宮本常一) 『調査されるという迷惑』 は 大野更紗さんの愛読書でした #フィールドワーク RT @tiniasobu
2013/10/23
宮崎駿監督の「もののけ姫」のキャッチコピー「生きろ。」を何十枚のダ
メだしの末に書いた、コピーライターの糸井重里さんと『困ってる人』の大野更紗さ
んが対談「健全な好奇心は病気に負けない」の中でこんなことを言っています。
宮本・安渓、2008『調査されるという迷惑』みずのわ出版 という本のタイトルは、
みずのわ出版の 柳原一徳(徳の字、本人は旧字を使うんですがシステム上德としか
表示できなかったのでここは新字体で)さんと安渓遊地が考えて、宮本先生が197
2年に出され
た「調査地被害――される側のさまざまな迷惑」(第一章)
をつづめたものでした。
http://ankei.jp/yuji/?n=1772 は第6回でしたが、こちらは第4回のはじめの部分
大野 わたしは、吉本隆明さんにも
影響を受けたんですが、
同じくらい影響を受けた人に、
民俗学者の宮本常一さんがいます。
糸井 大野さんは、ほんとうにいっぱい
勉強してた人なんだね。
大野 いえいえ、ただ本を読んだだけです(笑)。
宮本さんは瀬戸内の周防大島の農村で生まれました。
宮本さんのお父さんは、
南洋に出稼ぎに行った経験のある人で、
明治時代に、なんと
畑にバナナを植えてたらしいです(笑)!
養蚕もはじめて、
当時としては豪農だったそうです。
宮本常一さんは長男だったんですが、
このお父さんは農家を継げとは言わなかった。
そして、勤め人になりました。
田舎を出て行って、柳田國男と会い、
生涯の支援者となる渋沢敬三に会い、
ひとりで日本列島の農村を歩き続けます。
いつももんぺはいて、ペラペラのシャツ着て、
麦わら帽子でフラフラと歩く。
わたしもフィールドワーク行くときは
だいたいそうなんですけれども。
糸井 もんぺですか?
大野 もんぺ、っていうのは象徴的なもので。
宮本さんにとっては、もんぺ。
それは、技術として、
「その場にいかに溶け込むか」という意味で
とても大事なことなんです。
宮本さんも晩年になって、みんなに信望されて、「宮本神社」みたいなものができる
局面もあった。亡くなられた後ですが、『調査されるという迷惑』という本が 出て
います。
糸井 いいタイトルですね。
大野 はい。いいタイトルだと、わたしも思いました。かじりつくように、読みまし
た。
調査するという振る舞いは
いかに迷惑や負荷をかける行為か、
調査者は旅人であることをわきまえよ、
というようなことを宮本さんは言っている。
しょせん、外部者で、他人(ひと)ごと。
他人ごとなんだったら、少なくとも
他人ごとを切り取るときの礼節をわきまえろ、
と書いてありました。
フィールドワークの初心者のときに
自分がその本に出会えてよかったと思っています。
宮本さんは、農民の方たちに対する、
あふれんばかりの愛があるのがわかります。
愛があるからこそ、自分を常に戒める。
観察者は「現場」や「フィールド」以上の
優位性は取れないし、取ってはならないと。
わたしの勝手な想像なんですが、
互いに傷つかなくても、
そこまで深く話し合わなくても、
なんとなく社会が「もつ」時代と場が、
かつて一時的にあったんだろうなと。
傷ついた人に触ろうとしたら、
自分だって傷つくわけです。
だから、いまの、とくに
都会に住んでいる人たちは
耐えられないことが多い感じがする。
これは、わたし自身も含めてです。
傷つくことに怯えがあるような気がします。
傷つくことに慣れてないのか、
別の点においてものすごく傷ついてるのかは、
わからないんですが。 ……
全文は、
http://www.1101.com/komatteruhito/2011-12-07.html