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九州東海大学片野教授講演『安全安心な食の求め方、作り方』

2009/05/13(水)



2009年3月に開催した、環境保全型循環農業推進フォーラムにて行われた九州東海大学片野教授の講演内容の一部を紹介します。

“知ることで食べ物の求め方が変わる”



 食療自給率の低い日本は、稲作用農薬使用率が世界で使われる稲作農薬の半分を占める。

 野菜は、早く大きくなれ大きくなれ〜とサプリメント漬け、病気になればすぐに農薬をかけられてしまう。

 野菜はストレスを感じて、挙句の果てには土に返ることもできない。

 ある実験では、自然農法の米と農薬、化学肥料を使った米をガラス瓶でそれぞれ7年間保管した結果、

 自然農法の米は籾つきのまま形を残し、植えれば芽がでた。一方農薬漬けの米は真っ黒になって溶けてしま 

 い、残った物質の成分は化学肥料そのものだった。

 鶏糞を使った野菜は、鶏糞成分だけが残る。唖然です。アトピーの子は、塗り薬を塗るが、副腎ひしつホルモ 

 ンは免疫系を弱体化させてしまう。1976年、医学会において、ようやくアトピーは食べ物との関係が濃いと 

 の見解がでて周知となった。

 私達の体の原料は水と食べ物だということを考えていないことがあまりにも多い。

 アレルギーの3大原因と呼ばれるのは、牛乳、たまご、大豆。花粉症、喘息など。



 大豆は自給率9%、牛乳は75%だが、問題なのは牛のエサ、牧草ではない。

 しかも私が学生時代に北海道で出会った牛は1頭のお乳が年間3000キロ、

 今は多い牛は1万5000もでる。妊娠も一生のうちに12回妊娠していたのが、

 今は1回妊娠させて1万5000キロもの牛乳をとって出なくなったらホルスタイン肉になる。

 牛も薬漬けだ。なぜこのようになってしまったのか?

 日本は家畜の餌にとうもろこしを輸入する。

 この30年、毎年1600万トンを輸入し、その70%が家畜の餌になる。



 とうもろこしが牛や豚、鶏に化けている。食料自給率を下げる要因のひとつ。

肉食を控えることで、食料自給率は倍にあがると思われる。


“世界中に広がる食料の高騰、暴動”


 1980年からわずか20年の間にぐんぐん気温は上昇しはじめた。

特にひどいのはロシアや中国、日本でも温暖化が進んでいる。

2000年以降は異常気象による干ばつや洪水で農産物は危機的状態になることも。

よって世界の穀物の価格が上昇している。米は、2008年6月にいきなり倍の価格になってしまった。

その他、大豆、小麦、とうもろこしも同様に値上がりを続けている。このような状況下で何が

起こっているかといえば、穀物輸出規制国がでてきた。ブラジル・ベトナムは米、アルゼンチンは米・

とうもろこし、カンボジア、インドネシア、バングラデシュも米、インド、パキスタンは小麦が輸出禁止など 

など…自国の国民の食料を確保することがもっとも重要なことになっている。

輸出禁止が起これば食べ物の値段があがる。同時に反政府軍を掲げて暴動も起こってきている。

アフリカは紛争も暴動も反対運動もひどい、人がいなくなるのでは…と思ううくらい。

フィリピンは米の自由化をしたことで250万トンの米が常に不足している。

このように世界でジワジワと作物が育たなくなってきている現実が日本にも…。


“健康な土には、虫も病気もでない”
                                      
      
 西日本では2005年、2006年に秋ウンカの被害が広がった。

 ところが、慣行農法の水田では被害があるが、イナワラ還元のみの牛糞などをいれない自然農法の水田では

 一切被害がでていない。

 地球の土は、1ミリ作るのに200年かかるといわれている。

 何億年とかかって薄皮一枚の土ができる。この土作りの過程で、雑草は昔はなかった。

 人間の農業によって生み出された地球の傷口と考える。

 生き物は、傷を癒す力がある。地球も不毛の大地に生きる力を与えるために誕生させたのが雑草。

 結論、土が元気ならば虫はこない、病気はでない。



 地表から5センチのトロトロ層のトロトロした微粒子の土こそ自然循環にふさわしい土づくりができてきた。  

 うわっつら2,3センチを代かきすることでトロトロ層をつくる半不耕起栽培を実践している人もい 

 る。ジャンボタニシのいる水田は、タニシ除草でお金もかからない。


“自分でつくる穀菜食を!”



 コンビニ弁当は200種類の添加物、サンドイッチも100種類は使われている。

 添加物のない安全な食を求めるなら、答えは簡単です。

 包丁とまな板を使って自分で調理すること。家庭の台所には、ほとんど添加物はない。

 ところがこの40年間女性の社会進出で家庭にまな板のない家庭がでてきた。

 それどころか、東京の進んだ住宅にはキッチンがない…とか。

 料理をしないことが、安全安心の危機。

 カタカナ文字の料理ばかりを好む国際食よりも、日本人にあった『穀菜食』を自分で作っていただくことが、  

 家族の健康のため、そして自然環境を守ることにもなるのです。



 〔報告:事務局白木〕

 





山口環境保全型農業推進研究会