icon
 

 



群馬県)農薬の空中散布を自粛して過敏症患者が大幅に減った

2007/01/31(水)



 清流の会の会員には、松枯れ空中散布のある仁保に住むようになって、10年たたないうちに有機リン系の物質にあうと微量でも激しい頭痛がするようになってしまった大学教員がいます。おそらく小さいころ、田んぼの真ん中の住宅で、パラチオン(商品名ホリドール)という非常に人体にも有害なのでつかわれなくなった農薬にさらされていたせいかもしれません。

 最近、田んぼに農薬を無人ヘリを使って空中散布するという面積が増えているのですが、群馬県でこれをやめたら、過敏患者が大幅に減ったというニュースがでていますので、ご紹介します。

 山口県でも、松枯れの空中散布については、来年度4割減、山口市は5割減、仁保は7割以上の減少ということがこのほど2007年1月19日の県の会議で決まりました。くわしくは、別のページでご報告します。

 今日の毎日新聞から。http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20070131ddm013100005000c.html

 引用しておきます。
 =======================

 有機リン系農薬:無人ヘリ「散布」自粛の群馬県、過敏症患者が大幅減

 群馬県は昨年6月、全国で初めて無人ヘリコプターによる有機リン系農薬の散布自粛を決めた。通学中の子供らが農薬を吸い込み、健康を害する恐れがあるなどが理由だ。自粛後、農薬などに過敏な患者が減ったという現象も報告された。他県の動向が注目される中、環境省は大気中の農薬を吸入した場合の健康への影響について調査を始めた。【小島正美】

 ◇来年度から環境省、毒性リスク評価

 ◆呼吸困難に

 有機リン系農薬は神経の働きを阻害して害虫を殺す殺虫剤。日本では主にウンカなど水田の害虫防除にフェニトロチオンなどが使われている。

 人が吸い込んだ場合には呼吸困難や注意力、視覚機能の低下などの影響を指摘する報告があり、欧米諸国では使用規制の動きも出ている。

 こうした中、小寺弘之・群馬県知事は昨年6月「有機リン系農薬と健康被害の因果関係がはっきりしているわけではないが、予防原則の観点から、無人ヘリコプターによる散布を自粛してほしい」と農協や市町村、防除業者などに要請した。同県は05年、約2400ヘクタールで無人ヘリコプターによる農薬散布を実施、うち約1138ヘクタール(約47%)で有機リン系農薬を使っていた。関係団体は要請を受け入れ、昨年7〜10月の散布時期に有機リン系農薬の使用を自粛した。

 ◆苦情も減る

 農薬などに過敏な人たちを数多く診ている内科小児科医師の青山美子さん(前橋市)によると、自粛後、通常なら農薬の被害で駆け込む患者が大きく減ったという。水田に住宅地のある同県南部の玉村町では農薬散布への苦情も減った。

 こうした事実に同県生産環境室は「登下校する子どもたちは空中散布の有機リン系農薬から身を守ることができないので、自粛要請は一定の成果があった」と見ている。

 今月13日、前橋市内で「シックハウスと有機リン問題の最前線」と題したシンポジウムを開いた同県は「今後は東京でも同様の集会を開き、有機リンの問題を提起していきたい」と話す。

 有機リン系農薬は公園や街路樹などでも散布されているが、法的に規制する大気中の基準値はない。吸入した場合の毒性データも多くはない。このため、環境省農薬環境管理室は基準値作りも視野に入れ、07年度から動物に農薬を吸わせて毒性を見るリスク評価などに着手する。

 ◆業者は反論

 農林水産航空協会(東京)によると、無人ヘリコプターによる農薬散布面積は約28万ヘクタール(99年)から約66万ヘクタール(04年)に増えている。背景には農業生産者の高齢化で重い農薬噴霧器をかついでの散布が困難になっている事情がある。

 有機リン系農薬は価格が安く効果的というメリットもあるだけに、農薬メーカーで組織した農薬工業会(東京)は「どの農薬も厳しい安全性試験を経て認可されて使用されている。有機リン系農薬による慢性的な健康影響を否定する論文も多くあり、有機リン系農薬だけが標的にされるのは納得できない」と反論している。

毎日新聞 2007年1月31日 東京朝刊





ふしの川清流の会