では事故当時18歳未満の子どもの甲状腺癌が増え続けています。
6月10日の発表では甲状腺がんの子どもが疑いを含め89人に上り、うち【手術を受け
た50人の多くはリンパ節転移や肺転移、嗄声などシビアなケースである】と言われ、
その正確な割合の公開が待たれています。
また、そのほか、【免疫系、呼吸器系、循環器系、消化器系、神経系、精神疾患など
他多様な健康上の異変に対する懸念が存在しています】が、真摯な調査が行われず、
懸念の声を抑圧するような動きが目立っています。
しかし、【チェルノブイリ原発事故後のウクライナやベラルーシの放射能汚染地帯に
住む子どもたちに、28年たった今でも様々な疾患や免疫不全が増えているというデー
タがあります】。
除染が進まないという理由で【目標値を上げて、放射線に対する感受性の高い子ども
たちをその地域に放置することは、予防医学の観点からも許されることではありませ
ん】。
【空間線量が高い地域にあえて子どもたちを閉じ込めておくのではなく、避難したい
家庭には避難できる権利に基づく具体策を】、留まる家庭には定期的な保養や詳細な
健診のシステムを作るなど、除染のみに偏らない被曝低減・健康障害予防の施策がと
られるべきです。
また、全国各地への自主避難者を含む避難者に対する支援は著しく不足しており、避
難先での孤独死や自死、更に子どもの虐待、望まぬ帰還、家族崩壊など、深刻な問題
が存在しており、その実態の把握と具体的援助が急務です。
石原大臣は、官邸で菅義偉官房長官に中間貯蔵施設に関する住民説明会が終了した
ことを報告した後の記者団の質問に、「最後は金目でしょ」と発言しました。
汚染をこうむった地域の私たちが望むものは、金ではなく、311前の元の故郷、元
の暮らしです。
しかしそれは極めて困難である現実の中で、【私たちが、身を切るような悲しみとと
もに求めているのは、人々の健康と環境の保全のためにベストを尽くそうという姿勢
の元での政策】であり、【未だ進行中である福島第一原発事故の被害の最小化】であ
り、大きな余震等による【次の危機への最大限の準備】であり、このような悲惨な
核災害を別の場所で再び起こさないための全力の取り組みです。
しかし、日本政府は、被害防止ではなく【被害の不可視化に全力をあげ、放射性物質
の拡散を促進し、初期被曝および内部被曝を隠し】続けています。
そしてその上で、地殻の大変動期に入っている日本列島上の他の原発の再稼働、核燃
サイクル計画継続など、日本が核兵器保有能力を持つことに固執しており、さらには、
同様の地震国であるトルコなど海外への原発輸出にも乗り出しています。
これらは福島原子力災害の被災者を踏みにじるものであり、また、世界の人々のいの
ちをも軽んじる誤った政策だと言わなければなりません。
2日前には、安倍内閣が、日本国憲法の立憲主義、平和主義を根幹から揺るがす、集
団的自衛権行使容認の閣議決定を強行しました。
私たちは、このような【軍国化の強行と、原発推進、被ばく受忍強要は、三位一体の
もの】だと感じており、この全てに対して強く反対いたします。
世界の皆さまに、この日本の危険な現状を知っていただき、私たちがこの原子力災
害による被害拡大を今からでも最小限に食い止めていくために、どうぞお力を貸して
くださいますよう、心よりお願い申し上げます。
2014年7月3日【 原発いらない福島の女たち】 」
PDF:
http://onna100nin.up.seesaa.net/image/E697A5E69CACE5A496E59BBDE789B9E6B4BEE593A1E58D94E4BC9AE8A898E88085E4BC9AE8A68BE381AEE58E9FE7A8BF20140703-db16a.pdf
以上。
掲載者 安渓遊地