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山口県農林部との意見交換)山口県化学農薬・化学肥料の慣行使用基準について

2006/07/28(金)



申し入れ資料1

申し入れ資料2

申し入れ資料3

申し入れ資料4

新しい基準の読み方1

新しい基準の読み方2

山口県化学農薬・化学肥料の慣行使用基準(H17年度改正)についての説明会と質疑応答

 とき  2006年7月13日 午後1時半から5時まで
 ところ 山口県民活動支援センター(防長青年館内)
 参加者 9人+新聞4社
 山口県農林部 農業振興課 防疫係  広岡隆義さん
               班員  白石勝己さん

 山口環境保全型農業推進研究会会員(発言順)  木村節郎(録音)
                        糸原義人
                        小田ひろし
                        梅津本治
                        粟屋怜
                        安渓貴子
                        安渓遊地(記録)

 以下の記録は、当日、安渓遊地会員が要約筆記したものを、木村節郎会員が録音テープに基づいて加除訂正をほどこしたものです。
 文中、1町は約1ヘクタール、1反は300坪で、約10アール。1俵は玄米60キログラムに相当します。
 当日配布した資料を添付します。なお、末尾に参考になりそうなホームページをいくつか載せておきました。

事前の確認と要望

 木村節郎:資料にそって、事前確認事項と5月27日付けで県に説明をお願いした事項の確認をしたい。まとめてまず趣旨を申し上げて、回答はそのあとでいただきたい。

 (1)県のエコファーマーの基準が甘くなっているのではないか。決定にいたる経緯を知りたい
 2006年5月25日にエコ山口農産物の認証のため、県認証協会より江本透さんがこられて、別紙「山口県化学農薬・化学肥料の慣行使用基準及び50%以上削減栽培の使用基準(H17年度改正)」をもらいました。
 使用基準をみると、多いものでは、実に2.5倍の150%増などになっていて、減ったものはないという資料です。これを見て、非常におどろきました。
 使用基準よりも30%低ければエコファーマーとして認定されるというのに、それがだいたい平均30ポイントも上がったというようなことでは、従来の栽培法を続けていればそれでエコファーマーとして認められるということなる。
 あまりにもおどろいたので、その日は半日ほどファックスをしまくりました。
 県と私たちの考え方はあまりにもかけ離れているということを痛感しています。

 (2)農薬等の使用実態の把握がない。そんなことでは減らすようにもっていけるはずがない

 広岡:地域の実態が、それが慣行使用基準である、という考えです。
 木村:それを実態調査するということがないのはおかしい、ということを申し入れました。それはいいですね。
 広岡:はい。

(3)山口県庁では、全体としての化学農薬・化学肥料の使用量をどう減らしていくように推進・実行されるのか
 こういう認証制度というのは、信頼・信用というものが、すべての基礎です。そういう信頼ができないような仕組みでは、すべてが崩れるということです。
この案に固執されて、下手に守ろうというような動きをされると、逆効果になるのではないか。

 広岡さんからの回答
 国の法律が変わりました。まず、農薬取締法「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」です。
 また、種苗法も改正されました。「種苗段階で使用した有効成分ごとの農薬を加える」という内容の改正省令(平成17年6月21日施行)です。
 例をあげますと、熊本県の農家が植えたメロンに、チューラムという農薬を苗の段階で2回かけていた。これは、種苗メーカーの責任であり、結果的に残留基準を下回ったけれども、全農では出荷を自粛した。これは、ニュースなどでも報道されたことなので、実名を出して申し上げますが、今年の3月のできごとです。
 種子消毒についても2種類の薬品で処理してあれば、2回と数える。このような新しい数え方の影響でずいぶん慣行農薬使用回数が増える結果になったということです。

 例を白板に書かせてもらいます。
 トマト:トマト黄化葉巻病に伴うタバココナジラミ対策。
 メロン:集荷メチル使用不可に伴う土壌消毒剤の変更(1回→2回)。
 キュウリ:抵抗性品種薬剤の変更に伴う殺菌剤の削減の例もある。

 それとは別の事情で、麦での農薬使用回数が増えたという例について、ご説明しましょう。
 もともと4回でしたが、これが少なすぎたということです。
 赤かび病対策、英語の略でDON(カビ病対策)といいます。これが混じれば等級がどーんと下がり、ひどければ出荷が受けられないというような状況。今年のように梅雨前の天気が良ければ必要ありませんでしたが、これについては、もっときちんと防除しなければならない、というわけで、10回に増やしました。水稲と果樹については、変化していません。

糸原:この数字については、毎年見直すのですか。

広岡:今回の法律の改正などにともなって、この際に見直そうということで変えたのです。毎年変えるようでは、エコファーマーは困られるでしょうから、そういうことは考えていません。

梅津:基本的な質問だけれど、農薬の人体への影響はどうなっていますか。

広岡:希釈倍率を守っていただければ、健康被害がない、というものだけが許可されているわけです。最近では動物実験などのハードルが高くなっています。そのせいので、どの農薬もみんな値段が高くなっているでしょう。

 エコファーマーという基準は、現行の30%減らすということで、これは全員が取り組めるものと考えています。たしかに、年をとったから草はとれないよ、という方はおられるでしょうが。現在山口県では、1416人しか認定されていません。それでも中国地方ではトップなんですが、例えば熊本では5000人を越えているので、まだまだ取り組まなければならない、と思っています。

 木村:いただいた資料では、種子段階での散布回数が載っていません。それを知りたい。

 広岡:その資料は、今日はもってきていません。あとでならお答えできます。

 木村:ぜひ、お願いします。しかし、例えば、小松菜の散布回数が2倍になっているけれど、種子への薬品使用が4回増えるんですか。

 広岡:地域のみんなが生産しておられる作物でない場合は、篤農家が使われる数値が基準になるでしょう。

 小田:この表を見ていて思うんですが、消費者には、慣行基準がゆるめられたのかな、としか理解できない。

 広岡:各県で同じ対応をしていると思いますが。

 安渓貴子:ナス33回だったのが、45回に増えています。すると、12回も増えたということですか。苗までの回数が増えたんですか。

 梅津:こんな45回もまいていいというような基準があると、これまではいいわ、というのでどおっと撒いてしまう農家が出るんじゃないですか。

 広岡:農業改良普及員としては、「適正な防除をしてくだい、むやみやたらということは避けましょう」と言っています。

 小田:農協が苗を出荷するときに、農薬を何回撒いたのかを明記しないといけないことになる。

 広岡:そうなるはずです。ただし、現時点では、報告義務はなく、聞かれたらこたえるべき、という努力目標になっている。

 梅津:こういう話というのは、農家にどうやって伝わっているのですか。

 広岡:全農を通して伝わっていくことになるはずです。まだ県に報告せよ、という義務はかかっていません。

 粟屋:エコ農産物への影響が大きいのではないでしょうか。

 小田:この改正表を見れば、減らすどころか、これから農薬散布の回数を増やしてもエコ50ぐらいもらえる農家が多い、と思うんです。

 広岡。エコファーマーを増やしていこうという基本的な考え方を県ではもっています。県でとりくんでいる施策を板書します。

 経営所得安定対策等大綱 
 農地・水・環境保全向上対策(共同施設等支援)
 品目横断的経営安定対策
 農地・水・環境保全向上対策(営農活動支援)

  最後のものは、エコファーマーであって、エコ50%に取り組む農家を対象とします。

 梅津:水をさすことを言うて悪いけれど、そういう中核的な農家とやらができるようにしなければならないんですね。ところが、小郡では、品目横断的にはとうてい無理という結論を出してしまった。

 広岡:中核的な農家になれない、落ちこぼれでも兼業農家もみんな入れて、集落の農業を担わなければいけないんです。2,3年は最低かかるとりくみです。山口県では兼業農家が主体ですから、それを主体にどうしなければいけないか、ということです。放棄して荒らすのでなく、とにかく作り続けていく。持続可能な農業となりうることが大切です。

 木村:エコファーマーがどんどん増えて、農薬散布の量が減っていくというようになるんだろうか。

 広岡:平成11年度の数値では、農薬の使用量は、全耕作面積で10アールあたり8.1キロの販売量でした。それが、H16年度の数値では、農薬の使用量は、全耕作面積で10アールあたり7.2キロの販売量でした。
 ある程度の成果が出ていると評価していただけないでしょうか。

 木村:しかし、実態調査をしなければ、農法の指導のしようもないでしょう。

 粟屋:10年前から比べれば、地域レベルでも「はやっとるから、エコとかをやってみようか」という声があったりするから、それなりの変化は起こってきていると思います。
 価格を下げずにエコができるという話なんでしょうね。

 広岡:価格や品質が下がるようでは面白くないですね。農家に負担がかかるようではいけません。例えば、堆肥を入れる場合は、地域での循環を考えて、うまくまわるようにしてください、というやり方です。

 梅津:アイガモは大きな除草効果がありますね。まわりの生き物を食い過ぎるので、環境にひずみがでる、という批判はあります。育った後をどうやってきちんと食べるかということが問題です。

 粟屋:じわじわとエコファーマーを増やしていこうという取り組みはわかりますが、地域で独立独歩で無農薬の農業をやってきた農業者への支援は?

 広岡:行政は個人支援はできません。

 粟屋:地域でまとまれというふうに言われますが、それはネックになりますね。消費者は、無農薬の方をより求めていることは明らかです。私たちのように団体になれば、支援してもらえないですか。

 木村:食彩店の米を例にとると、検査を受けた上でないと出荷を認めない、ということがあるわけです。しかし、今の仮にアメリカ米をもっていっても通るような、いいかげんな検査態勢でもそれを義務づける。そういうやり方にはついていけません。

 小田:無農薬の食べ物を求めている消費者の要求と、「えっ!エコ50といってもこんなにたくさん農薬を使っているの?」と消費者が驚くような県のとりくみの差に驚きます。例えば、飯米農家ならここは手を抜いても大丈夫よ、とか、ジャンボタニシが出ている田ではそれを利用する、というような指導がなぜできないんでしょうか。山口の試験場でも、「いや、山口の農家にはやる気がありませんよ」とか言って、結局それをやって成功している福岡県にも見に行かない。福岡市農協では、無農薬の稲を8500円上積みで買うし、効果がなかった農薬は使わないようにする。そんな動きについて、見向きもしない山口県。例えば、名田島の稲作が変われば、山口県の稲の評価はどんなにあがるかわからない。1,2割の減収を覚悟すれば、1俵3万円近い金額でわれわれのところには消費者が買いに来るんです。
 福岡で成功していることをなぜ山口はやらないのか。

 広岡:経済的なリスクがあった場合、県庁では責任とれませんから、経済団体がやってくれないと進まない。例えば、経済団体が「ゴー(go)」とならなければ、県は推進はできない。
 地域で合意されるなら、県も進めます。

 小田:山口県は、結局、何もしていないじゃないですか。例えば、魚毒性の一番強い、福岡では絶対に使わせない、つばき油の絞りかすを使っている。ミミズもなにもみんな死んでいます。ジャンボタニシの殻がばーっと浮くんですよ。

 木村:農家が農家をチクルようなことはできんが、田布施の方でもヒルがずいぶん浮いているのを、農林部から見に来てくれたことがありました。

 梅津:あの原料は福井県から出ていると聞いている。

 白石:土壌改良材として使ったという説明でした。

 木村:土壌改良材と称するものを、田植えの後に撒くんですか?

 白石:来年度は使いません、という言質をとりました。

 小田:責任を誰が取るのか、というようなことを言うばかりで、県として、勉強に行こうというような気持ちがない。

 広岡:ジャンボタニシについては見解の相違です。地域の合意が先です。

 小田:そういうて、何もしていないじゃないですか。

 広岡:他にやる仕事がたくさんありますからなかなか手が回りません。所得が減るリスクを補う経済政策をもっていればできますが。県はそれができません。

 木村:ジャンボタニシがたくさんいる田んぼに除草剤を撒くと、ジャンボタニシが稲を食害するようになる。

 広岡:ジャンボタニシ除草の導入は、稚苗しか植えられない、という状態では難しい。

 木村:たとえ稚苗でも、除草剤を撒いたら干しちゃいかんのに、ジャンボタニシがいるので、稲を食われないために田を干すから除草剤の効果が出ない。金かけて有毒物質を撒いてそれを流して捨てている。これほどもったいないことはない。少なくとも、苗がジャンボタニシに食べられないための技術指導はなさるべきでしょう。

 梅津:逆に、県には、指導してやろうという気持ちが強すぎるのではないか。普及員がきても、一般的な話が中心だけれど、無農薬のことは知りませんという。現行の稲作指針は、百姓をバカにしていると思います。

 広岡:現在山口県には145人の普及員がいます。あまりにも数が少ないんです。昭和38年に、考える農家を作りましょう、という方針ができたけれど、実際は、そのようになっていない、ということは反省点。今急がされているのは、集落営農の体制を作るということで、とうてい手がまわらないから、農協さんと分担してやっていくしかないんです。

 梅津:農協からの資料には、農薬・肥料の注文票まで付いているんですから。

 広岡:一番自分の田んぼを分かっておられる農家が減らされればいい話。

 梅津:三隅町では土壌分析をして田んぼをしていましたが、原点にもどっているな、と感心しました。

木村:僕は自分の田んぼに肥やしのひとつぶも撒きません。それで反あたり7俵や8俵はできます。これを見た他の農家が「なしてじゃろうか?」といいます。
 成苗のポットの田植機があるよ、ということを知って普及してほしいのに、稲作担当の農林職員が「これがそうですか!?」とびっくりされる。知っちょってんない。インターネットでも見ればすぐわかることでも、知っちょっちゃない。
 こうやったら、農薬をひかえられる、まかなくてもいい、というような事実を見て欲しい。そういうこともええじゃ、ということがなけらんにゃ。それを見んでおいて……。
 僕は、認定農業者として認められたけれど、申請書にジャンボタニシ除草と書いたのを県の農林事務所もちゃんと見て知っておられるはずですが。

 広岡:それは、市町村が認めたもので、県ではありません。

 木村:僕の経営形態がこうなのよ、ということを、農林事務所がチェックして、OKと認めたということでしょう。

 梅津:百姓の知恵がいろいろあるのに、県の方針で聞く耳がない、というようでは困る。

 広岡:菊川町で現場におるときには、レインボー稲作の金田さんやらにいろいろ学びました。

 木村:ジャンボタニシを乗り越える方法をみつけにゃいけん。除草の道具として使うんじゃないよ。皆殺しはできんのやから。稲を食べられないための技術開発に目を向けてもらわんと。うちらの方では、稲作については、エコ50%になりそうな人は多いです。だいたい、苗箱に農薬を1回施用したらそれっきり、一発除草剤を撒いたらそれきり。瀬戸内側では、イモチも出ないから、植えたあとは、ほとんど農薬を使わない農家がほとんどです。

 梅津:たしかに、今ごろは、夕方フオーンと白く農薬を播くという風景を見ない。

 木村:そんなことをすれば稲作農家が加害者になる。下手すれば犯罪者とされるおそれもある。

 広岡:今は、撒きにくくなりましたね。

 小田:試験場では、アイガモのことは知らない、という。今は、それは進めるべき技術ではないと思います。菊川ではアイガモを卒業したいけれど、除草の代わりが見つからない。金田さんらのレインボー稲作研究会が朝日農業賞をもらったのが、10年前だから。
 県から、じゃまもの扱い、敵視をされるのが現実。なんとか、手をつなげないものだろうか。

 広岡:県が動くとすれば、農家にリスクのない経営を進めるために、技術の確立という課題はあると思います。

 梅津:これから、堆肥が足りなくなる。飯盛木材がチップ粕を、道路に吹き付ける資材として作っている。これは、いい資材です。微生物を生かして。僕はEMをやっているけれど、県ではそれには関わられないと思いますが、船方農場あたりでも、チップを生かすことを考えています。

 広岡:例えば、余っている竹を使えないか、林試の方でとりくんでいる。

 梅津:畜産農家が金をかけて捨ていている廃棄物が、堆肥になるような動きは希望がありますよね。担い手農家に金をばらまくよりは。

 広岡:菊川の堆肥センターに町から支援をするということで、トンあたり1000円補助して、5500円が4500円安く売れるように、なっている。

 安渓貴子:屋久島では、チップを加工して生ゴミと混ぜて微生物も使わず発酵させて、使っている。

 安渓遊地:公共工事などで道路工事ののり面に吹きつけなどで、いくらあっても足りない状況だと聞きました。

 広岡:阿知須西日本農業サイクル、のり面の枯れ草、木のチップの堆肥を生かしたいということになったとき、鶴の里ではできなかったと新聞報道された。
 県庁の生ゴミを、仁保の堆肥センターに持ち込むとか、岩国でも実証試験をするとか、リサイクル対策課で進めています。

 梅津:生ゴミを燃やすなんて、絶対にやめるべき。向陽産業、給食残飯をあつめて、堆肥化している。これは大赤字。韓国のプサンあたりでは助成金がでているけれど、山口ではそれがない。日本は遅れています。

 広岡:個人の家の生ゴミは難しいので、萩の旅館などでつかっています。

 小田:おからとパンのくずだけでも、軽トラ1杯もらえば1週間かけて発酵させて100羽の鶏の餌に加工しています。山口市内の豆腐やはほとんど焼却場へ持って行っている。もったいないことです。

 梅津:県としてもできることは探してもらいたい。

 広岡:環境保健部が進めいてる、それで協議に入っているということなんです。

 木村:化学肥料でやったら、育苗の段階でもイモチが出る。有機でやって適量あれば、イモチは出ん。実際に使ってみれば、化学肥料の害がわかる。こういうことを技術的に解明できれば、理解して実行にも移せる。

 安渓遊地:13年前、僕らが再生紙マルチ稲作を習った鳥取大(当時)の津野幸人先生のところで卒論発表を聞きましたが、イモチに強くなるための珪酸ですね。これを、補うためとして、草を積んだ堆肥から出る液を薄めて撒いてみたら、稲の珪酸吸収力が非常に伸びたという発表でした。伝統的な資材を近代農業の中で生かせる成果がでているんですね。それに対して、現在は、ケイカル(珪酸カルシウム)という、手にささるようなものを農家は大量に撒かされています。そもそもあれは、製鉄用溶鉱炉の廃棄物で、カドミウムが3ppmまで許容されているという代物だと津野先生は指摘しておられます。カドミウム汚染された水田への対策として、ケイカルをまきましょう、という宣伝をインターネットで見つけた僕は、絶句しましたね。まさに往復びんた商法。

 広岡:それはまちがっています。石灰を撒きましょうというなら、正しい。

 安渓貴子:撒いたところとまかないところをつくって、きちんと比較しなさい、これが宇根豊さんの取り組みです。科学実験でバックグラウンド実験というものです。それがないと、効いたのか効かないのかなんともいえないからです。

 木村:うちでは、植えたら終わりです。肥料やらない、農薬やらない、ジャンボタニシに食べられないために、水位を調節して、あとは、稲をなでなでして可愛がるだけ。それで、100%エコのお米が7,8俵とれて、1俵2万円。安く生産できるから、この値段で大丈夫です。そうすると買う方も買いやすいんです。

 白石:農薬や肥料を減らしましょうだけがエコファーマーじゃなくて、減らしていいための代替技術を身につけましょう、ということです。

 木村:その幅を狭めていることが問題です。化学肥料とか化学農薬はもともと無かったものなのに、その代替が主流となり、本来の自然な形がないがしろにされるのはおかしい、もともとなかった技術なのに。アンポンタンが考えたものに従えでは、アンポンタンの技術しかない。

 広岡:県独自の特認技術というのは、認められないという国の動きがあるんです。

 粟屋:県とともに、保全型農業を研究して推進していきたい、という立場で、ボランティアで集まっているものだから、いろいろ協力をお願いします。

 広岡:山口産野菜のコーナーをつくるためには、品物が足りないということがあります。はなっこりーばかりを食べるわけにいかない。

 木村:田布施の交流館では一日600人来られたら品切れになる。

 広岡:生産対策を焦っている。

 木村:収量をやたらに言うけれど、食べ物は、安全が一番の品質だということです。

 広岡:エコエコと言うけれど、見た目で買う消費者もまだまだおられます。消費者教育も必要ということもたしかです。

 木村:将来も作り続けられるようになることが大事。

 広岡:耕作放棄対策が大切。

 小田:農薬をしぼって収量が下がれば、減反が必要なくなる。

 広岡:農家が収入を保証できればいいということです。収穫が6俵になったら、値段を上げる仕掛けをつくらないといかん。消費者とつながる稲作の必要性があります。

 木村:エコ50の人たちは、ほとんどぎりぎりです。いもちが出た、ウンカが秋にぼっとでたら、1回撒いただけで、外れてしまうような人たちがエコ50になっているというのが、認証に来られた方の危惧でした。こんな人たちが増えても、全体の使用量が減るということにはならない。

 広岡:100人が10回やっていたものが、平均して7回に減れば、延べ700回に減るわけです。

 粟屋:長門市の穂垂米でも、一俵500円高いだけというようなことでは、生産者にとって魅力がないです。

 梅津:米の値段なんて、政策次第でどうにもなる。WTOというような圧力に負けている。

 広岡:今の日本で足らないのは、餌としてのダイズ、麦。しかし、それを作っても農家にとって魅力はない。

 木村:エコファーマーというのは、環境を考える人を増やしていくということ。農業をおこない地域を守っている人たちを自分たちが支えるということが課題で、安全・安心だけでは、中国から来る米の方が安全になる。基本的にエコファーマーになる人間の素養が問われる。
 ここまでは使うてもええわ、という人間を排除できんとどうもならん。

 広岡:段階を追って減らしていこう、という意欲を持っている人たちを増やしていくことが重要。

 梅津:自分は13年ほどやっているが、野菜を含めて無農薬でできる。山口県の大部分は家庭菜園の延長でしかない。もっと県がそのことを認識すべき。

 広岡:産地に対して指導し、産地の中で本気で減らしましょうという動きを県はしていく。

 小田:市場原理だ、国際関係だ、ということで、米の値段が下がってきたとしても、無農薬でがんばっていたといれば、それを求める消費者と結びつける、ということがわれわれのやっていることの意味です。

 広岡:県内の消費者がまだ、そこまでお金を出さない。

 小田:無農薬をめざしてがんばっている例えば下郷農協に謙虚に学ぶ、わずか500人の組合員ですから。宇根さんのとりくみは、本当に大きかったと思う。

 広岡:虫見板運動は、非常に大きかったと思います。

 小田:農家とのつながりで、生まれた運動だ、ということを評価する。九州東海大の片野先生も、これだけよくつきあっているな、というくらい、農家と深いつきあいをしている。

 安渓貴子:新しい農政では、小規模な農家や兼業農家は切り捨てるという話があるんです。

 広岡:それをめざすのが、みんなが入った法人化をしよう、という動きです。兼業農家もそこに入り、担い手に入れるような運動論を興している。
 20〜30ヘクタールの経営規模をめざす。
 県も財政が苦しい。去年10人前後やめて1人しか入っていない。人数が少なくて手がまわらないのが実情。

 木村:北海道の試算で、米30ヘクタール、じゃがいも何ヘクタールとつくって、年収がやっと500万円という試算でした。これでは誰もやりたがらない。規模さえ大きければいいのではない。

 小田:小規模有畜多角経営のものだけが生きのこると思う。

 木村:僕は、農薬を1回振ったら何億円の損になると思っている。農薬を振るという事は経営としてはまったく考えられない。

 広岡:県内産のものを食べることを進めていく必要がある。食彩店も充実させて行きたい。

参照ウェブページ

 エコやまぐち農業物認証制度
 http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/ryutsu-k/eco2/eco2.htm

 上記の作物別基準値
 http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/ryutsu-k/eco2/pdf/kijunhyou.pdf

 山口県における慣行基準
 http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/ryutsu-k/eco2/pdf/tokusai-kijun.pdf

 特別栽培農産物農産物に係る表示ガイドラインに基づき地方公共団体が定めた慣行レベル(平成18年5月現在)
 http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/chem_hiryo_kijun.htm

 ジャンボタニシの効果を研究している九州大学生
 http://goshi-s.hp.infoseek.co.jp/interview1.htm

 宇根豊さんの「農と自然の研究所」
 http://hb7.seikyou.ne.jpN-une/

 ケイカルでカドミウム米を防ぐという話は本当。イタイイタイ病の富山県が本場
 「いずれにしても、施肥によるカドミウム吸収抑制は、水管理との併用により一段と効果を発揮すると考えられる。吸収抑制のための効果的な肥料の施用として、秋田県ではケイカル180kgと熔リン60kg、新潟県では熔リン500kg、富山県ではケイカル600kgが推奨されている
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/mgzn030.html#03005

 ケイカルこそカドミウム汚染米の元凶ではないのか
http://jipusii2h.at.infoseek.co.jp/link2/H541/H541A.htm

 ケイカルの含む不純物にはカドミウムもヒ素もある
 http://www.ffis.go.jp/sub7/obj/oyake1304.pdf

(蛇足 記録係の安渓遊地会員は、勤務先からの年休をとって参加しました。環境問題の授業のための勉強ですから、職務になるといいなとは思いますが。)





山口環境保全型農業推進研究会