足尾鉱毒事件) 明治35年の被害者の意見書が盛岡のお寺でみつかりました #Ashio #田中正造 #島地黙雷 RT @tiniasobu
2013/04/10
2023年9月4日 リンク切れ修正
資料紹介・島地黙雷ゆかりの願教寺所蔵の足尾鉱毒事件関係書類
Letters of the Victims of the Ashio Copper Mine to SHIMAJI Mokurai, a
Buddhist Priest of Gankyo-ji Temple
安渓遊地・井竿富雄
はじめに――研究の方法
ここに紹介するのは、岩手県盛岡市北山の古刹・北峰山願教寺(住職・島地興霖師)
所蔵の史料の一部である。今回の資料紹介の中心をなすのは、一九〇二(明治三五)
年、願教寺の第二五世住職であった島地黙雷(しまじ・もくらい、一八三八~一九一
一)らにあてられた、「足尾銅山鉱業停止請願之標準書」と題する意見書である。
という書き出しで、報告を書きました。以下からダウンロードしていただけます。
https://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yp/1186
PDFファイルで30 MBほどあります。
おわりに、のところから部分的に引用しておきます。
ここでは、「人道及生命」の部からそのほんの一部を抜粋して現代語に訳するにと
どめるが、「新聞」を「マスコミ」に、「鉱毒」を「メチル水銀」や「放射能」に置
き換えれば、まさに今日の日本の現状と変わるところがないといって過言ではない。
被害地に直接関係のある地方新聞の記者たちまで買収して、父と子がたたかうよう
にしむけ、同胞を激しく対立させて、人間としてあるべき姿の根本を破壊しつつある
のもまた、近頃の出来事である。
このあと、足尾銅山の鉱毒が銅だけではなく、ヒ素という猛毒成分も含むという発
見(ずっとのちにはカドミウムも発見される)に触れたのち、次のように述べている。
鉱毒というものは、はじめは普通の人の肉眼では見えないものであり、経験のない
人には容易に認めることができないものである。だから、普通の人がこれに気付くほ
どになった時には、もうまるで不治の病気にかかった人と同じようなことになってし
まう。こういうわけで、普通の人の眼では今年は鉱毒の激しい所ではないと思われた
としても、これから年ごとに毒が重なってくると、現状から将来のことを断言するこ
とはできない。ところが、彼らは(金や地位のために)学問を曲げる者を雇って演説
してまわらせ、素朴で律儀な政治家をたぶらかし、経験がなくて正直な知識人をだま
しているのである。このために官民の人々が正常な判断をできない心の状態になって
しまうことで、問題の本質を誤解させるように努めて、日夜奔走してあちらこちらに
出没しているという。そのために、近頃は、とんでもない説を載せた著書さえ世の中
にあらわれることが大変に多い。こういう悪漢の書いた本にだまされてしまう人も少
なくないといわなければならない。これも暗黒社会のなせるところだから、いますぐ
に誰かれを恨むということではないのだけれど、人として人権を尊重して、被害にあっ
て生活に窮している人たちをわざと虐待するような悪事をさせないようにするべきで
ある……