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山口市ゴミ処分場問題)ここに帰りたくない、という一貫野集落の若者の声

2005/11/06(日)



 2005年11月5日の、一貫野部落集会において、参加者の中で最年少の若者が以下のような意見を発表しました。その主なところをご紹介します。

 ちなみに、夕方7時からの山口市環境部による説明会は市側が10時に帰って終了となり、その後、受け入れをめぐって採決をするかどうかについて2時間半ほど自由な討論をした結果、集落としての採決を無理にとることはしないということがきまりました。


「ゴミ処分場」騒ぎについて一貫野の若者として考えること


 僕が、この中で一番若いと思うんで言わせてもらいますが…。僕は今、大学で環境社会学というものを、勉強しています。『どのように生活環境が破壊されるか』そして『それはどうやったら守れるのか』という事を中心に勉強しています。この度の皆さん方の動きは、大変良い実地の教材になりました。何が勉強になったかを、ちょっと言わせてもらいます。

1,安心なのか、迷惑なのか。・ 自治会長さんは「市が安心・安全と言っておるから、椹野川最源流部の一貫野に造っても大丈夫だ」と言う一方で、「迷惑施設だから、仁保と一貫野が犠牲になって引き受ける」とも言っておられる。安心なのか迷惑(危険)なのかが、いまいち良く分からないし、発言にも整合性がありません。・ 「岩国の処分場はきれいだったではないか。なぜ反対するのだ? 」と言うが、きれいだと言えるのは見た目だけです。水が透明なら、「汚染されていない」と言い切れるのか。一貫野集落としては、中間処理施設を見ていないので、中間処理によって、例えばトランジスター・ラジオの中の、小さなニッケル・カドミウム電池や、水銀電池、蛍光灯、鏡の破片(いずれも水銀を含みます)といった危険物を、どの程度まで取り除けているか、確かめ切れていない。これは9月4日の見学後、反省会で僕が言ったことだが、全く無視されている。・ 人工の化学物質の多くは、実は変異原性がある。これは、人体の設計図である遺伝子DNAを傷つけ、突然変異を起こす性質を持つ物質で、その大部分が発ガン性物質でもある(市川定夫1994年 pp114~115)。この危険性については、人類の経験はあまりに乏しい。・ イタイイタイ病(カドミウム)とか水俣病(有機水銀)、中皮腫(石綿)など出てくるんじゃないか? これらの病気についての原因がはっきりして、国が責任を認めたのは、何十年も経って、被害者がたくさん出てからだったんですよ。

2,説明も充分しない非民主的なやり方・ 「漏水は大丈夫? 」「本当に無毒なのか? 」等の不安に対し、数値を示しての納得いく説明がなされていない。・ 今、必要なのは「インフォームドコンセント=説明と納得」です。病院で手術を受ける時でも、一番大切な事になっています。・ 「お前ら、処分場に反対するならゴミ出すな!」と言う言い方は、おどしそのもの。・ 最終処分場を椹野川の源流たる一貫野に持ってくるとは、何を考えている?山口市民は川の水を水道水として飲み水にしています。・ 一番ゴミを出しているのは、山口市の都市部の住民である。・ 下流部(つまり山口市中心部とか海辺)に作れるはず。仁保自治会の事務局長の言う「ゴミを出している者としての責任」は、人口の多い都市部の市民にこそ、担ってもらうべきだ。・ いつも一番大事な事を、密室で一部の者だけで、決めてしまうのが、「仁保方式」でしょうか?・ このような非民主的なやり方で、無理矢理採決をするなど言語道断だ。・ 坂本の人々の署名活動中「迷惑だというなら証拠を見せろ」との発言があったらしい。←逆であろう! 「安心だというなら証拠を見せろ」というものだ。・ 更に、重要な事柄を、挙手による多数決どころか「拍手」で決めようとする。

3,自然こそが、未来に保証すべき遺産である。・ 見返りの新公民館のように、数十年後にはまたゴミになる一時的な物のために、かけがえのない自然環境を失って良いのか?・ 「処理を要する廃液」を吐き出し続ける廃棄物処分場を、下流のすべての未来の市民への負の遺産にして良いのか?・ それよりは、清澄な自然環境こそ遺産にしていくべきではないか。

結論
 一番若い参加者の一人として、言わせてもらいますが、この仁保・一貫野は素晴らしいところだと思って、大学を出たら帰ってきて、山口で働きたいと思っていましたが、この経緯で、すっかりその気を失っています。

 あなた方がやっていることは、つまり跡継ぎが病気になる可能性がある。もしくは、村に帰る気を失うと言うことなんですよ。これは仁保という地域を、将来に渡って破壊する行為に他ならないと思います。

参考文献市川定夫、1994年『環境学――遺伝子破壊から地球規模の環境破壊まで 第二版』藤原書店 


処分場 源流部に 誘致せて 市民に恨まれ 孫にも恨まれ





ふしの川清流の会