西山正啓監督)「脱原発いのちの闘争」完成 #genpatsu #kyuden #NIshiyamaMasahiro #documentary RT @tiniasobu
2011/07/21
西山監督の新作品が完成しました。九州電力本社前でのドキュメンタリーです。
以下は監督からのメッセージです。
上映希望の方は、監督に直接ご連絡ください。
西山正啓(ドキュメンタリー映画作家)
連絡先/092-942-7406(ファックス兼)
E-mail; n-aitaro◎nifty.com(◎を@に置き換えて送信してください)
シリーズ「原発震災を問う人々」第一弾!
2011年・ドキュメンタリー・110分・西山正啓監督作品
脱原発いのちの闘争
【ご挨拶】&【解説】
6月26日、経済産業省が佐賀県で開催した県民説明会、と言っても主催者が選んだ限
定7名への説明会。しかもケーブルテレビ局のスタジオで行うという異常さ。この欺
瞞に満ちた県民説明会に九州電力が組織ぐるみで賛成意見を投稿した、いわゆる「や
らせメール事件」が発覚し、佐賀玄海原発再稼動をめぐる問題が一躍全国から注目を
あびることになりました。国の安全宣言と保障をねだる地元町長。未だ収束しない福
島原発の惨状を前にして尚、安全宣言の安売りをする海江田経産大臣。初めに再稼動
ありきの茶番劇が九州を舞台に現在進行形で展開しています。その九州で昨年末から
脱原発運動に取り組む人たちと協働で「脱原発社会を目指すための記録映画製作」の
準備を進めてきましたが、この度その第一作「脱原発いのちの闘争」が完成しました
のでご案内致します。
映画製作プロジェクトを立ち上げようとしたその矢先、未曾有の東日本巨大地震が起
きました。何の因果か、私はそのとき、玄海原発プルサーマル(MOX燃料使用差し止め)
裁判の公判廷の中にいました。その後次々と巨大地震、津波の広域被害だけでなく福
島第一原発が事故を起こしているということも判ってきました。東日本大震災は地震、
津波に加え原発震災という最も恐れていた事態が現実のものとなってしまったのです。
国民はフクシマ原発震災がもたらす放射能汚染という見えない恐怖に脅かされること
になりました。都市住民によって買い占められる水、食糧(農産物、水産物)。風評被
害もあっという間に広がりました。生産しても売れない、出荷も出来ない生殺し状態
の農業者、漁業者が苦痛に耐え、怒りに震えています。一旦事故が起きれば制御でき
ない原発の実態が日を追うごとに明らかになってゆく。
いつ起こるか知れない原発震災の恐怖を長い間訴えながら政府や電力会社から無視さ
れつづけてきた「反原発」「脱原発」住民運動に取り組む人々が一斉に行動を始めま
した。チェルノブイリ以来、久しく鳴りを潜めていた脱原発運動が世界中で湧き起こっ
てきました。日本でもこれまで原発に関心を持たなかった人までもがフクシマの惨状
を前にしてようやく意思表示を始めたのです。
この記録映画の舞台となる九州は、玄海原発1号機の老朽化とプルサーマル発電の危
険性、鹿児島川内原発の3号機(世界最大級)増設計画を抱え揺れていました。しかし
九州電力は危惧する市民と真摯に向き合うことも、誠実な対応もしてこなかった。
4月20日、脱原発ネットワーク・九州、九州電力消費者株主の会は九州電力本店前に
テントを張り、九電との交渉を求める無期限の座り込み行動を呼びかけた。テントは
「原発止めよう!九電本店前ひろば」と名付けられた。
今回の映画「原発震災を問う人々」シリーズ第一弾!「脱原発いのちの闘争」(110分)
は、鹿児島川内原発周辺の海岸で「温排水と海の生物の異変」を記録しつづけている、
海がめ産卵・ふ化保護監視員・中野行男さんの活動と、5月18日に行われた「原発廃
炉を求める連絡会260団体」対「九州電力」の原発の安全性をめぐる徹底討論を中心
に構成。九電株主総会(6月28日)当日に行われた人間の鎖行動。海江田経産大臣の佐
賀(安全宣言)訪問、九電やらせメール発覚によって混迷を深める佐賀県庁への抗議行
動など、住民による、住民の、住民のための生存権を問う、いのちの闘争を記録した
ものです。
職員による人間バリケードで住民との対話を一切拒否してきた佐賀県への抗議行動で
は俳優・タレントで知られる山本太郎さんが飛び入り参加をした。芸能人が社会的発
言をするには相当の勇気がいると想像する。それが「反原発」「脱原発」発言であれ
ば、なお更である。電力会社による独占体制の既得権益ムラに組み込まれているのは
政官産学だけではない。広告収入に依存する新聞・テレビマスコミ、芸能界も同じだ
からだ。山本太郎さんは、原発は生命にかかわる問題だから自由に発言したいと所属
事務所を辞め、子どもたち
の生命を守るために全国区の行動を起こした。佐賀県庁行動で発する彼のメッセージ
は明快で説得力がある。必見のシーンである。「私たちは帰りたくても帰れない。福
島を返して欲しい!」映画のラスト、福島から避難してきた若い母親の問いかけに、
この社会はどう応えることができるか。日本の新聞、テレビは政治家のぶら下がり取
材や、記者クラブ制度にあぐらをかいた特権的取材に力は入れても現場で行動する市
民・住民の声を何故か伝えようとしない。子を持つ若い母親たちの「いのちを賭けた」
抗議行動。彼女たちの止むに止まれない必死の行動と肉声を記録し、多くの人々に伝
えなければならない。何もかも全てを失う前に。
●西山正啓監督シリーズ「原発震災を問う人々」製作にあたり脱原発社会への想像力
と創造力
2011年3月11日午後2時46分以来、我々はかつて経験したことのない光景を目撃してい
る。巨大地震、津波に加え、原発震災、放射能汚染、実害・風評被害が深刻だ。放射
能は大地を汚染し、飲料水、農産物だけでなく生態系のあらゆるものを汚染する。我々
は放射能という見えない脅威に怯え、社会不安は増すばかり。故郷を追われる人々。
自治体ごと他県に避難せざるを得ない人々。何の罪もない人々が生殺しの目に遭って
いる。これまで産業界もマスコミも競って安心・安全を売り物にしたオール電化生活
を謳い、その生活を享受してきた首都圏住民が汚染パニックに陥った。皮肉にも安心・
安全を誇大宣伝してきた原子力発電がその破滅的正体を晒したのだ。
東日本巨大地震が起きたとき、私は玄海原発プルサーマル(MOX燃料使用差し止め)裁
判の公判廷の中にいた。電力会社が用意した準備書面は専門用語と数値の羅列だ。す
ぐ理解しろと言う方が無理だ。誰かが、この裁判は科学(者)論争だと言った。しかし
広島、長崎、スリーマイル、チェルノブイリそしてフクシマも人間が引き起こした
地獄絵図である。30年前、原爆の図の画家で知られる丸木俊さんが、撮影中に「(原
爆を)経験したことがないからわかりません。」という子どもの質問に「経験するこ
とは死ぬことよ。私たちには想像する力があるのだから。」と答えた。これほどわか
りやすい言い方はないと思った。
我々の社会は一極集中型の巨大発電・供給システムが如何にリスクが大きいかを体験
した。「脱原子力発電~原発依存社会から脱却せよ!」である。3・11は戦後66年間で
築き上げてきた一極集中型の社会システムが破綻したのである。原発震災を問う人々、
小規模・多様・地域分散型(再生可能エネルギー)電力供給システムを追及する人々、
この時代の難局を乗り越えるために、難題中の難題に確固たる意思をもって挑む人々
を映画で記録したいと思う。根こそぎ家を失い、家族を失った被災者の苦痛と、そし
て今も尚、高濃度放射能汚染を食い止めるために命がけで作業する人々への細心の想
像力を働かせながら。脱原発~原発依存から脱却せよ!
我々は思考停止してはならない。
脱原発いのちの闘争.pdf (184KB)