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清流への思い)僕からの手紙(その2)

2006/02/27(月)



予定地周辺地図

絶対反対の看板

清流を守ることの意義について バージョン2 2006年2月号

 拝啓 ご無沙汰をしているうちに梅花の見ごろになっています。いかがお過ごしですか。

 一貫野地区では、毎年春分の日(3月21日)に開催される「蕎麦岳山開き」の準備にかかっているところです。
 蕎麦岳とは、5月に見ごろを迎える「一貫野の山藤」と並んで一貫野を代表する観光スポットです。
 
 特筆するほど有名な山ではありませんが、登り40分程度ですから老若男女がそれぞれの体力とペースでしっとりと汗をかくぐらいの、気軽に往復できる「心をいやせる身近な山」であると言えます。

 毎年当日は、県知事と市長が同席されるほど、行政からは破格の待遇を受けた行事と位置づけられています。

 これには、「一貫野を良くする会」と仁保自治会長(椹野川源流を守る会発起人の一人)の長年の地道な努力が大きく貢献していることを書き添えておかなければなりません。(後々このことが重要な意味合いを持ってきます。)

 さて、1年ほど前の3月に山口市(環境部)から坂本地区に「一般廃棄物最終処分場次期候補地」として受け入れの打診があり、坂本地区住民は即座に拒否しました。その理由は、当該地区を中心とした「安心安全」の農作物特に、米のブランド化に向けて取り組み、購入契約者が200名を超える成果が出始めており、その上流に処分場を建設することは「重大な風評被害をもたらす。」ことが予想されたからです。

 事実、この計画を知った次の方々が、次々と撤退の意向を示しているのです。
 1 上記の購買契約者
 2 有機米協会
 3 「のんた米」主催者
 4 ふれあい米の会

 すでに21年も前に数億円を投入して準備している広大な処分場用地を持つ山口市が、どのような経緯から椹野川の源流部である仁保地区にそのような話が持ち込まれたものか、本当にふってわいたような話でしたが、意外と早く判明しました。

 その後、坂本地区の人々はすっかり安心していたのですが、6月市議会において環境部が次のように回答したことが明らかになりました。「10月の合併前に次期処分場予定地を確定するために候補地を探しており、仁保地区自治会が受け入れを回答している。」……と。

 8月には、再度山口市担当者から坂本地区に「説明会」を打診されましたので、「断固反対、この問題は2度と掘り返さないこと。」の意志を8月18日に伝えています。

 ※ さかのぼること6月市議会の前に、「坂本がだめになったが、他がある。仁保自治会が動いてやらないと、市の担当者は活動が出来ない。」からと、仁保開発協議会(自治会長兼任)が岩国市最終処分場の視察を提案した事実から、一貫野へ目が動いていたのかもしれません。

 市への通告3日後の8月21日、一貫野集落年度役員と自治会長を含む主要メンバー10名が会合を開き、「一貫野が一般廃棄物最終処分場の次期候補地を受け入れることにし、住民には内容を煮詰めた後に周知することにしよう。」と議決がなされようとしました。

 これを聞いた一人のメンバーが「このような重大な事項を住民不在で決定することは納得できない。総会を開くべきだ。」との反対意見を動議し、急遽、山口市との説明会を開くことになりました。

 8月28日、住民説明会の席では、市担当者から処分場の概要についての説明に留まりましたが、一部住民から「その見返りはどのようなものか。」との質問に市は、「見返りはありません。」と回答しています。

 実際は、市担当者が帰った後に自治会長(一貫野自治委員でもあります。)を含む関係者から「集会所等に寄せる皆の思い」という次の事項を見返りに要望する趣旨の文書が配布されました。

 1 集会所とその周辺整備を行うこと
 2 共同農機倉庫の新設及びその周辺を整備すること
 3 その他の整備事業化
  (1) 雇用の優先的取扱いと継続的な雇用の確保
  (2) 河川、道路の改修整備を行うこと

その外7項目があります。

 これほどの整理された要望が1週間で作成されたことは、それ以前(6月頃?)から周到に準備されたものであり、当然行政への根回しも済んでいると推測されるものです。

 その後、自治会の動きが活発になり、9月4日岩国処分場視察で住民採決を強引に提案したのですが、不発に終わりました。

 9月20日、仁保自治会会議でも次のようなアジテーションが発言されています。

 1 良い物ばかり仁保に持ってくるのは不公平、悪い物も受け入れる姿勢が必要だ。
 2 産廃は悪いが、一般廃棄物は違う。特に行政がやるものは良いに決まっている。
 3 一貫野が候補地になったのはたまたまであって、最初から計画していたものではない。

 しかしながら、この発言はことごとく当を得たものではありません。例えば、頭書の地図にもあるように、一貫野は坂本地区の上流であり、椹野川源流部でもあるのです。坂本地区住民がこれを聞いて納得するはずはありません。
 9月24日に坂本地区住民は、仁保住民を対象に反対署名活動を行うことに決定していることからも明らかです。

 勿論、一貫野住民の中にも「この地を終の棲家」と決めて「安心安全の農作物作り」に取り組んでいる人や、次世代を担う若者たちを現地教育する場に一貫野を選んだ教育者、先祖の墓を守り抜くために一貫野で生活する手段を選んだ人々、都会を離れて田舎の静けさにいやしの場を求めた住民、そして転勤を重ねて様々な環境問題を目の当たりにし、自分の「青い鳥」は意外と目の前にあったことに気付いた僕も、共に納得できない感情はありましたが、しばらく静観せざるを得ませんでした。

 一方、一貫野でも10月4日付けの会報で「10月10日19時に、最終結論を出すための集会を行う。」趣旨の案内状が配布されました。建設賛成派は、その場で多数決による決着をつけ、利益導入への線路をまっしぐらに進める方針の意図が明白でした。

 坂本地区住民としてはおそらく相当の危機感を抱いたに相違ありません。事実、10月6日には山口市に対しそれまで集めた署名(仁保住民のおよそ65%)と3項目からなる質問状と回答の要求を、マスコミの見守る中で手交し、大々的に報道されることになったのです。

 更に、集会当日10月10日の18時頃には、市から回答も受け取っていない状況での「受け入れ決定反対」のむしろ旗を携えた坂本地区住民と、テレビを含むマスコミ各社が押しかけてきたために、一貫野住民は驚愕の思いを隠せない有様でした。

 それまでは、重大事項といえども全て長老の一声で「しゃんしゃん手拍子的」に「仲良く」議決されていたのですから、今回も楽観的に集合してみれば「空恐ろしいことが起こってしまった。」との感想だったことでしょう。

 残業をものともせず、是非とも説明会の開催を終えて候補地選びに終止符を打ちたいとする、山口市担当者の熱い願いどころではなく、一貫野住民は会議もせずに早々に引き上げていきました。

 一貫野住民である僕たち反対を意図する5戸(家族)もその時点で、明確に反対を表明する決心をしたのです。

 翌日11日は、マスコミ抜きで説明会と集会を開催したのですが、反対派の質問と提案に次の点で明快な回答が得られなかったために散会となりました。

 1 排水基準値や椹野川漁協との環境保持に関する協定等3項目の質問に、行政サイドが明確に回答できなかった。
 2 重要事項の決議に委任状なしは納得できない。
 3 市が坂本地区への説明と回答をしていないのに、一貫野で議決させるのは疑問が残る。

 僕はこの時点で、一貫野は長い閉鎖的な集落社会から、(時間はかかるでしょうが)構造改革の流れに巻き込まれようとしていることを実感しました。つまり、2005年10月11日が一貫野の歴史のターニングポイントになったと確信しています。

 「長い物には巻かれよ。」的な集落制度が、熱意と理論で反対する少数派を無視できず、強引に行おうとした議決も回避されてしまったことは、集落を主導している人たちの今後のシナリオが狂ってしまうことであり、説得力も徐々に弱まってしまうことになるからです。

 それを証明したのは、11月5日の集会でした。前回質問の回答を準備してきたはずの山口市担当者も、僕たちのたたみかける新たな質問に同じ回答を繰り返すのみで、進展を見ることが出来ませんでした。最終的には、「頼りとなるのは、一貫野住民の賛成多数による議決のみ。」と状況判断し、退席していきました。

 候補地受け入れ賛成を主導するメンバーも、「今日が関が原」という相当の覚悟で臨んでいることはわかっていましたが、結局は受け入れ賛成の議決を取るまでには至らず、「一般廃棄物処分場誘致に議決は行わない。」「今後も、山口市の説明は必要ない。」との議事録を作成し、山口市に提出することになりました。


 まずは、第1回戦は、阻止したといえます。そうです。勝利とは考えていません。

 議決しない主な理由はただ1点、「このままでは一貫野が分裂してしまう。それだけは避けなければいけない。」という住民全員の願いに尽きると思うからです。

 今は、渡邊新市長の下で山口市環境部の動きや賛成派の動きは比較的鎮静化しているように見えますが、4月の市議会議員選挙が終了すれば、新たな展開になってくることが予想されます。

 油断無く、行動を見守りながら「源流を守る会」の歪んでしまった発会の精神を、坂本及び一貫野地区の反対派メンバーを核として新たに発会した「ふしの川清流の会」が元通りに修正し、引き継いで行くつもりです。

 今まで、一貫野集会で長老の意見が議決できなかったことは皆無と言って良いでしょう。今回はなぜそれが出来なかったのかを思い出してみます。

 一般廃棄物最終処分場の必要なことは、常識ある人なら議論の余地を待ちません。絶対に承知できないのは、誘致に賛成する人々の「動機が不純」だからです。一部の住民の生活改善を目的とした、いわば利益導入が前提の主張がそうです。

 対する僕たち反対派の主張は、いささかも道理が外れていません。

 「義は我にあり。」と言い換えても良いほどですから、みんな一歩も退くことなく堂々と理論を展開できたことが結果に繋がったのだと信じています。

 次回は、一貫野についてお話しできればと思っています。ではまた……





ふしの川清流の会